トラブゾンでハムシ(カタクチイワシ)漁のために海に出た漁師たちは、内部に300kgの爆発物があるとされ、ロシア海軍への神風攻撃に用いられる、ウクライナ所属の無人海上艇を伴って帰港した。
チャルシュバシュ郡沖合において、船で漁をしていた漁師たちは、夜間に海面に無人海上艇を発見した。漁師たちは、その艇を自分たちの船に結び付けて岸へ曳いていった。ヨロズ港に近づいた漁師たちは、状況を沿岸警備隊に報告した。警備隊は、出所が特定されていない海上艇のために警戒線を張り、港の出入りを封鎖した。
周囲でも安全対策が講じられる一方で、海上艇を調査するためイスタンブルに特別チーム派遣を要請した。最初の調査で、その無人海上艇がウクライナ所属である可能性があるとの疑いが考えられる中、専門チームも同郡に向かっていると明らかにされた。
◾️「内部に爆弾があることが確認」
ヨロズ港協同組合長イスマイル・ユルマズ氏は次のように述べた。
「夜0時にここで勤務していた同僚が私に電話をかけてきた。漁師たちが一隻の小舟を見つけ、それを港に連れてきて沿岸警備に知らせ調査にかけられると言った。彼らは中に危険な物質があると考えて、埠頭に置いた。私は午前2時に港に来た。爆弾処理班が来て、調査した。港は閉鎖された。中に爆弾があることが確認された。これは無人の海上艇である。」
◾️「ファイバー製の漁船だと思った」
トラブゾンのチャルシュバシュ郡で漁をしていた時に無人海上艇を見つけた一人、ボゾコール漁業のオーナー、ハリル・イブラヒム・ボゾクさんは、
「ハムシ漁のために出ていた。アクチャカレ沖で私たちの船のレーダーに物体が映り、800メートル先だった。見てみると、小さな漁船かもしれないと思い、近づいた。『船に上げよう』と言った。ウィンチで引き上げてみると、軍用ボートに似ていた。その後、沿岸警備に報告し、沈んでいたその艇を我々の船に引き付けてヨロズ漁港に持って行き、沿岸警備に引き渡した。最初に私たちが見たときは、ファイバー製の漁船だと思った。その時は、中に何かあるかもしれないとは思ったが、結果、引き上げても爆発しなかったので、私たちの船の側面に吊るしたまま岸まで運んだ。」
◾️「後悔した、神が我々を守った」
ボゾクさんは、「何も問題は起こらなかったが、私たちがしたことは間違いだった。海上で警備隊を呼び、対処してもらうべきだった。『あいにくの天候のため、沿岸警備に渡すのではなく、自分たちで持ち帰ろう』と言った。内部には300キロの爆発物があったそうだ。後悔したが、もう手遅れだった。神が我々を守ってくれた。岸に持ち帰って、警備隊に引き渡した。それ以降、漁港にいたすべての船が退去させられた。その後、再び漁を続けた。朝のタイミングで中に爆弾があったと聞いた。」と話した。
他方、漁師たちがロープで結んだ無人海上艇を船で港へ曳航した様子は、携帯電話のカメラで撮影された。
◾️県知事府からの発表
トラブゾン県知事府は、チャルシュバシュ郡で漁師らによって発見された無人海上艇について書面で発表を行った。
この発表では、「トラブゾン県チャルシュバシュ郡ヨロズ港沖で漁をしていた漁師の網に外国製と考えられる物体がかかったことが確認された。当該物体は港に持ち込まれ、必要な安全対策が講じられ、現場について海軍司令部所属の水中防衛隊(SAS)チームおよび他の治安部隊に通報された。当該物体は調査のため専門チームによって安全に保管され、本件に関する詳細な技術的調査と捜査の過程が続いている。市民の皆様には、同様の状況に遭遇した場合、いかなる対応もせずに治安部隊に通報していただくよう強くお願いする。」と述べられた。
海軍司令部所属の専門の水中防衛隊チームがイスタンブルからトラブゾンに到着し、調査を開始した。
◾️「Wasp」と「Snapper」
同時に、この無人海上艇はウクライナ所属である可能性があるとみられている。イギリスがウクライナの黒海防衛能力を高める目的で供与した「ワスプ(Wasp)」と「スナッパー(Snapper)」という神風型無人海上艇に似ており、ウクライナがロシア海軍に対して行う効果的な作戦を支援するために設計されたとされている。
ウクライナが、この無人海上艇により、ロシア海軍に所属する多くの艦船を損傷させたり使用不能にさせたりし、黒海の軍事的均衡を自国に有利な方向へ変えたとされている。
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( 翻訳者:鈴木啓太 )
( 記事ID:60932 )