イスラエルメディアはトルコのガザでの役割の増加と地域への影響に焦点を当てた注目すべき分析を報じた。分析で「トルコ軍」が強調されており目を引いた。詳細は以下の通り。
イスラエルの大手ニュースサイトYnetはトルコのガザでの役割の増加に焦点を当てた分析を報じた。「エルドアンのガザの夢、イスラエルの悪夢」との見出しで、トルコがイスラエルの妨害にもかかわらず協議で重要な役割を果たしたことが注目された一方で、この状況がイスラエルで懸念を生むと取り上げた。分析ではトルコ軍がガザで任務に就くリスクにも注目されていた。
■「エルドアンのビジョンがガザの未来を形作る」
分析ではレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領のガザ問題への断固たる姿勢と外交的な動きが結果をもたらしたと注目された一方で、「アメリカのドナルド・トランプ大統領の主導で進められた協議においてトルコは主要国として参加し、(エジプトの)シャルム・エル・シェイクでの和平会議で停戦合意において重要な立場にいた。」と評された。
専門家はトルコの役割によって地域での平和が保証されることになり、このトルコの成功がイスラエルを不安にさせると強調し、「エルドアンのビジョンがガザの未来を形作る」とコメントした。
■「チームは青信号を待っている」
分析ではトルコの役割はこれに留まらず、国際タスクフォースに参加してガザでの人質の遺体捜索作戦にも貢献すると言及された一方で、81人からなる救出チームはイスラエルからの「青信号」を待っていると述べた。
■「中東での秩序をもたらす」
また分析では、エルドアン大統領のイスラム世界との完全な協調がトルコのガザでの影響を強めていると述べられ、国家安全保障研究所(INSS)上席研究員のガリア・リンデンシュトラウス博士は「イスラエルは長い間トルコがガザで役目をもつことを望んでこなかったし、これに強く反対した。しかしトランプ大統領の圧力と近年の米土関係の親密化のためにトランプ大統領はエルドアン大統領を信頼し中東で『秩序をもたらす』ことを期待している。トルコのハマスに対して圧力をかける能力が停戦合意をもたらした」と述べた。
■「ガザでの重要な役割」
リンデンシュトラウス博士は「トルコは合意に貢献する主要国の一つとして評され、これがガザでのより重要な役割につながった。トルコから見るとこれは長きにわたって待望し、目標としていた進展であり、非常にプラスだ。」と加えた。
イスラエル人の研究者は「トルコは最初期からイスラエルに対して明確に反対する態度を見せた国だ。このためイスラエルはガザでのトルコの影響を望まない。これは合意の代償の一つであり、イスラエル政府にとってプラスではない。トルコは平和維持監視部隊での経験があり、イスラエルはプロの軍隊をもつとはいえトルコをガザで見たくなかった。トルコを南シリアから遠ざけるために労力を費やしているなかで、今ガザに入ることを許可するのはイスラエルの利益に反する」と述べた。
■「ゲームチェンジャーの動き」
分析ではこれに合わせて、トルコの専門家であるラーミ・ダニエル博士がトルコの役割は停戦合意で重要だったと述べ、「トルコは過去にガザへ多大な支援を行った。一時期は最大の支援を行った国だった。エルドアン大統領はイスラエルに対する抵抗の模範となろうとし、他国はいずれもトルコほど踏み込まなかった。これがゲームチェンジャーだった。トルコ政府の影響は停戦の最初の段階では効果的だったが、次の段階は問題が起こりそうだ」と述べた。
■「トルコが停戦の監視を担うことになる」
リンデンシュトラウス博士はトルコの将来的なガザでの役割について「全ての詳細はわからないが、トルコ人からは激しい主張が行われている。彼らは必要ならばトルコ軍はガザに入りうると述べている。現在トルコが遺体捜索作戦に参加することはわかっているが、それ以外は不明だ。トルコは停戦の監視を担うことになる」と語った。
■「最大のリスク」
ダニエル博士はイスラエルは何をする必要があるかとの質問に答え、「可能であればトルコ軍の参加は最小限にするのがよい。遺体捜索における大きな問題は起きないと思うが、停戦の順守を評価することにおいては問題となりうる。トルコ軍がガザに入ることが懸念材料だ。最大のリスクはそれで、イスラエルが誤って攻撃したらどうなる?全ての国際勢力に当てはまるが、トルコ・イスラエル間の緊張とエルドアン大統領の厳しい態度によって、より問題になる」と述べた。
■何が起きていたか?
アメリカのドナルド・トランプ大統領は10月9日、エジプトで続く協議においてイスラエルとハマスがガザでの停戦計画の最初の段階を承認したと発表した。
エジプトで協議が行われ停戦が合意された一方で、イスラエル政府は合意を承認して10月10日の早い時間に発効した。イスラエル軍が合意内容に従って「イエローライン」まで撤退した後、同日12時以降にガザ地域で停戦が実現したと報じられた。
ハマスはガザで停戦人質交換合意の範囲内で、生存しているイスラエル人の人質20人を解放した。ハマスの軍事部門のイッズッディーン・カッサーム旅団は10月15日に声明を出し、達した合意の範囲ですべての生存する人質と保有する遺体を送り届けたと述べた。
声明では残りの遺体を見つけて運び出すために多大な労力と特殊装備が必要であると述べられた。災害緊急時対策庁(AFAD)の調整で8県から81人の捜索救出チームがガザに向かい、がれきの中で捜索活動を行うと伝えられた。
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( 翻訳者:伊藤梓子 )
( 記事ID:61023 )