PKK、トルコ全土から撤退を宣言
2025年10月26日付 Cumhuriyet 紙


クルディスタン労働者党PKKは、平和と民主的社会プロセスを第二段階へと移行させるため、トルコ国内の全戦力をメディア防衛区域へ撤退させたことを発表した。

フィラット通信社(ANF)報道によれば、PKKは、平和と民主的社会プロセスを第二段階へと進めるため、トルコ国内の全武装勢力をメディア防衛地域に引き上げたと発表。

その発表会見には、クルディスタン共同体同盟(KCK)執行部評議会のサブリ・オク氏、ヴェジン・デルスィム氏、デヴリム・パル氏らを含む25名の過激派活動家も出席。

声明は、KCK執行部評議会のサブリ・オク氏がトルコ語版を、クルディスタン自由女性部隊(YJA STAR)セルハト州司令部のヴェジン・デルスィム氏がクルド語版を読み上げた。

声明では、政治的・法的アプローチが遅滞なく示されることの必要性が強調された。そのなかで、「我々が第12回党大会の決議を遵守し、決意をもってその実行に向かっていることは明らかだ。ただし、実行にあたっては和平プロセスに欠かせない法的・政治的アプローチが党大会決議に沿ったかたちで遅滞なく示されねばならない」と述べられた。

あわせて、「我々は、トルコ領土内で衝突リスクを生じさせたり、挑発行為につながったりする勢力をすべてメディア防衛区域に撤退させる。これは我々の指導者たるアブドゥッラー・オジャラン師の承認のもとで実施されるものであり、第12回党大会決議を基礎に据えて計画されている」とされた。

PKK声明は以下のとおり。

■「プロセスは重要な段階を迎えている」

「中東で起こっている衝突や戦争が、トルコとクルド人の未来を極めて深刻に脅かす状況となっている。これを受け、昨年(2024年)、エルドアン大統領と民族主義者行動党(MHP)のデヴレット・バフチェリ党首、アブドゥッラー・オジャラン師の声明が発出された。このプロセスはそこから始まり、2025年2月27日のオジャラン師の「和平と民主社会」への呼びかけにより、そのアイデンティティを確立した。現在、プロセスは極めて重要かつクリティカルな段階を迎えている。

■「我々は明確かつ断固たる姿勢を示した」

この8か月間、我々クルド側は、平和と民主的社会への呼びかけに則り、歴史的に重要な偉大な一歩を踏み出した。穏やかで落ち着いた議論の場を設けるため、呼びかけ直後の3月1日には停戦宣言をおこなった。オジャラン師が示した適切な方針に則り、5月5日~7日にかけてPKK第12回党大会を開き、組織としてのPKKと武装闘争戦略に幕を下ろす決断を下した。また、それらの決定がオジャラン師の直接の指揮によってのみ実現可能だということを付記した。その2か月後の7月11日、オジャラン師のビデオメッセージに則り、KCK執行部評議会のベセ・ホザット共同議長率いる平和と民主社会をめざすグループのメンバー30人が武器放棄式で武器を焼却し、武装闘争を終結させるという我々の明確かつ断固たる姿勢を示した。

■「トルコ国内の全勢力を撤退させる」

オジャラン師とPKKが主導するクルドの歴史的一歩は、トルコの政治・社会環境に深く影響を与えるものであり、平和と民主化に向けた新しい精神と意志を形成した。平和、民主主義、自由を求めるクルド人の勇敢かつ献身的な姿勢はトルコ国内外で広く称賛されている。アプローチには不十分な部分もあるが、それでもオジャラン師とクルディスタン自由運動は、平和と民主的社会プロセスを第二段階へ移行させるべく、新たな先駆的実践措置を講じようとしている。その目的は、トルコとクルドに向けられた深刻な脅威を排除し、未来世紀において自由で民主的かつ同胞的な暮らしの基盤を築くことである。その方針に則り、第12回党大会決議に沿って、トルコ領土内で衝突リスクを生じさせたり、挑発行為につながったりする勢力をすべてメディア防衛区域に撤退させた。これはオジャラン師の承認のもとで実行されている。メディア防衛区域へ撤退したグループの一部は、我々と共にこの声明発表の場に直接参加している。国境地帯で、衝突リスクなったり挑発行為につながりやすい場所では同様の是正措置がとられている。これらの措置の成果が実践によってもたらされることは疑うべくもない。その実践的な歩みは、第12回党大会決議を実行する我々の決意と明確な姿勢を改めて示すものだ。

■「法的・政治的アプローチは遅滞なく示されるべき」

我々が第12回党大会の決議に忠実かつ、決意をもってプロセスを実行していることは明らかだ。ただし、実行には第12回党大会の決議に則って、プロセスに必要な法的・政治的アプローチが遅滞なく示されるべきである。つまり、その枠組みの中で、民主的な政治参加に必要な自由と民主的統合に関する法律が、PKKに特化した移行法を踏まえて遅滞なく制定されなければならない。

最後に、我々の呼びかけは女性・若者をはじめとするすべての人々に向けられたものである。我々のプロセスは誰かに何かを要求するものではない。組織的な闘争を通して自由で民主的な生活をつくり、勝ち取るものだ。したがって、そうした生き方の中に自らを見出すあらゆる人が、「平和と民主的社会プロセス」の成功に向け総力戦レベルで闘争を繰り広げる必要がある。平和と民主的社会という公約は必ずや勝利を収めるはずだ。」

■7月11日の武器放棄式

オジャラン師の呼びかけでPKKは7月11日に式典を開催した。式典では、KCK執行部評議会のベセ・ホザット共同議長(コードネーム:ヒュリヤ・オラン)を含む30人のPKKグループが武器を焼却。

武器を放棄した平和と民主社会グループは、「今後は、自由、民主主義、社会主義のための闘争を、民主的な政治・法的手法に則って進める。民主的統合法の制定を基盤として、我々は自らの自由意志により武器を廃棄する」と声明を発出した。

AFP Newsの取材に対してベセ・ホザット氏は「トルコ政府は我々が民主的な政治を行う権利を認めるべきだ。民主的政治を行うために、我々がトルコを訪問する準備は整っており、その意思もある」と述べた。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:61065 )