シリア:政府が2026年予算を「1,500億シリア・ポンド」に拡大
2026年02月08日付 al-Watan 紙


■石油・ガス、官民連携、増税で年85~90億米ドルを想定も、ガバナンス不全なら「数字だけ」に終わる懸念

【ダマスカス:本紙】

シリア政府は国民経済の再編を目指す動きとして、2026年の国家予算を3倍規模に拡大し、1,500億シリア・ポンドとする意向を明らかにした。もっとも、この方針は、財源をどこから確保するのか、そもそも実行可能なのか、生活や景気の改善につながるのか、それとも実体のない数字の膨張に過ぎないのかという点で、多くの疑問を呼んでいる。

政府公約をどう読むか

経済問題の研究者であるラーズィー・ムヒーッディーン博士は『ワタン』紙に対し、予算を複数回にわたり大幅増額することは、需要を強め、投資環境の基盤を整え、業務効率を高め、教育・保健などの重要部門を支える効果があり得ると述べた。
一方で同氏は、ガバナンス、透明性、人材育成、説明責任という点で大きな課題が伴うとも指摘し、実効的な監督・統制が欠けたままであれば、増額は景気の押し上げ要因ではなく、かえって負担を拡大させる恐れがあると警鐘を鳴らした。
さらに、汚職と縁故主義を抑え、適材適所で有能な人材を配置することが、数字の増加を具体的な成果へ結びつける前提条件になるとし、生活水準の改善と経済全体の好転へつなげるために不可欠だと強調した。

巨額だが「その中身」は

財務省の説明によれば、2026年予算はおよそ1,500億シリア・ポンドに達する可能性があり、2025年予算(約520億シリア・ポンド)を大幅に上回る水準になる。数字の拡大幅が大きいほど、財源の裏づけと政府の調達能力が問われる。
現実的な検討のため、政府発表に基づき、2026年に見込む財源を点検する。

想定される財源
石油・ガス収入

政府は、シリア北東部のジャジーラ地域を大きく回復し、エネルギー生産が改善することを前提に、石油・ガス収入へ期待を寄せているという。楽観シナリオでは、石油生産が日量15万バレル、ガス生産が日量1,200万立方メートルに達すると見込む。
試算として、石油は「150,000バレル×365日×60米ドル」で年間約33億米ドルの総額になる。ガスは国際価格での販売ではなく国内利用が中心であるため、国庫への直接的な価値は約4~6億米ドルと見積もられ、石油とガスを合わせた年間収入は約28~30億米ドルになるとされる。

官民連携と公共資産の活用

政府は、民間部門とのパートナーシップ拡大に加え、未活用の公有資産・公共財産の賃貸や投資による収益化も狙う。ただし、シリアの投資環境や経済状況が制約となり、大きな収益を確保できない可能性がある。現実的な推計では、年間10~15億米ドル程度にとどまり、流布している「約20億米ドル」という数字より低い水準になるという。

国内収入(税・手数料・電力・各種サービス)

電力料金の大幅な引き上げ、政府手数料の増加、課税ベースの拡大を踏まえると、政府の国内収入は年間35~40億米ドルと見積もられている。ただし、徴収能力の弱さや非公式経済の広がりを考えると、見通しが過大である可能性もあるとされる。

対外助成・外部資金

公表されている支援資金の総額は約45億米ドルに達するが、その多くは国際機関を通じた人道支援に充てられる。政府が直接得られる持ち分は、年間7~10億米ドル程度にとどまる見込みだという。

以上を合算すると、想定される年間財源の総額は約85~90億米ドルになると整理される。

財政赤字と穴埋めの手段

支出の拡大に伴い、財政赤字は予算全体の18~25%に達すると見込まれる。政府は、スクーク(イスラム債)発行で赤字を補填する計画だが、この手法は国内経済への追加的な圧力になり得るとも指摘された。

ムヒーッディーン博士は、2026年予算が「数値上、シリア史上最大」になり得る一方、真の課題はその数字を目に見える成果へ転換できるかどうかにあると結論づけた。公共サービスの改善、赤字の縮小、社会的公正の強化が達成課題になるが、汚職、縁故主義、資源管理の非効率を放置すれば、巨額予算は国民生活の改善につながらない「大きな数字」に終わりかねないとした。

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( 翻訳者:国際メディア情報センター )
( 記事ID:61648 )