シリア:スワイダーの「国家警備隊」統合に向けた秘密交渉
2026年08月14日付 al-Mudun 紙
■独自情報:スワイダーの「国家警備隊」統合に向けた秘密交渉
【本紙】
『ムドゥン』紙の独自情報筋によると、シリア政府とヒクマト・ヒジュリー師との間で、2025年3月10日にシリア政府とSDFの間で合意されたものに類似する合意を目指し、秘密交渉が行われているという。また同筋によると、協議はもはや停戦や拘束者の交換に限定されず、問題の核心に踏み込み始めているという。その一環として、スワイダーを再び国家と結びつけることが議論されているが、県民がその政治的妥結を、自分たちを引き渡すことや、過去の期間に自分たちを守るために形成された勢力を見捨てることだと感じないようにすることが前提となっている。。具体的には、「国家警備隊」の隊員をシリア国防省に統合するとともに、民間部門の職員を統合し、地方の諸機関をシリアの各省庁と再び結びつけることによって実現するという。
〈捕虜からのスタート〉
武器の引き渡しに至る前に、まずは不信感という壁を打ち破る必要があった。そのため、捕虜・拘束者の問題は、連絡のチャンネルを開くことを可能にした重要な問題の一つとなった。米国の仲介により、シリア政府と「国家警備隊」の間で捕虜交換が行われ、スワイダー出身の拘束者61名の釈放と引き換えに、武装勢力に拘束されていた25人が釈放された。
危機の規模と比較すれば、この交換は限定的なものに見えるかもしれない。しかし、政治的には重要な意味を持っていた。なぜなら、この交換によって、政治上の大きな問題が行き詰まっている状況でも、シリア政府とスワイダーに存在する勢力が、重要な問題について合意し、それを実行できることが示されたからである。
〈国家警備隊こそ本当の難題〉
『ムドゥン』紙の独自情報筋によると、シリア政府にとって、民間職員を所属する省庁に戻したり、政府機関を再開したりすることに問題はないという。しかし、問題は武器に関わる段階になると始まる。国家警備隊は、行政上の決定によって解散できるような小規模な集団ではなく、紛争の一連の過程の中から生まれた存在であり、複数の武装組織や集団、指導者、そして国内外の政治的なつながりを持つ戦闘員によって構成されている。
彼らは、自分たちを国家に反抗する勢力だとは考えていない。彼らの一部は、国家が治安を確保できなかった時期に武器を取ったのであり、何の保証もないまま武器を手放すことは、県を無防備な状態にさらすことを意味すると考えている。シリア政府は武器を国家の統制下に置くことを望んでいる一方、地方勢力は、国家に戻ることが再び拘束を行ったり、報復や責任追及の問題を蒸し返したりすることを意味しないという保証を求めている。
〈なぜスワイダーの議論にSDFが登場するのか?〉
シリア政府は、ハサカでも同様の問題に直面した。シリア政府との交渉が始まった際、政府が「明日にはすべてを解決する」と言うことは、実際には不可能だった。そこには数万人の職員、学校、地方議会、行政サービス機関、財務関連の案件に加え、数千人の戦闘員が存在していたからだ。
そのため、解決は段階的に進められた。民間の諸機関は国家機関に組み込まれ、職員は自治行政の機関で働いていたというだけで職を失うことはなく、軍事部門については国防省への統合という枠組みを通じて対応が進められている。このモデルは、その複雑さや問題点も含めて、現在、シリア政府の目の前にある一つの実例となっている。
スワイダー側がこれを見て、「なぜ県民には同様の仕組みや優遇措置が認められないのか」と問うのは自然だろう。
移行期間中は、一部の部隊が維持される可能性もあるが、ハサカのクルド人部隊4個旅団と同様に、国防省の指揮下に置かれ、その資金提供を受ける形となる。しかし、地方勢力にとって、次の段階がどのようなものになるのかわからないまま、すべての武器を一日で引き渡すことは容易ではない。そのため、武器の引き渡しにはおそらく、段階的な実施と相互の保証が必要になるだろう。
〈ヒジュリー師、新たな試練に直面〉
ヒクマト・ヒジュリー師にとって、統合をめぐる交渉に入ることは、彼の政治的位置の転換を意味する。
これまでの段階で、彼の主張は主に、前政権が崩壊する以前に取られていた形で国家機関が戻ることへの拒否と、あらゆる治安上の脅威からスワイダーを守ることに軸足を置いていた。しかし、国家警備隊と職員の統合について交渉することは、拒否する立場から、国家機関がどのような形で戻るのかをめぐって交渉する立場への移行を意味する。これは単純な転換ではない。ヒジュリー師が交渉している相手は政府だけではなく、自らの地元社会とも交渉しているからだ。シリア政府との早期合意を望む人々がいる一方で、統合によって武器や地域レベルでの保証を失うことを懸念する人々もいる。また、過去とは異なる条件で、国家との新たな関係を望む人々もいる。
したがって、いかなる合意も成功させるためには、ヒジュリー師が、スワイダーがこれまでに勝ち取ったものを手放すのではなく、それを国家の内部における保証へと転換するのだと、できるだけ多くの地域勢力に納得させる能力が必要となる。
〈シリア政府もまた試練に直面〉
シリア政府は、すべての地域に一つの方法を力ずくで押し付けられるような状況にはない。そのため、「廃止」ではなく「統合」という考えのほうが現実的に見える。しかし、シリア政府にとって統合は、明確な意味を持つものでなくてはならない。すなわち、諸機関を国家に戻し、治安上の決定権を内務省と国防省に戻し、公的資金を公的機関に戻すことである。しかし、国家は実質的な保証を示す必要がある。国家警備隊に武器を引き渡すよう求めておきながら、その隊員たちに「あなたたちの今後については後で決める」と言うことはできない。
また、職員に対して、給与や雇用上の権利の問題を解決しないまま国家機関に戻るよう求めることもできない。
そして、拘束、権利侵害、報復の問題に対処しないまま、地域社会に国家を信頼するよう求めることもできない。
〈イスラエルも関与〉
スワイダーの問題をイスラエルと切り離して考えることはできない。2025年7月の出来事以来、スワイダーは、シリア南部をめぐるイスラエルの戦略的な計算の中に大きく組み込まれるようになり、ドゥルーズ派の問題は、イスラエルがシリア情勢に対応する際に用いる主要な論点の一つとなった。これにより、シリア政府はスワイダーとのいかなる合意も、単なる国内問題以上のものだと捉えている。スワイダーが国家機関に復帰するほど、県の保護を口実とした外国からの介入の余地は狭まる。
一方、スワイダーが国家の枠組みの外にとどまり続ければ地域・国際的な勢力が利用する余地のある地域であり続けることになる。
したがって、この合意がもたらす影響はジャバル・アラブを超えるものとなるだろう。
〈米国は新たな爆発を阻止したい〉
米国は、スワイダーに関する複数の交渉の道筋で役割を果たしてきたほか、SDFをめぐる問題にも関与してきた。これは偶然ではない。米国政府は、シリア南部、特にイスラエルやヨルダンに近い地域で新たな爆発的な事態が起こることを望んでいない。同時に、シリア国内に新たな分離独立した政治主体が誕生することも望んでいないようだ。
そのため、米国の支持を得る可能性があるのは、地域住民の権利を守り、報復を防ぐ一方で、シリア国内に新たな国家を築くことにはつながらない枠組みだろう。ここから、ハサカでの経験とスワイダーでの経験が重なる部分を理解することができる。紛争のどの当事者も、戦争を繰り返すことを望んでいない。政府は安定を必要としており、スワイダーは行政サービス、経済、給与、そして道路と市場の再開を必要としている。また、地域勢力も、断絶状態が続けば、県が限られた資源や地域のネットワークに依存し続けることになると理解している。これが交渉に一つの機会を与えている。しかし、その機会があるからといって、道のりが容易というわけではない。むしろ、複雑で長期にわたるものとなるだろう。
〈スワイダーは新たなモデルとなるのか〉
もしシリア政府とヒジュリー師が合意に達することができれば、スワイダーは、その機関や勢力が国家の統制から離れていた地域を再び統合するという構想にとって、二つ目の大きな試金石となるかもしれない。ハサカでは、国家がSDFとその自治行政の諸機関を受け入れ、取り込む能力が試されているのに対し、スワイダーでは、社会的・軍事的性格の異なる地方勢力を国家が受け入れ、取り込む能力が試されている。そして、その結果が新たなシリアのあり方の重要な一部を形作る可能性がある。
ハサカとスワイダーにおける解決策が統合ということになれば、シリアは、戦時中に形成された勢力を力ずくで解体するのではなく、再び国家の中に取り込むモデルへと向かう可能性がある。一方、統合に失敗すれば、国内は地域ごとにそれぞれの機関、治安部隊、権力基盤を持つ分断された地域の体制に戻る可能性がある。そして、それはシリア政府とスワイダーの対立が続くことよりも危険だろう。
合意の真価が問われるのは、カメラの前で合意が発表される時ではない。職員が自分の職場に入り、国家から給与を受け取り、公安部隊がスワイダーに入り、以前のような裏切りに遭うことなく活動し、内務省が治安維持を担いはじめ、そしてスワイダーの住民が、報復の言葉が再び持ち込まれることなく、国家が自分たちのもとに戻ってきたと感じる、その日こそが試金石となる。
そうして初めて、スワイダーは力によってシリア政府に戻されたのでも、武器によってシリア政府の外にとどまったのでもなく、新たな政治的妥結を通じて国家に戻ったのだと言える。
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( 翻訳者:鈴木美織 )
( 記事ID:62701 )