アメリカの今後の対イラン政策を考える:カッツマン報告の概要

2006年12月14日付 Hamshahri 紙
2006年12月14日付ハムシャフリー

【アフィーフェ・アーベディー】アメリカの対イラン政策が、「体制変更(レジーム・チェンジ)」、「外交的対話」、「国際的制裁」、「単独制裁」、そして「軍事攻撃」の〔5つの〕選択肢以外にあり得ないことは、明らかだ。

 それゆえ、〔今後のありうべき〕イランのスタンスを分析するには、まずCRS(Congressional Research Service米議会調査サービス)外交・国防・通商部の中東問題専門家であるケネス・カッツマンが作成した、2006年10月4日付の報告書を一瞥することで、アメリカの政策の今後について探ることが有用だろう。
〔注:この報告書はU.S. Concerns and Policy Responsesと題されたもので、2006年12月4日付最新バージョンは、http://fpc.state.gov/documents/organization/77696.pdfで読むことができる〕

 (1)体制変更:

 ブッシュ政権はクリントン政権を継承する形で、国際的な外交及び経済制裁を通してイランの戦略的能力に掣肘を加えつつ、体制変更に関する長期的な戦略を模索してきたと、カッツマンは考えている。

 この戦略のためにアメリカが採用してきた旧来からの手法の一つとして、1979年のイスラーム革命の時より連綿と続く、イラン反体制派への財政援助がある。イラン・イスラーム共和国当局の賢明さにより、多くの動きが未然に防がれてきたが、しかし米政府は依然として、米議会から認められた予算を用いて、体制の根幹を弱体化させることを目指している。

 カッツマン報告によると、2006年2月16日、政府の要請を受け、米議会は2000万ドルをイラン民主化拡大計画の費用に、500万ドルをイラン人に対する民間外交用の経費に、500万ドルを文化交流費に、そして3610万ドルを「ヴォイス・オブ・アメリカ」テレビ及び「ラジオ・ファルダー〔「明日」の意〕」に充てることに同意した。米政府はまた、2006年9月上旬に、専門職・外国語教育に従事するイランの若者200名を招聘するために、さらに500万ドルの予算措置を要求した。

 また、ニコラス・バーンズ〔米国務次官〕は、アメリカの計画に協力する意志を有するイラン人を見つけ、彼らを支援するためには、ペルシア語を話す能力を持ち、対イラン外交に従事する外交官の数を増やす必要がある、と米議会国際関係委員会に述べている。

 アメリカがイランの体制変更という目的のために近年採用している別の方法として、イランにおける人権状況を執拗に報告する、というものがある。しかしカッツマンは続けて、イラン体制変更の見通しにはかなりの疑問があり、反体制派のこれまでの活動実績は貧弱であるとして、もっとも容易に体制変更を実現する方法として、全面的な軍事攻撃にも言及している。

 (2)外交的対話

 〔中略〕

 カッツマンは、2006年5月に米当局が、イランがウラン濃縮計画を中止することを条件に核問題をめぐる対話に復帰すると宣言したことは、クリントン政権の政治路線に沿ったものであり、また、イランの核計画を阻止するためにはあらゆる方法を探るべきであり、イランとの対話も視野に入れるべきだとしたヘンリー・キッシンジャーの見解に則ったものであるとの見方を示した。

 (3)軍事侵攻

 あらゆる選択肢を検討しているとかつてブッシュが表明したとき、イラン核施設に対する軍事オプションについて、一般の議論が盛り上がったことがある。専門家の多くは、米軍はさまざまな地域に散らばっており、また軍事攻撃には多大な費用が必要であると考えている。また別の一部の専門家は、核施設であると疑われる地点に対する航空機、あるいはミサイルによる限定的な軍事攻撃なら可能だと考えている。

 2005年1月、セイモア・ハーシュは『ニューヨーカー』に寄せた記事で、ブッシュは空爆へ向け、イランの核貯蔵に関連した標的となる施設を特定するために、特別スパイ部隊を派遣したと報じている。

 しかし専門家らは、イラン核施設への攻撃の影響について、異なった意見をもっている。一部の専門家は、主要な核関連地点は限定的であり、アメリカの政策立案者はすでに標的を特定しているとして、軍事行動によってイランの核計画を中止させることは可能であると考えている。彼らはまた、アメリカがイランの報復行動を阻止するために、核施設だけでなく、ホルモズ海峡の周りにイランが配置している小型船舶や対艦ミサイルなど、イランの通常軍事基地を標的にすることも可能だとしている。一部の国防研究者らはさらに、イランの核兵器の能力は限定的であり、アメリカ及び地域の同盟国の通常の能力をもってすれば、戦うことは十分可能だという。

 これに対して、軍事攻撃に反対する人たちは、軍事行動はまったく得るものがないばかりか、大きな代償を支払うことになると考えている。アメリカは目的を達成するための十分な軍事能力を有しているのだろうかと、疑問を発する者もいる。ある空軍関係者は、約400の標的を攻撃しなければならないと推測しており、別の一部の反対者は、イランはテロや石油輸出の停止といったその他の手段によって、報復に出ることもありうると考えている。アメリカの攻撃は、イラン人一般が体制を支持する原因となり、体制変更を成し遂げようとしているアメリカの試みを無にすることになる、と考える者もいる。

 (4)国際的な制裁

 アメリカが考えているもう一つの選択肢は、国際的な制裁である。アメリカはこれまでつねに、国連安保理を通じた国際的な制裁決議を目論んできたが、中国やロシアの反対によって阻まれてきた経緯がある。

 カッツマンは、国連安保理外の諸国連合によって、このような制裁を実現することも可能だと考えている。主要な制裁は、彼によれば、次のようなものとなる。

 A:外交関係の縮小、あるいはイラン政府関係者の海外渡航の制限。これは、アル・カーイダ指導者らを匿ったとして、1999年にアフガニスタンのターリバーン政権に対して行われたものに類似したものである。また、イランとのスポーツや文化の交流を制限するという方法もありうる。例えば、ワールドカップ・サッカーやオリンピックなどへの参加禁止など。しかしながら、多くの専門家は、スポーツ行事を政治的目的のために用いることには、反対を立場を示している。

 B:イランへの、及びイランからの国際航空便の乗り入れ禁止。この制裁は、1988年9月21日に、リビアに対する制裁として採用されたことがある。

 C:石油精製品や石油関連製品、その他の製品のイランへの輸出の禁止。この制裁に対しては、一部の国が反対する可能性がある。

 D:国外の金融資産、あるいはイラン当局に関連した資産の凍結、あるいは国際的な金融機関を通じたイランへの借款供与の制限などの、金融制裁。しかしながら、資産の凍結が予想されたために、イランはすでに2006年1月20日に、ヨーロッパにおける資産の引き揚げを開始すると表明している。また、日本など一部のアメリカの同盟国は、このような制裁には反対しており、実際イランとの通商関係を拡大している。とはいえ、最近の報道が示すところによると、もしアメリカが強く主張するならば、日本はそれに同調することになるだろう。

 E:イランへの軍事関連品の輸出を国際的に禁止すること。これに対し、ロシアや中国は国連安保理で反対する可能性がある。というのも、両国は近年、イランへの軍事関連物質のもっとも重要な提供者となっているからである。

 F:国連による高度ミサイル設備に対する査察の強制的実施。これは、ウラン濃縮作業を停止させるために、国連安保理によって採用される可能性がある。

 G:石油の購入、あるいはイランのエネルギー部門への投資に関連した取引の禁止。これは極めて広範囲なものであり、さらなる検討が必要である。というのも、世界の原油価格に対する影響から、反対が多くなることが予想されるからである。

 (5)アメリカによる単独制裁

 〔後略〕


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翻訳者:斎藤正道
記事ID:4140