アジア大会サッカーで銀メダル獲得のイラク、「我々のチームは金色だ!」

2006年12月17日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■ 首にかかっているのが銀メダルでも、我々のチームは金色に輝いている!!

2006年12月17日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面

【バグダード:ナジュム・アブドゥルザフラ】

一昨日の金曜に閉会を迎えたカタールの首都ドーハで開かれていたアジア大会のサッカー競技において、我々の代表チームは決勝戦で1-0でカタールに敗れ、銀メダルに終わった。

試合結果には表れなかったが、あらゆる面で我々こそが勝者だった。イラク代表チームは金メダルに値する。選手達の首にかけられたのがたとえ銀メダルであっても、我々皆の眼には帰国する彼らの姿は金色に映ることだろう。

カタールは分不相応な金メダルを獲得するために我々の敗北を願い、陰謀に陰謀を重ねた。まず一試合目の中国戦においてユーヌス・マハムード選手に出場許可を出さなかった。次にハワール・ミラー・ムハンマド選手とナシャアトゥ・アクラム選手がチームに合流するのを許さなかった。しかしイラク代表チームはこうした妨害をはねのけ、気高いアラブ馬のような優美な身のこなしによって準優勝を勝ち取り、彼らにショックを与えたのだ。

彼らは抽選をももてあそび、カタールに敗北の苦渋を味わわせた優勝候補のウズベキスタンと我々が対戦するように細工を施した。しかしながらイラク代表チームは実力でウズベキスタンを下し彼らにさらなる衝撃を与えた。さらにイラクはアジアで最強とみなされている韓国にも勝利し決勝戦に勝ちあがった。イラクチームが金メダルを獲得し、荒ぶるイラクの駿馬を飼いならそうとした連中の鼻柱を折ってやるところまではあとほんの一歩だった。

こうした深刻な問題を前にして彼らは再び陰謀を企て、決勝戦の会場を変更し、入場券の発行を制限したり値段を跳ね上げたりすることによってイラク人に“メソポタミアの獅子たち”を応援する機会を与えなかった。こうした企ての全てはイラク代表チームを撹乱し、多くの試合でイラク代表チームが見せてきた粘り強さと忍耐力を削ぐためのものであった。しかしこうした多くの企てにもかかわらずイラク代表チームは素晴らしい健闘を見せ、対戦相手を上回る決意と優れたパフォーマンスによって世界中のチームから敬意を得ることが出来た。

イラク代表チームのように多くの陰謀に苦しめられながらも決勝にまで勝ち残ったチームがあっただろうか。その上イラク代表チームは世界でも最下位クラスの治安状況や殺人や拉致といった緊張のもと、困難な状況に立たされているのである。それゆえイラク代表チームは十分に準備を整えられなかったし、キャンプや練習試合も行うことができなかった。それどころか彼らはヤヒヤ・アルワーン監督と共に練習することすらできなかったのである。周知のとおり彼は脅迫を受け、イラクから退去しヨルダンに滞在することを余儀なくされていたため、監督がチームに合流できたのはやっと大会1ヶ月前のことだった。

こうした事態にもかかわらず、イラク人達は自らが灰の中から再び燃え上がる炎のようであることを証明して見せた。絶望や挫折に屈することなく、陰謀の糸によってイラクを絡めとろうとした蜘蛛のような連中を退け、全世界に対して技巧や勇気、忍耐や自己犠牲の精神といった教訓を与えた。それによって、こうした英雄達を生み出し、数千年にわたり根を張ってきた文明は朽ち果てることはないと確信させることのできたイラク民衆に対する賞賛の念を、イラク情勢を注視するすべての人々のうちに掻き立てたのだ。

もう一度言おう。選手達の首にかかっているのが銀メダルだとしても、我々の代表チームは金を勝ち取ったのだ。またイラクには、イラクサッカーにかつての輝きを取り戻してくれることを我々が願ってやまない選手達がいる。この願いは実現されねばならない。



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翻訳者:垣平浩明
記事ID:4212