オリンピック開幕直前 「世界一強い男」、今日引退へ

2008年07月24日付 E'temad-e Melli 紙

【エッテマーデ・メッリー】未だ公式発表はないものの、これは事実である。ホセイン・レザーザーデは北京オリンピックでバーベルを持ち上げることはない。

 レザーザーデは重量挙げイラン代表入りを辞退するのではないかとの推測が、先週からほのめかされていた。しかし、協会はこのことをめぐる全報道を否定し、レザーザーデは必ず北京に行き、3個目の金メダルを獲得すると請け合っていた。イラン代表チームの補欠にラシード・シャリーフィーが選ばれた後も、彼のチーム入りに納得のいく説明もないまま、彼はただ経験を積むためにレザーザーデの横でバーベルを持ち上げるだけであり、誰かの代わりを務める予定などないと協会は主張していた。

 数日前に、英雄時代の幕切れについて語ったレザーザーデの姿には、痛々しいものがあった。彼はオリンピック後の引退について話しをしていたのである。〔‥‥〕彼の言動は、気がかりなものであったが、オリンピックで3つ目の金メダルを獲得して引退したいと述べていたことから、〔現時点で〕重量挙げ競技からの引退を最終的に決断しているようには見えなかった。

 レザーザーデの度重なる故障、そして最近の大会からの欠場は、彼が〔オリンピック出場へ向けて〕準備ができていないことを示すものであった。レザーザーデは2006年のドーハ・アジア大会以来公式戦に出場しておらず、体調不良が噂されていた。しかし2004年のアテネ・オリンピック直前の彼の状態を知る人物によると、彼はオリンピックの1~2ヶ月前から本格的な練習を始動し、再び自身の最高の状態に仕上げていくという。

 しかしそのような楽観的見解に反して、レザーザーデは今回、より厳しい問題に直面していた。協会に近い人物によると、レザーザーデは血糖値が高く、そのためにここ数ヶ月間はよい記録を出すことができていなかったという。

 バフラーム・アフシャールザーデが重量挙げ協会の会長になった時、全ての選手に十分な健康診断を受けさせた。診断の結果、レザーザーデは消化器官に不良を抱えており、さらに重大なことに高血糖であることがわかったと言われている。

 専門医らはこの結果から、レザーザーデが激しい練習をすることは危険と判断したものの、レザーザーデにこのことを伝える勇気のある者は誰もいなかった。およそ3ヶ月前、協会は診断結果をレザーザーデに打ち明けたものの、彼は練習を休むことを了解しなかった。レザーザーデはよい結果を出せていなかったものの、より多くのトレーニングをすることで、納得のいく結果を残せるはずだという希望を持っていた。しかし2、3日前に、現在の記録では金メダルは不可能であることがわかった。

 「『ヤー・アボルファズル』(おお、アボルファズルよ)と書かれたウェアで表彰台の2番目、3番目に上ることはできない。ましてメダルがとれないなんていうことは〔許されないことだ〕」。彼はこう語ったとされる。
〔アボルファズルは、シーア派の英雄第三代イマーム・ホセインの異母兄弟で、勇猛さで知られる人物。レザーザーデはこの人物を自らのロール・モデルとしている〕

〔‥‥〕

 レザーザーデの現在の記録は一度にバーベルを持ち上げる「スナッチ」で190キロ、クリーン&ジャークで230キロであると言われている。彼の最高記録はスナッチで213キロ、クリーン&ジャークで263キロであり、この差は大きいと言わざるを得ない。

〔‥‥〕

 レザーザーデは未だ引退表明をしておらず、オリンピックへ向けた抱負を、次のように述べている。「神様のお陰で、調子はよい。金メダルを目指して調整をしている」。

 本日、重量挙げ協会、体育庁、及びオリンピック協会のそれぞれの責任者が会合を開き、レザーザーデの進退、ならびに引退表明方法について、最終的な決定がなされると言われている。


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翻訳者:大石容子
記事ID:14435