寒さと空腹によってイラン・ヒョウが危機に

2009年02月15日付 Iran 紙
ゴレスターン国立公園アーレメ峡谷で撮影されたイラン・ヒョウ(2007年)
ゴレスターン国立公園アーレメ峡谷で撮影されたイラン・ヒョウ(2007年)
【ゴルガーン発―イラン紙記者】東アルボルズ山脈の森林地帯に生息するイラン・ヒョウの目撃情報が増加している。しかし専門家たちによると、気温が下がり動物たちが高地から山の麓に移動したことが、目撃情報の増加に影響を及ぼしているのであって、イラン・ヒョウの個体数の増減に関しては実地の統計調査が必要であるという。しかし少なくともゴレスターン州では、このような調査はまだ行われていないのが現状だ。

 ゴレスターン州の自然環境の専門家たちはつねに、冬は野生動物にとって決して過ごしづらい季節ではないと強調している。しかしある村の住民が一頭のヒョウを襲ったとか、摘発された密売業者からヒョウの毛皮が見つかったとか、ゴルガーン峡谷アラング森林地帯で数頭の犬に襲われて死んだヒョウの子どもが発見されたとかいったケースが報告されていることから、冬はヒョウにとって他の季節に比べて厳しい季節であることがわかる。

 もちろんゴレスターンの深い森では、ヒョウがあげる咆哮がしばしば聞こえることもある。しかし実際には、この咆哮は一種の「遠吠え」にすぎない。というのも、絶滅の危機に瀕しているこの動物は人間をひどく恐れており、人間を見るや一目散に逃げてしまうような動物だからだ。しかしながら、国際自然保護連合のレッドリストに位置づけられているイラン・ヒョウに関しては、村の住民たちが飼っている鶏や牛を襲っているとの報告もなされている。

 ゴレスターン州環境局のメヘラーン・ジャハーンシャーヒー副局長は次のように考えている。「狩りのできない年老いたヒョウや、密猟者によってケガを負ったヒョウに限っては、村の近隣で家畜を襲う様子が目撃されることもあるだろう。一方でヒョウの生息地である森林地帯の保護計画は、近年の努力によって着実に進んでおり、結果としてヒョウの個体数が増加した可能性もある。しかし冬にゴレスターン州の森の周辺でヒョウが多く目撃されるのは、気温が下がってヒョウのエサである猪のような様々な動物が低地へと移動してくることに関係があるのである」。

 ジャハーンシャーヒー副局長は、繁殖活動もヒョウの目撃が増えるもう一つの原因であると見ている。「この動物は常に隠れて暮らしているが、繁殖期になると人目を恐れることが少なくなり、目撃されるケースが増えるのである」。

 同副局長は、冬はイラン・ヒョウにとって最も危険な季節だとした上で、「生け捕りや毒入りのエサによる捕獲、狩り、罠、そして毛皮の密猟によって、このネコ科の動物の個体数は脅かされている」と続ける。

 ジャハーンシャーヒー氏は、衣服の確保ためにヒョウの毛皮が使用されるケースはめっきり減っているとした上で、以下のように付け加えた。「特に中央アジア諸国への毛皮の密輸は、以前には確かに存在していたが、国際的な規制によって密輸は困難となり、件数は減少してきている」。

〔中略〕

 もちろん、ヒョウの個体数は非常に少ない。ゴレスターン州環境局副局長は州内のイラン・ヒョウの個体数に関する統計を示すことなく、以下のように述べている。「肉食動物種に関する個体数の確認作業は、これまで州内で実施されてこなかった。この仕事は〔大統領府直轄の〕環境庁のプロジェクトに属するものであり、予算と専門の調査員、そしてそれ用の機材が必要である」。

〔中略〕

 冬は、野生動物にとってエサが最も少ない季節であり、時には家畜を襲うこともある。この問題自体が野生動物にとって最大の脅威であり、人間による彼らへの攻撃につながっていると考えられている。〔ゴレスターン州環境局の環境・生物多様性担当副局長の〕ジャァファリーネジャード氏はこの問題について以下のように強調している。「自然界のすぐ近くへと住む場所を広げているのは人間たちの方である。人間は自分たちの家畜を山や森に連れて行き、野生動物の脅威にさらしているのである。そのようなことさえなければ、動物たちは自らの住処である自然の中にとどまり続けるはずなのだ」。


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翻訳者:綿引香緒里
記事ID:15847