今日はアジア・チーター・ナショナルデー(3)

2014年08月31日付 Jam-e Jam 紙
生息地への立ち入りの増加という危険

 しばらく前まで、開発への圧力がチーターの生息地が破壊される主な原因だった。国の責任者らは道路の建設や鉱山の開発で多くの計画を実行に移し、それに対してしっかりとした環境アセスメントが行われていなかったためだ。しかし当時に比べて、現在は保護区に人が簡単にアクセスすることができるようになったこと、そして環境保護官の不足が、チーターを脅かす問題となっている。

 国際アジア・チーター保護プロジェクト長は、このプロジェクトが現在直面している問題と、プロジェクトが発足した当初存在した問題との違いについて話す中で、政府の開発計画が問題だった時期もあったと指摘する。過去の政権にとって、優先事項は開発計画の実施であり、そのため環境問題にはあまり注意が払われてこなかった。しかし今や、国の責任者らの見方が変わったことで、この問題は解決されたという。

 その一方で、現在問題となっているのは、人々が〔野生動物の〕生息地に入り込むことが多くなり、これらの場所が破壊されるようになったことだという。ジューカール氏は次のように指摘する。

現在、装備の整った自動車やオートバイに乗って、生息地に入ってくる人たちがいる。それに加え、猟銃の数も増えている。こうした問題が、保護区の管理を難しくしている。

 〔絶滅危惧種の保護の必要性について〕意識の低い牧人や牧羊犬の存在がいまだ脅威となっているという事実を、見逃すべきではないだろう。もちろん、この問題については、一部のNGOや行政がチーターの生息地における家畜や牧羊犬の管理に向けて、努力を重ねている。しかしトゥーラーンなどの地域では牧畜業者が多く、このことが依然として懸念材料となっているのである。

 それだけではない。牧畜業者はアフガニスタン国籍の牧人を利用していることが多く、そのために彼らへの啓発活動には困難がつきまとうのである。また、牧人らは季節ごとに交替するため、NGOは仕事を始めたばかりの牧人への啓発活動を一から始めなければならないのだ。

牧羊犬と交通事故の危険性

 今年に入ってから〔※2014年3月21日~〕、これまでにチーターの死亡に関する報道は伝えられていないが、しかし昨年は3頭のチーターの死亡が伝えられている。その中には、牧羊犬の襲撃によって死亡した2頭と、原因不明で死亡した1頭がいる。重要なのは、チーターの死亡件数はこれにとどまらない、ということである。というのも、チーターやその他の動物の死亡は目に見えないところで起きていることが多いからだ。

 ジューカール氏は過去数年間のチーターの死亡件数について、「過去13年間で平均して3年に2頭のチーターが死亡している」と指摘する。

 交通事故によって起きた痛ましいチーター死亡事故の一つとして、89年モルダード月初頭〔2010年7月下旬〕に起きた事故が挙げられよう。2頭のチーターの子供がテヘラン=マシュハド街道を横断する際に、トゥーラーンのアッバースアーバード地区で走行中の車にはねられて死亡した。そしてこの事故が起きた翌日、母親のチーターが子供を探しているときに車にはねられて死亡したのである。

 ここで強調しておかねばならないのは、動物が走行中の車にひかれる危険性に加え、保護区での道路の建設自体が生息地を破壊し、島のように孤立させてしまうということである。

 こうしたことから、国の責任者らはルートを変更させる、あるいは少なくともこうした地区を通行する車の速度を落とさせるために、何らかの対策を立てることが必要であろう。しかし国際アジア・チーター保護プロジェクト長は、次のように言う。

こうした地域に警告標識を設置しても、あまり効果はないだろう。もっと根本的な対策を練る必要がある。例えば、天然の生息地をシミュレートした高架橋の建設が指摘できる。しかしプロジェクトの予算を考えると、こうした計画を実現させることは、われわれには想像だにできない。

つづく




本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。


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翻訳者:コギトエルゴスム
記事ID:35273