アラブ文学:アラブ文学を西洋文学から取り戻せ!―『アラブ人たちと物語伝承の芸術』がトルコ語で初めて出版に

2021年07月14日付 Milliyet 紙

受賞歴のある文学史家でありまた批評家であるアブドルファッターフ・キリト氏がペンを執った『アラブ人たちそして物語伝承の芸術―奇妙な親しみやすさ(Araplar ve Hikâye Anlatma Sanatı – Tuhaf Bir Âşinâlık)』という名前の本が出版される。作品においては、アラブ世界の数々の伝統的な伝承が今日の世界から批判的な観点から再び取り上げられている。

ワクフバンク文化出版社が(BVKY)が読者たちと邂逅した『アラブ人たちと物語伝承の芸術―ある奇妙な親しみやすさ』がトルコ語で初めて出版される。アラブの文学について優れた業績の数々によって知られるモロッコ生まれの小説家、エッセイストそして批評家であるアブドルファッターフ・キリト氏は、『千夜一夜物語』、その名が正直さの象徴である「カリーナ」と嘘の象徴である「ディムナ」からとった『カリーナとディムナ』の物語と『けちんぼの書』といった伝承芸術の重要な位置にあって、通常であれば批判対象とならない文化的な宝物に対して様々な観点をもたらしている。

作家は、一人の批評家として創造性そして勇敢さを提示するチャンスとなった作品において、自身を詩の名人としてみなしているアラブ世界の最良の物語の語り手たちが、その位置にまでどのようにのぼりつめたのかということにスポットが当てられている。かつての物語集が、再び解説されることそしてそれらに対して再び価値がもたらされることとともに、ヨーロッパの書物もまた分け隔てることのできない状態となったと語るアブドルファッターフ・キリト氏は、「一般的にアラブ世界の物語は、何かしらのヨーロッパ作品に近親性が見いだされるものが好まれて、また前面に出されます。このような近親さを示すことのできない作品においては、評価がなされずまた理解できないほどに放置される状態となるのです。物語芸術の頂点に位置する作品であっても『守銭奴』(「けちんぼの書」)、バルザックの『ウジェニー・グランデ』と相いれないために、(やはり)同じ運命をたどることになるのです。また一方では、ヨーロッパ文学に対して、明らかな形で少なからず影響を与えた作品に名声を与えて更には高みへと昇らせることができるのです。ちょうど『ラ・フォンティーヌ寓話』に関連付けさせられる『カリーナとディムナ』において、ピカレスク小説に結び付けられるハマダーニーそしてハリーリーの『マカーマート』において、『神曲』に比較されるマアッリーの『許しの書』において、『ロビンソン・クルーソー』の祖先とされるイブン・トファイルの『ヤクザーンの子ハイイの物語』において、『恋愛論』の先駆けとしてみなされるイブン・ハズムの『鳩の頸飾り』のように・・・」という言葉とともに作品の間のこのような選出のアプローチが興味を引いている。



『千夜一夜物語』を特別なものにしているものは一体何なのか?」、『カリーラとディムナ』はどのように読まれなければならないか?」、「一人の英雄として『けちんぼ』はどのようなポートレイトを描いているか?」、「イタリアの最大の詩人であるダンテ・アリギエーリのアラブ文化にある関心は各作品に対してどのように反映されたのか?」といった疑問に対しての答えを探求した書籍では、キリト氏は倫理哲学の発展において物語が演じた重要な役割を提示しようと試みている。大モロッコ賞、フランスアカデミア賞とともに、スルタン・クヴェイス賞批評と文学業績賞に輝いたアブドルファッターフ・キリト氏は、アラブの物語世界について読者たちに対して新たな窓を開きながら、文学の文章を再び思考へともたらすことへ招待をしている。


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翻訳者:堀谷加佳留
記事ID:51337