レバノン:玉ねぎを讃えて(1)

2022年04月04日付 al-Quds al-Arabi 紙
玉ねぎを手にするデモ参加者
玉ねぎを手にするデモ参加者
■玉ねぎを讃えて

【エリアース・ハウリー】

子どもの頃はよく、ラブネのサンドイッチに玉ねぎを入れて食べたものだった。ラブネと玉ねぎの組み合わせは、理由は分からないが最近では姿を消してしまい、ラブネときゅうりの方が好まれるようになっている。一方でニンニクについては、レバノン料理で有名な前菜の一品としてラブネにニンニクを混ぜた「ラブネ・ムタウワマ」という料理が出されるなど、その地位を保ってきた。

しかし我々の生活における玉ねぎの重要性は揺らぐことはなかった。玉ねぎは多様な形で我々の食卓に登場している。またそれは貧しい人々の食べ物でもある。ベイルートの建物を建設したシリア人労働者らの食事はパンと玉ねぎで、自分を甘やかしたいという時には、玉ねぎにトマトも一つ付けたという。

なぜ玉ねぎの一玉が「ファフル(雄)」と呼ばれているのかは分からない。ブトルス・ブスターニー先生の辞書『ムヒート・アル=ムヒート』には、「ファフルとは、あらゆる動物の雄。複数形フィハーラは男性たちの意」とある。また、イブン・サラーム・ジュマヒーはこの男らしさの形容詞を借用してアラブの詩の大家を評し、『詩の大家(フフール[ファフルの複数形])の諸階層』を著した。一方口語では、形容詞としての「ファフル」は勇敢さと結びつけられてきた。つまり、「ファフルの人」という言い方があるが、これは「勇気のある人」という意味である。

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翻訳者:下宮杏奈
記事ID:53220