イランの問題を安全保障理事会に付託する可能性はあるのか?〜国際問題専門家ラフマーン・ガフレマーンプール氏インタビュー(2)

2022年08月10日付 Hamshahri 紙

Q 欧州側が合意に達するうえで十分な役割を果たせていないのはなぜですか?

A 2008年の金融危機、BREXIT(イギリスのEU離脱プロセス)、および最近のウクライナ戦争以降の国際社会のバランスにおいてEUの役割が徐々に縮小している事実には注意する必要があります。そうした結果、欧州は期待されている役割を果たせないでいるのです。ウクライナ戦争開戦以降、欧州は軍事的にも戦略的にも、以前にも増して米国への依存度を強めており、そのため欧州各国は深刻な制約に直面することになりました。そうした制約は特定の国だけのものではなく連合体としてのEUそのものがこの難問に直面していることから、制約を解消することができるとは見込まれていません。

Q 欧米諸国、特に米国はこの合意案に同意していますが、その目的はイランのコートにボールを投げることだけなのでしょうか?

A 実際のところ交渉の場では、各当事者は互いに自身がより有利な立場に立って相手側に非があるように見せようとするものです。そのため、イランが交渉の席に着く姿勢を示そうとするのと同じように、米国もイランが合意に否定的であることを示そうとしているのであり、それゆえに最近の米国および欧州当局の姿勢はまさにこの方向性にあるのです。彼らは問題の発端が米国ではなくイランの側にあると示そうとしているのです。
 指摘した通り、米国はイランへの圧力行使のために幅広い連合体の形成に動いていると私は見ています。実際、9月の会合までに交渉が決着せずより良い方向に進展しなければ、米国と欧州の側がイランの問題を再び安全保障理事会に付託する可能性があります。

Qイランの石油とガスを世界のエネルギー市場が必要とすることにより、欧米諸国の姿勢が軟化することはあり得るのでしょうか?

A 実際、イランは最大の石油・ガス埋蔵国の一つではありますが、過去数年間、エネルギー輸送インフラに必要な投資がなされていないため、一部の人々が考えるほどには速やかにイランの石油とガスを世界市場に輸送することができません。
 一方で、深刻な障害もあります。その一つは、イランと欧米諸国の間にある不信感です。次に、現段階でイランの石油とガスが世界市場に出ることに反対している最も主要な国の一つであるロシアの問題があります。もしそれが実現すれば心理的な影響が出るのは当然だからです。さらに、必要なインフラの不足という問題もあります。このため、この問題は重要(特に欧州にとってより重要)であり、寒い冬の季節が近づくにつれて重要さを増していくのですが、米国と欧州の現在の政策において、この問題だけが政策を決定する要因ではありません。エネルギーだけでなく、中東の安全保障も必要なのです。米国は露中との対立を深めようとしていますが、JCPOAを再建することによって、米国は中東の安全保障に対する懸念を緩和することができ、中国とロシアの抑制に向かうことができます。このためエネルギーは重要な要因ではあるのですが、唯一の要因ではないのです。


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翻訳者:OK
記事ID:53945