大声が毎日の仕事になるとき 呼び込みを生業に(1)

2023年07月04日付 Iran 紙

 彼らの生活は歩道と結びついている。もし我々がいなかったら、誰もモールの下の店を見るために数段の階段を降りようとはしないだろう、と彼らは言う。彼らの仕事は特殊である。大きなプラカードを手にもって大声を上げる。もちろん、誰かに向かって叫んでいるわけではない。彼らは、本や、エンゲラーブ通りのモールで見つかりそうなものを買いにモールの上階や下階に向かうよう通行人に呼びかけているのである。卒業論文の執筆やあらゆるジャンルの参考書から、スマホの液晶ガラスフィルムやスマホアクセサリーまでだ。彼らは一つのフレーズを何度も何度も繰り返す。通行人にも視線を配っている。一目見れば、誰が何を欲しいのか分かる、と彼らは言う。サイードさんは、プラカードをいったん下に置いて休む。「朝から晩まで同じフレーズをあまりにも何度も繰り返し発しているから、家に帰ると話す気力がなくなってしまうんだ」とサイードさんは笑いながら言う。「寝ているときに大きな声でいつものフレーズを繰り返してしまうこともある。とにもかくにも、これが我々の仕事なのだ。我々がいなければ、誰も買い物をしにモールの上の階や下の階の店を見てまわりはしないだろう。」

 もう少し先のところでは、卒業論文・参考書販売と書いた宣伝プラカードを持った数人が集まっており、大きな声で話をしている。そのうちの一人が、ある店舗のショーウィンドウ内の張り紙を指差して言う。「今は亡きあの人は、つい数日前まで私たちのこの隣で大声を出して本を売っていたのに、死は猶予を与えてくれなかった。」

 これは、市内の通りにいる「ダードザン[路上などで大きな声で店の商品などを宣伝し集客する呼び込みのこと]」と呼ばれる人の職業の話である。この職業は、都市人口の増加に伴い、現在では商人たちの中でその存在が際立つものになっており、商業組合の話によれば、彼らがいなければ商人らの仕事には大きな痛手になるという。


◆諸階への呼び込み

 アーザル月16日通りの少し手前でプラカードを手に持ち、「卒業論文、研究提案書、テーマ選択、博士号」としきりに繰り返している。モハンマドさんは19歳で、法学部の3年生だ。彼は苦労して仕事を探しまわり、ようやくこの仕事を見つけることができた。ダードザンの仕事やその困難さについての話になると、彼は額の汗をぬぐいながらこう話す。「最近この仕事を始めたけれど、なんの書類も証書もなしにこの仕事に就くことができたんだ。給料は、1日8時間働いて日給40万トマーン[8月6日の市場レート(1ドル=4万9550トマーン)では約8ドル]。朝9時から夕方5時までここに立って大声を張り上げているけれど、もちろん前にやっていた仕事ほど悪くないよ。」

 「この仕事の困難さの1つは、おそらく絶え間なく大声を張り上げることとそれを繰り返すことで、このことは時が経つにつれて健康状態に影響を及ぼすことになるだろうね。考えてみてほしい。日に8時間も自分の発するフレーズを繰り返し聞かなければならないんだ。もう精魂尽き果ててもぬけの殻になってしまうよ。でも、僕にとってはお金を稼ぐことが一番大事で、どんな仕事なのか、どれだけ辛いのか、といったことは重要ではないんだ。選択肢がないからね。だから、1日8時間1メートルほどの範囲のところに立って大声を出し、お客さんをモールの3階へ案内しなければならないんだ。他にいい仕事が見つかるまではこの仕事を続けるよ。」

 モハンマドさんはダードザンの存在意義についてこう話した。「この仕事は、他の仕事にとって重要なもので、僕は絶対に必要な仕事だとさえ思うよ。というのも、モールには地階や上層階にもお店があるのに、お客さんはそういうお店にはあまり行こうとしないからね。僕らの仕事は、そういうお店やその商品を宣伝することなんだ。これはとても効果的と言えるよ。」


−(2)に続く−


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翻訳者:OM
記事ID:56101