私はお金を持っていないかもしれない、しかし名誉はある|金製品の入ったカバンを持ち主に返した清掃人(金製品の写真付き)

2025年07月12日付 Hamshahri 紙

 ケルマーンシャー出身の清掃人は以下のように述べた。「金のアクセサリーがたくさん入っているカバンを見つけたとき、誘惑はなかった。なぜならイスラーム法に適った方法で金銭を得るように育てられてきたからだ。」

(ハムシャフリー電子版)時として、人生の英雄たちは、煌びやかな服で舞台に立つのではなく、沈黙の中で輝く。彼らは街の夜に、闇やごみの中で、称賛への期待なしに輝きを放っている。その中の1人がジャリール・バスィーリーだ。1359年[西暦1980/81年]生まれのごく素朴で誠実で正直な、ケルマーンシャーのシャフラケ・ナスルの通りで市のサービスに従事する男性である。

 そして彼は5年前から、街のほとんどの人が静かに眠っている夜の時間に、箒を手に取って街路を掃除している。しかし最近ジャリール・バスィーリーの名を有名にしたのは夜の掃除だけではなく、彼の心の誠実さであった。

               

 ティール月18日[西暦7月8日]火曜日、最も混雑する時間のうちの一つである、正午の12時ごろ、マスキャン三叉路付近で帰宅の途についていたところ、突然、通りの雑踏の中に残されていたとあるカバンが彼の目に入った。気になってカバンを開けてみたところ、幾つかの金属製品(ネックレス、ブレスレット、イヤリング、指輪)そして身分証明書がその中に入っていた。誘惑は一瞬あったかもしれないが、ジャリール・バスィーリーはためらうことなくカバンを閉じ、すぐにそれを地区の役所に届けた。

 バスィーリーはファールス通信のインタビューに誠実に答え、彼は「なぜ、誘惑が起こらなかったのか」と尋ねられた時、微笑みながらこう答えた。「私は生まれた時から、イスラーム法に適った方法で食べていくことを教えてくれる両親の元で育ちました。イスラーム法を守って収入を得ることが私の習いになっています。どんな困難があっても、他人のものを求めることはしません。私は人生で多くの困難を抱えてきましたが、どんな時も心から他人のものを取りたいと思ったことはありません。私にお金はないかもしれませんが、名誉はあります。このことが私にとって最も価値のあることなのです」

 バスィーリーは独り身であり、私が月々の給料を尋ねると、彼は神に感謝しつつ金額には触れずにこう言った。「生活は苦しいですが、どんな時も正しい道から外れないように努めています」。そして彼はこう続ける。「カバンにはある女性の書類がたくさん入っており金製品もその中に入っていました。私はこう言いました。『きっと困っている神のしもべの1人に違いない』。そして急いで警備員の元へ届けました」。鞄の持ち主はある女性で、彼女の持ち物が見つかったという知らせに涙ぐんだ目で、高潔な清掃人と対面し何度も感謝した。

               

 確かにジャリール・バスィーリーの顔は感謝を表すための看板にさえ見られることはないかもしれない、しかしこの街の中心で、シャフラケ・ジャハード・ナスルの諸街路の夜の静けさの中、彼の良心の声はどんなプロパガンダよりも大きいのだ。彼は私たちにとって控えめな英雄であり、彼はどんなに簡素な仕事でも気高さが輝きを放つことを示した人物である。


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翻訳者:TH
記事ID:60553