イラン、ロシア及び中国は国連安全保障理事会に対する書簡の中で、我が国の核開発に関する事項は終了したと宣言;トリガー・メカニズムが失敗に終わる(1)

2025年10月19日付 Jam-e Jam 紙

 世界が中東地域における紛争や経済的緊張など、地政学的な危機を辛うじて乗り越える中、イラン暦1393年メフル月(西暦2015年10月)にJCPOAを定めた国連安保理決議第2231号が失効したことは、イランの核関係外交の歴史における一つの転換点であると見なされている。この決議は2015年7月20日に可決されたが、10年の時を経て、2025年10月18日(イラン暦1404年メフル月26日)に、イランによる平和目的の核開発計画への制限を正式に撤廃しただけでなく、イランの核開発に関する問題を安全保障理事会の管轄の範囲から除外した。

 イラン・イスラーム共和国外務省による声明と、セイエドアッバース・アラーグチー外相が国連事務総長及び安全保障理事会議長に宛てた書簡は、制裁の復活に向けた最近のヨーロッパの動きを問題視しつつ、この出来事が一つの法的、外交的な成果であることを浮き彫りにしている。この決議の失効は非同盟運動の加盟国に加えて、ロシアや中国などの伝統的なイランの同盟国からも広い支持を得ており、他の諸決議の失効につながる可能性がある。この点について、昨日、イラン及びロシア、中国は共同声明を発表した。「決議第2231号運用規定第8項に基づき、同決議の全規定は2025年10月18日をもって失効しており、同決議の期間時宜を得た形での満了は、安保理におけるイラン核問題の審議の終了を意味している。それは、安保理の権威と多国間外交への信頼を強化するものだ。」3か国は続けた。「『スナップバック』と名付けられたメカニズムの発動に向けたE3(イギリス、フランス、ドイツ)の動きは、本質的に、法的及び実行プロセスの観点から欠陥を抱えており、法的な裏付けに欠けるということを再び強調する。JCPOAや安保理決議第2231号の義務を遂行せず、『紛争解決メカニズム』の中で定められたプロセスをも無視しているE3は、その規定の援用権限を持ち合わせていない。」イラン及びロシア、中国は指摘した。「外交による行動や対話という手段に加え、相互尊重原則のもとですべての当事国の懸念を取り除くという政治的な解決方法を見出すことへの責務を果たし、一方的な制裁措置や、武力に訴えるといった脅迫、あるいはその他緊張激化につながるあらゆる行動を控える必要がある。」同様に、すべての国家は外交努力を継続するための良好な雰囲気づくりや適切な状況づくりに協力しなくてはならない。安保理決議第2231号は、残忍で違法な制裁を解除する代わりにイランの核開発が本質的に平和目的であることを西側諸国が確認するために採択された、JCPOAの付属文書であった。この文書は安保理の合意をもって採択されたが、それによって、ウラン濃縮の上限や国際原子力機関(IAEA)による監査、そしてミサイル開発の一部の禁止などの制限が10年の間強制された。同決議運用規定第8項では、失効日、すなわち昨日をもって、同決議や関係するそれより前の決議(例えば第1696号、1737号、1747号、1803号、1835号、1929号がある)のすべての規定が自動的に終了すると明白に定められている。IAEAもイランによる保障措置の逸脱に関して何ひとつ報告していないし、イランも一方的な制裁にもかかわらずJCPOAの追加保障措置義務を履行しているが、2018年5月にアメリカが核合意から離脱し、ヨーロッパ諸国もそれについて補填措置を行わなかったことで、バランスが崩れた。イランは、1年間戦略的に耐えたが、その後、相応の対抗措置(例えば濃縮度の引き上げなど)を開始した。それは、JCPOA第26条及び36条に従って、回復させることが出来る措置であり、相手国が戻ることを条件としていた。ここ数か月、イスラエルとアメリカによる我が国の核施設への攻撃によって何千人もの死傷者が発生し、IAEAとの協力にも混乱が生じたことで、緊張が高まった。IAEAとの関係修復を目指したグロッシー氏とのカイロ合意も、ヨーロッパ諸国がスナップバックを濫用したことで失敗に終わっている。2025年8月28日、E3はJCPOAによる紛争解決手続きの段階を経ること無く、安全保障理事会への報告を行い、イランの行動が「主要な条項の不履行」に該当するとの主張を提起した。この措置に対し、中国及びロシア、アルジェリア、パキスタンが反対した。

−(2)に続く−


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翻訳者:KY
記事ID:61194