(技術的理由により非公開)イラク:「ダーイシュ」南下、首都に肉薄
2014年06月12日付 al-Hayat 紙
赤色部分はダーイシュが展開する地域
赤色部分はダーイシュが展開する地域

■「ダーイシュ」が勢力伸長、内戦寸前

【バグダード:ムシュリク・アッバース】

「イラク・シャーム・イスラーム国」(ダーイシュ/ISIS)は、イラク政府を驚がくさせるスピードで、北部モースルから中部ティクリートへ進撃した。ダーイシュはティクリートをたった数時間の戦闘で制圧し、戦線は(よりバグダードに近い)サーマッラー北部へ移動した。この進撃は、ダーイシュが制圧した地域に潜伏していたテロ細胞の活動があることを示し、これらの地域において武装組織や地元有力者の協力があったことを意味するものである。

ヌーリー・マーリキー首相は、テロとの闘いのために予備軍を設立すると強調し、シーア派指導者ムクタダー・サドル師に、あらゆる社会や宗派の構成員からなる「平和大隊」の動員を呼びかけた。こうした中、南部の複数の県が住民に対し、(モースルを県都とする)ニーナワー県での戦闘への義勇軍の呼掛けを発表した。

これに加えて、各方面で反応があり、ダーイシュに立ち向かうために国際社会は協議を活発化させた。イランはイラク国境において部隊に戦闘態勢を命じた。また、トルコは北大西洋条約機構(NATO)に対し大使級の緊急会合を呼び掛け、モースルでダーイシュに拘束された自国の領事を含む48人に危害が加えられれば介入もありえると警告した。

イラク軍およびイラク警察は、さまざまな武装組織の戦闘員が参加するダーイシュ戦闘員の進撃の前に、二日目となる敗走を続けた。ダーイシュは、バグダード北のスンナ派・シーア派ラインに接近しつつあり、宗派衝突が懸念される。

戦闘員らが昨日(11日)、サッダーム・フサイン元大統領の基盤であったティクリートを掌握し、サーマッラーの防壁をかけた戦闘に突入すると、ヌーリー・マーリキー首相は「ふがいない指導者ら」の処罰を公言し、部族や義勇兵からなる予備軍の創設を着手すると述べた。

ティクリート市内の目撃者が本紙に対して語ったところによれば、同市は何の戦闘もなく陥落したという。この状況は、サラハッディン県のバイジー市、ダウル市、スライマーン・ベク市、トゥーズ・フールマートゥー市も同じで、さらにここにバイジー市、シーア派が住民の多数を占めるバラド市も加わる。

目撃者によれば、サッダーム・フサインや(現バアス党書記長)イッザット・ダウリーの写真を掲げていたことから、バアス党所属もしくはイッザット・ダウリー率いるナクシュバンディー教団軍所属と思われる戦闘員が、ティクリート市内に展開した。ダーイシュ旗を掲げる者もいたという。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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この記事の原文はこちら
イラク:「ダーイシュ」、イラクで勢力を拡大(6月9日付)
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( 翻訳者:アラビア語新聞翻訳班 )
( 記事ID:34264 )