最低賃金制度への期待(アウンミントゥン)(9-14-6-2, 7-1)
2013年04月08日付 The Voice 紙

 労働者の最低賃金が定められていないミャンマーで、3月22日に最低賃金法が制定された。しかし期待された最低賃金に関する規定はまだ盛り込まれておらず、依然労働者は苦境に立たされたままだと労働者問題に取り組む人々は言う。
 最低賃金に規定がないことは、民間の工場、事業場の労働者にとって、挑むべき課題の一つであるが、4月末に始まる公務員の月給の引き上げは、さらに新たな問題を派生させると彼らは言う。
 「公務員の月給が上がると、きまって物価も上昇する。物の値段は上がるのに、経営者が月給を上げなければ、民間の労働者は耐えられるはずがない。」と88世代の学生組織 (1988年の民主化要求運動の中心となった元学生らにより構成される)のメンバーで、現在労働者問題担当のドー・マーマーウーは述べた。
 最低賃金を定めるのに長く時間がかかるなら、労働者を困難な目にあわせるばかりか、経営者もまたより多くのストに直面することになる、と彼らは言う。
 最低賃金法が施行されるためには、施行細則が出される必要があり、最低賃金法の発効後もも最低賃金を確定するために、労働者、経営者、政府、最低賃金の規定に関する専門家が同人数参加した国民評議会を組織しなければならない。そのほかに、連邦委員会と地域又は州評議会を組織しなければならない。
 国民評議会を組織し、研究、協議を重ねた上で、決定しなければならないので、最低でも1年はかかるだろうし、遅れが生じれば生じるほど、労働者は苦境に立たされるだろうと労働者問題に取り組むウー・テー弁護士が言う。
 「遅れればその分、労働者による蜂起が増えることもあり得る。」と同氏は見解を述べた。
 最低賃金を定めるにはまず施行細則が出るまで3ヶ月程待たなければならず、それが出て初めて国民評議会、地域又は州レベルの賃金を規定する組織がつくられ、最低賃金を決定することになる、と労働者雇用社会保障省の労働者管理局副局長ウー・テッナインウーが述べた。
 「施行細則が出るのに3ヶ月はかかる。最低賃金がいつ確定されるかはまだ言えない。」と同氏は言う。
 経営者の側は、妥当な賃金の額についてすでに見当をつけており、最低賃金を策定するのに、遅れが出ることはありえない、とレッワー縫製業会長ウー・キンアウンエーが語った。
 ミャンマーで認可されている労働者組織のリーダーを招集し、議論を重ね、労働者の現状と生の声を聞いた上で決定するなら、正しい結論が下されるだろう、と88世代学生組織のドー・マーマーウーは主張する。
 ミャンマーでは最低賃金が定められていないが、ミャンマー人労働者が一番多く出稼ぎに行く隣国タイとマレーシアでは、政府がそれを合法的に定めている。タイは最低賃金を1日300バーツとし、マレーシアでは地域により異なるが、1日900か800リンギットと定めている。
 最低賃金を定める際には、労働者と家族にとっての必要、一定の生活基準を満たすこと、衣食住にかかる費用とその変化、現在の賃金、社会保障の受益、国の経済と生産能力向上の必要、GNP(国内総生産)と一人あたりの所得、事業そのものの性格、省庁が承認した規定事項等々に鑑み定めなければならないことが最低賃金法で明示されている。
 最低賃金を決める際には、失業者の雇用を生み出すという立場で考えるべきであること、労使双方にとって無理のない額であることも必要だとウー・キンマウンエー[原文ママ]は言う。
 「賃金をあまりに高く設定した結果、事業が立ち行かず、失業者が増えることになっても意味がない。」と同氏はコメントしている。 
 経営者側にも、事業を展開する過程で、インフラが十分でなかったり(例えば電気)、交通や政府の慣行で手続きに遅延が多かったりと、多々困難を伴うという事情があることも窺えた。

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( 翻訳者:田﨑巧 )
( 記事ID:48 )