ベトナムはODAの借款を効果的に使用
2013年06月03日付 VietnamPlus 紙

6月3日、公的債務問題に続いて、ベトナム政府は、これまでにODAを使用した重要な案件や工事の実施状況について国会に報告した。

「実施額は大幅に改善」
報告書によれば、2012年末までに、ODAの実施総額はODA締結総額の66.92%以上を占める375億9,000万米ドルに上った。報告書では、ODA実施額について一定の改善がなされたことが強調されている。ここ2年について見れば、ベトナム政府と日本、世界銀行など大口ドナ-の決断のおかげで大きく進展した。2011年、ベトナムにとって日本は第二位の援助国であったが、2012年には最大の援助国となり、世界銀行のベトナムに対する援助額の割合は2011年の13%から2012年は19%に上昇した。
 また報告書によれば、1993年から2012年までに締結されたODA総額は560億5,000万米ドルで、ODA約束額の71.69%を占める。ODA約束額のうち、有償資金協力にあたる借款は全体の約88.4%にあたる516億700万米ドルで、無償資金協力は全体の約11.6%、67億6,000万米ドルであった。
 この締結金額は、ベトナムの各機関が具体的なプログラムや案件の中で、ODAを実施、管理するための重要な条件であると報告書は強調している。
 締結された有償資金協力の大部分は低利で長期の貸し付けである。このうち、およそ45%が年1%以下の低金利で、償還期間は30年~40年であり、そのうち10年間は据置期間である。また、およそ40%が年1~3%の金利であり、償還期間は12~30年、そのうち5~10年間は据置期間である。残るその他は少し条件の悪い借款となる。
 しかし、この報告書によると、無償資金協力が時間の経過と共に縮小する一方で、ODA借款の割合は増えている。ODA総額のうち借款の割合は、80%(1993-2000年)、81%(2001-2005年)、93%(2006-2010年)と上昇しており、現在では95.7%(2011-2012年)が借款である。
 近年、特に2010年にベトナムが低中所得国になって以降、借入金は増える傾向にある。多くのODA借款はドナー側からの制約条件付きで、初期費用が高くなり、政府からODA借款を又借りする案件のケースでは投資効率と借金返済の可能性に影響を及ぼしている。

「ODAの効果」
報告書では、ODAが、GDPのおよそ4%しか占めていないのにも関わらず、国家予算による投資資金の中でかなりの比重(15~17%)を占めていると評価する。このことは、ベトナムの開発投資予算に限界がある中、社会・経済インフラ需要は非常に大きいことから極めて有意義である。
これまで、ODAはほとんどの経済・社会インフラ分野に使われている。ODAを使った工事は経済成長と国民生活の向上に貢献してきた。
 農業と農村開発の分野では、ファンリー・ファンティエットの灌漑事業、拡大メコン河流域の洪水・旱魃対策、フォックホアの水資源プロジェクト、サイゴンの洪水対策、500万ヘクタール植林計画、135プログラム、北部の山間部の貧困削減計画、中部の生活圏開発計画など重要な案件が実施された。
 エネルギーと工業分野では、ODAにより、フーミー第2.1火力発電所(出力288MW)、ファーライ第2火力発電所(出力300MW×2基)、ハムトアン-ダーミー水力発電所(出力475MW)、フーミー第1火力発電所(出力1090MW)、オーモン火力発電所(出力600MW)など、大規模出力量を誇る多くの火力発電所と水力発電所の改造、改修、新たな建設が行われた。
 また、ODAは、交通・運輸および電気通信分野において、道路、鉄道、空路、海路、内陸水路など各交通体系の復旧及び初期開発にも充てられた。例えば、北部陸路網(国道5,10,18号線)、国道1A、ホーチミン市・ロンタイン・ザウザイ間高速道路、ホーチミン市・モックバイ間のアジア横断道路、ハイバン峠トンネル、カイラン港、ティエンサ港(ダナン市)、サイゴン港、タンソンニャット空港、また、ミートゥアン橋、カントー橋、タインチー橋やバイチャイ橋といった大きな橋がある。
 これらは各部門、各分野、各地方の発展を推進するため、そして外国からの直接投資を呼び込むために、極めて重要な経済インフラであると報告書は強調する。
 教育・訓練育成の分野に関し、ODAは、全ての段階における教育(初等教育、中等教育、高等教育、大学、職業専門学校)の改革を行うために支援してきた。ODAを使用した典型的な案件として、越独大学建設計画(世界銀行)、ハノイ科学技術大学建設計画(ADB)がある。
 この他、ODAにより、ほとんどの大都市、各省直轄市、各市町村のすべてに生活用水設備が設置されている。現在、ハノイ、ホーチミン市、ハイフォン、ダナンなど大都市では、市内鉄道、排水、下水処理、廃棄物処理場など重要かつ大規模なインフラ開発のため、多くのODAプロジェクトが実施されている。
 報告書は、2011年~2020年の間のODAの受け入れと使用の方向性について、近代的な経済インフラや先進的なインフラを開発し、重点開発地域における貿易と投資の発展を促進する「一押し」や「波及効果」を作り出していくため、当面は大口ドナー、とりわけ6つの開発銀行グループ(ADB、AfDB、JICA、KEXIM、KfW、WB)に集中していくだろうと強調した。

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( 翻訳者:奥山貴子 )
( 記事ID:157 )