ベトナムへのODA:過去20年間で執行額が420億ドルに
2013年10月17日付 VietnamPlus 紙

 計画投資省は、過去20年間で、50以上の支援国・地域が表明したベトナムに対する政府開発援助(ODA)が780億ドルに達したと発表した。その内、630億ドル分が調印され、420億ドル分が執行された。
 1993年11月にパリで開催されたベトナムに対する初の公式な開発支援のための円卓会議から今日まで、世界中の対ベトナム支援国はこの20年間、ベトナムと共に経済・社会発展の道のりを歩み、評価すべき成果を遂げてきた。

 ODAはGDPの3%を占める

 計画投資省のグエン・テー・フオン次官によると、国内の資金力はまだ十分ではないことから、ベトナム政府は、開発投資の必要性に応えるためにも、ODAを始め、外部からの資金調達を常に主張してきた。
 事実、ベトナムは、1980年代後半に深刻な経済危機に見舞われたものの、ドイモイ政策開始から7年後の1993年には、経済成長率は8%に達し、一人当たりのGDPは190ドルだった。また、インフレ率は1990年の驚異的な76.1%から5.2%に大きく減少した。その後、開発業者や投資家がベトナムにやって来るようになった。
 今日、ベトナムは大きく変貌し、過去20年間のGDP成長率は約7%を維持し、2010年には一人当たりの平均所得が1600ドルに達し、中所得国(低位中所得国)入りした。
 世界銀行のビクトリア・クワクワ・ベトナム駐在代表は、ベトナムが中所得国となり、GDPは1540億ドル、一人当たりの平均所得は1700ドルに達し、また、2012年までに約3000万人以上が貧困飢餓状態から脱した-などのベトナムの成果を高く評価した。
 現在、ベトナムは地域経済や世界経済への参入を進めていて、ビジネスの成長率は年20%以上に達している。また、国連のミレニアム目標のほとんどを計画よりも早く達成した。
 しかし、ベトナムがこれまでに達成した成果は、ベトナム国内の努力と国際社会からの大きな支援の結合によるものである。
 ベトナムと支援国との開発協力20年を記念する式典で、グエン・タン・ズン首相は、「これまで、ODAはベトナムの経済・社会発展に重要な貢献をしてきた。様々なプロジェクトや案件の実現を通して、ODAは生産性や競争力の向上に貢献し、あるいは、ビジネス・投資の推進、プライベート経済セクターの発展、国際経済への参入の促進-などのための有利な条件・環境づくりにも貢献してきた」と確認した。


 レバレッジ:“Finance++”アプローチ

 しかし、国際的な開発援助の慣例に従うと、中所得国(低位中所得国)になると、援助の政策や規模に変化が生じてくる。
 計画投資省によると、支援国が表明した援助額は2009年の80億ドルが最高で、その後、徐々に減少の傾向にあり、2012年には約65億ドルであった。
 既に、いくつかの支援国はODAの比率を減らす調整を始めている。即ち、ODAに代えて、新たな融資を拡大しつつあるが、資本市場並みの金利が適用され、返済の据置期間や償還期間が短いなど、これまでよりも条件は厳しい。
 そうした厳しい条件の融資は、これまでの援助よりも割高で使いにくい。よって、より効果的な使い方が求められることになる。
 例えば、条件の厳しい融資を受ける際、為替レートの変動による損失を最大限避けるためにも、ドルと円、あるいはユーロも含めるなどの通貨バスケット制を利用するなど、借り手の賢さが求められてくる。また、金利と手数料は資本市場並みになるため、いかにしたら利益を得られるか、より積極的・計算的になる必要があり、さらに、計画通りに返済できるよう融資の運用にも賢くなる必要がある。
 この点に関し、アジア開発銀行(ADB)のJ.A.Nugent 東南アジア総局長は、新たな状況下で、ベトナムの政策立案者にとっては、開発パートナーから責任感ある洗練された見識を提供してもらうことが必要になってくる、と指摘した。
 その上で、「よって、ADBは、ベトナムを含めた発展途上国の加盟国そしてベトナムの発展目標を支援するため、財務面での見識と運用を合わせて支援していく“Finance++”アプローチという支援を行ってきた。」と強調した。
 一方、在ベトナム日本大使は、「マクロ経済の安定維持に向けたベトナム政府の長期的視点を支援していく。ベトナムが中所得国入りしたとしても、まだ工業化の道半ばである」と指摘した。
 さらに、「ベトナムにとって、今は、より確実な発展のため、様々な試練を乗り越える時期である。ベトナムがそうした試練を乗り越えられるよう支援していくためにも、日本は、今後も、インフラ整備とともに、経済の構造改革や人材開発などに対しても、技術協力を含めたODAを活用していく」と強調した。

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( 翻訳者:田中洋行 )
( 記事ID:346 )