毒をもたらす化粧品(9-51-3-1)
2013年12月29日付 The Voice 紙

 一部のメイクアップ化粧品、スキンケア商品は、ケアどころか危険をもたらす毒ともなるということを、マ・スェズィンは痛い目にあうことで身を持って理解した。
 品質保証のない粗悪な化粧品の中には、水銀、鉛、ヒドロキノン(ハイドロキノン)、ステロイドなどが含まれ、神経系を弱らせ、胃と腸を破壊し、障害のある子供が生まれる要因となる等の恐れがあるが、ミャンマーではそうした商品の副作用のことを知っている者はまだ少ない。脱毛クリームのせいで、皮膚に黒い斑点が残ったマ・スェズィンもその一人であった。
 ミャンマーでは、使用期限の過ぎた化粧品と中国国境から入ってくる品質保証のない化粧品を、事情も知らずに使用する一定層の人々が徐々に増えてきている。
 すべての年代の男女のあいだで10代になるまで手放すことのできないタナカーでさえ、レディーメイドの商品におされ、安心できる度合いも少ない、美白クリーム、日焼け止め、保湿乳液などにとって代わられるようになっている。
 購入した人の多くは、商品のラベルに書かれてある指示を読むこともない。そもそも、中国から入ってくる化粧品の中に含まれる成分と使用方法は、中国語でしか書かれていない。
 国内のマーケットで売られている化粧品の内、半分程度は中国からのものであり、残りの半分はタイ、インドと韓国から入ってきている。品質が基準に達していない化粧品の多くは中国から入ってくるものであり、一部は国内で生産されているものであることが、マーケット内部からの情報で分かった。
 化粧品の価格は、種類により、200チャットから10000チャット代のものまである。しかし多くの人が使うのは1000チャット代の商品である。
 国内の化粧品市場において、タイと中国から入ってくる美肌化粧品及びメイク用品は最もよく売れ、ある程度お金がある層によって使われていることが、ヤンゴンの化粧品販売店からの情報で分かる。
 成分を知らずに容易に購入できる化粧品、廉価な化粧品を使用することで、副作用、悪影響が多々あっても、いろいろな理由から担当責任者に訴えることもしないと利用者の一部は語る。
 「ミャンマーに入ってきた品物は品質が基準に満たない。ものは偽物。質がどうして同じではないのか。時間がたつと疑いが生じる。金銭を支払ったその代価にみあったものを手にするということ」とメイクアップの専門家ニーニーマウン(サンジャウン)が不満げな口調で話した。
 化粧品市場において、合法的に輸入販売する商品と国境から非合法で入ってくる物資を調査選別する必要がある。国外では、有名ブランド化粧品が原因で被害がでれば、即座に告発する権利があると、化粧品を国外から直接購入し使用しているドー・フニンミャウーが本誌に語った。
 諸外国では、著名なブランド化粧品の場合、それが原因で、被害が生じたら、利用者のために、一切の責任をとるので、国外の化粧品のみ注文して使っているとも語った。
 ミャンマーにおいて、使用者が最も多い商品の一つである美白化粧品には、肌を傷つけ損なわせるヒドロクイノン(Hydroquinone)が含まれていることが、マンダレー薬科大学と民族医学局による研究論文に記されている。
 同様に医学研究局(南ミャンマー)が2011年に実施した調査論文には、国内で最も売れている化粧品の一部に含まれる水銀の含有量は規定値より2000ppm余り多かったと報告されている。
 美白クリームに入っているステロイドの為に、皮膚が薄くなる、産毛が生える、肌の色がまだらになる、などの他に、糖尿、高血圧、骨密度の低下、といったことが起こり得ると、皮膚科の医師ドクター・チョーチョーは説明する。
 そのほかに、鉛、水銀のために、腎臓を傷め、障害をもつ子供が生まれる、脳と神経、胃と腸の病気が生じる恐れがあると同医師は付け加えた。
 そのように化粧品に副作用が多々あるが、食品医薬管理局(FDA)が効果的な調査を行うことが出来ていないと、医療関係者は批判的に指摘する。
 日常消費している食品に危険がないことは、もとより肝要だが、何百万もの人間が日々直接肌に塗り使用している化粧品の危険についても、重大問題として取り組むことが必要であると、利用者たちも意見を述べた。
 カネボウ化粧品に肌を傷つける成分が含まれていたことで、市場から商品を回収したことは記憶に新しい。
 そうした回収にミャンマー国内でも利用者の間に若干の衝撃が走ったが、質の悪い期限切れの化粧品は、その後も市場で売れ行きを保ったままである。
 利用者であるミャンマー市民も、美への飽くなき欲求から、品質保証のない化粧品を購入し続けている。
 インドから輸入している脱毛クリーム一種類のみをたまたま使ったことで、脚に黒い斑点とケロイドが残るという被害を被った一人、ヤンゴン、トウワンナ郡区に住むマ・スェズィンは、そうした商品を使うことをやめ、品質保証を付けるべきであり、商品を購入するなら、自分の皮膚で試してからにするべきだとアドバイスした。
 「女の子なのに、肌に斑点が残ったら、ミニスカートとかショートパンツとかはけなくなってしまうもの」とマ・スェズィンは言った。 [レーイェミン、ヤレィ]

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( 翻訳者:原田正美 )
( 記事ID:491 )