《社説》バス路線の例(10-41-19-1)
2014年10月28日付 The Voice 紙

 人口が600万人を超えた大都市ヤンゴンにおける、バスの運行管理の実態を学ぶことで、現在のミャンマーの行政管理能力を大方知ることができる。
 大多数の国で、多くの国民向け旅客運送事業を、政府が引き受けられる場合は政府が、それが出来ない場合は私企業、株式会社にそれを委託するのが慣例である。
 地球上で、一般国民向けの旅客運送事業を上手く機能させ管理することが出来ている、別の言い方をするならば、最良の都市交通を実現しているのは、先進都市の中でもソウル、シンガポール、ミュンヘン(ドイツ)、東京等が最高水準であり、パリ、ロンドン、フランクフルト、チューリッヒ(スイス)、 ベルリンとニューヨークがそれに続くという順である。
 上記の大都市で、一般国民向けの旅客運送事業が成功している事実を、交通機関として見るならば、環状線、地下鉄、モノレールとバスの交通網 を体系的に接続し運行ができるという点が見て取れる。理念、考え方という観点から述べるなら、民衆を「人」と見なし、どのように、スムーズに運行できるよいサービスを提供できるか、国民の立場に立ったサービスを考えることが出来ているということが言える。
 1973年の後半、左側通行から右側通行へ制度が変わった後、ヤンゴンの多くの国民向けの旅客運送事業は、無計画なまま今日に至った。特に、1989年の後半にマ・タ・タと呼ばれる車両交通網監督委員会が組織され、それがバス事業の管理を行うようになると、状況は日に日に劣悪なものになり、旅行者を「人」として見ることはせずに、生命のある「商品」としてだけ見ているような状態にまで陥ってしまったのである。
 実際、今日のヤンゴンで運行されているマ・タ・タとパーラミー自動車路線を主導しているのは、退役した軍人らと軍が所有するミャンマー経済ウー・パイ ン・リミテッドである。この路線を走るほぼ全ての車両の運転手と車掌は、車の所有者に毎日オーナー上納金を払い、その分を超えて残ったお金がその日の儲けになるので、他の車両よりも旅行者をより獲得するため、ありとあらゆる方法を使ってきた。
 その結果、運転手らにあらゆる規則を破らせ、乗客に対してもぞんざいな対応をさせることを助長したた。他方、規則違反を罰金として払わせることで減らそうとする解決策は、支払う罰金額のもとが採れるよう更なる規則違反につながり、その挙句また金を稼がねばならないという、罰金、規則違反、劣悪な対応の悪循環になっており現状から脱けだせない状態になっている。
 確かに、今日の大都市ヤンゴンで、無規律で混乱したバス路線の問題を解決したければ良い方法(例えば、マ・タ・タを公開株式会社として再編する)が存在してはいるが、多くの私利私益も絡んでいるので、従来通り「ポーは元通り、虎も元通り」現状維持に終わるだけでなく、街の中で運行している小型タクシーすらもマ・タ・タ統制の支配下に置こうとしていることには、大いに疑問を呈さざるをえない。
 世界の大都市におけるバスの運行に関して、管理システムをざっと学んでみるだけでも、どのように改善していくべきかを簡単に知ることが出来るが、今日まで「耳朶を逆につまむように」為すべきことを放置して知らん顔を決め込もうする在り様は理解不能だ。国全体の抱えている問題は言うに及ばず、こうした小さなバス運行の問題でさえ、多くの国民の利益を考慮に入れ検討することもせず、自己の利益と既得権を喪失することのみを心配し、現状を死守しようとしているのを見るとき、ヤンゴン管区域政府と連邦政府の管理能力がいかなるものか推して知るべしなのである。

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( 翻訳者:豊嶋悠紀 )
( 記事ID:1110 )