気候変動への対処における宗教の役割
2015年05月25日付 VietnamPlus 紙

 「気候変動への対処におけるベトナムの各宗教の役割を発揮する」というテーマが、ベトナムにおける各宗教指導者の意見交換の会議の議題となった。同会議は、気候変動を前に人間の対処能力を高め、地球全体の気候を守るために国際社会との効果的な協力を目的とする会議であった。
 同会議は、ベトナム祖国戦線中央委員会により「ベトナム支援北欧組織(NAV/NCA Viet Nam)」と合同で5月25日にフエ市で開催された(訳注:NAV=Nordic Assistance to Vietnamは、NCA=Norwegian Church Aidのベトナムでの組織)。
 会議で出席者は、気候変動の概況の説明を受け、気候変動への対処に関するベトナムの党・国家の方針・政策・法の概要や、ベトナムにおけるNCAの気候変動に対処する支援戦略、「世界とベトナムにおける気候変動の作用」に関するビデオ資料、「気候変動への対応モデル」などを紹介され、気候変動への対処における各宗教と国・祖国戦線・各団体の関係機関との間の協力網を発展させ、フエ市における名所旧跡と人々の宗教生活への理解を深めた。
 ベトナム祖国戦線中央委員会副主席のレ・バー・チン氏は、全地球の気候変動は日増しに激しく深刻になりつつあり、その最も明確な表れは地球の温暖化、氷河の解氷、海面上昇であり、不規則な雹、台風、津波、地震、長引く旱魃や寒波などの異常気象が生産や生活に困難を引き起こし、食料不足を招き、人・家畜・家禽などに大量の疫病をもたらしている、と述べた。
 ベトナムは過去50年間で気候変動の影響を最も強く受けてきた国の一つだとされている。統計によれば、ここ数年で、台風、洪水、地滑り、冠水、旱魃、塩害やその他の天災が、9000人以上を死亡あるいは行方不明にさせており、その被害額は1年のGDPの約1.5%を占めると見積もられている。
 2015年までに、ベトナムは環境の原因により約13万5000世帯が再定住を余儀なくされると予測されている。2050年までにはメコン・デルタで何度も繰り返される洪水と旱魃で100万人もの人が移住しなければならないであろう。
 このような状況を前にして、ベトナムの党と国家は、気候変動に対処するため、早期に方針・政策を打ち出し、多くの人員を動員してきた。具体的には、温室効果ガス削減に関して1997年12月11日に京都で署名された国際連合枠組条約にベトナムは早くに参加した。政府は気候変動に対処する国家目標プログラムを批准し、党中央委員会の「気候変動に主導的に対処し、資源の管理と環境の保護を強化する」決議24号を実現する行動プログラムに関する政府決議08号を公布し、政府首相を委員長とする気候変動対処国家委員会と、気候変動に関する政府と国家委員会の諮問会議などを設立した。
 2020年までの目標は、基本的には、ベトナムは主導的に気候変動に適応し、天災を予防し、温室効果ガスを削減し、開発において抜本的転換をし、合理的・効果的・持続的に資源を使用し、環境汚染の増進を抑制し、グリーン・エコノミーをめざしていく。
 2050年までに、ベトナムは主導的に気候変動に対処し、資源を合理的・倹約的・効果的・持続的に開発・使用し、生活環境の質と生態系のバランスを確保し、地域の先進工業国の現在の水準と同程度の環境に関する指標に達するよう努める。

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( 翻訳者:今井昭夫 )
( 記事ID:1534 )