ニントゥアン原子力発電所建設プロジェクトの実施取り止め
2016年11月22日付 VietnamPlus 紙
ニントゥアン原子力発電所の完成予想図
ニントゥアン原子力発電所の完成予想図

 国会は、ニントゥアンの原子力発電所建設プロジェクトの実施の取り止めについての決議を通過させた。この情報はマイ・ティエン・ズン官房長官が11月22日午後の政府記者会見にて明らかにした。
 プロジェクトの実施取り止めに関する内容の報告で、同官房長官は次のように明言した。「国会を通過した本プロジェクトは、2009年11月25日の国会決議41号において投資の方針が打ち出された。プロジェクトにはニントゥアン第一とニントゥアン第二の2つの原子力発電所が含まれていた。これらの原子力発電所はそれぞれ2000MWの電力を国家の電力システムに供給でき、国やニントゥアン省の経済・社会の発展に貢献するものとされた。政府は、法律の規定に沿って、綿密・確実にプロジェクト建設投資の準備実現を指導してきた」
 プロジェクト実施の取り止めの理由についてマイ・ティエン・ズン長官は、実施取り止めが、現在のわが国の経済条件に基づいて、きわめて慎重に検討されたことを強調した。現在のベトナムのマクロ経済発展状況は、プロジェクトに投資をする事を決定した時点から大きく変わっている。電力節約の余地がまだ多く残されており、近隣諸国と電力を交換・買電のための地域電力網の連結の可能性は今後高まると予想されている。特に風力、太陽光などの再生可能エネルギーを利用する潜在的可能性が経済的に実現可能となっている。というのはこれらのエネルギーによる発電コストが、過去5年間で劇的に減少しているためである。また、ベトナムは国の経済・社会の発展にとって原動力となる現代的・適合的な各種インフラ・プロジェクトを発展させる投資の莫大な資金や、気候変動が引き起こす諸問題に対処するための資金を必要としている。
 政府の報告に基づいて、国会はニントゥアン第一、ニントゥアン第二の2つの原子力発電所の建設計画を取り止めるという決議を通過させた。
 ズン官房長官は、プロジェクトの実施取り止めが技術的な理由からではなく、ベトナムの現在の経済的条件のためであるという点を強調した。また同時に、ニントゥアンの原子力発電所のプロジェクトに使用されると見られるロシア連邦と日本の原子力技術がいずれも現在の最先端であり非常に高い安全レベルであるので、まったく安心しているとした。この決定は、国の持続的発展を確保するために党中央委員会、政府、国会が高い責任を持って慎重に検討した決定だといえる。同長官は、この決定に国民の強力な支持協力と、ロシア、日本の深い理解を望んでいる。
 ズン官房長官は、プロジェクト中止時の電力供給確保に関する諸対策、処理方針に関し、もし原子力発電所が建設されていれば、2030年には国家電力システムの総出力の約3.6%、総発電量の約5.7%に貢献する見込みであったと述べた。
 プロジェクトの実施取り止めは、他の電力源からの補填により、電力供給に関する安全保障には影響を与えないものとされている。具体的には、石炭火力発電、再生可能エネルギーを利用した発電、液化天然ガス火力発電などが挙げられており、また、ラオスをはじめ、近隣諸国からの買電を強化する措置も検討されている。
 ニントゥアン原子力発電所に代わる今後の代替策として、まず2030年までは、先進的、現代的、そして環境にやさしい技術による石炭火力発電所や、輸入による液化天然ガスを用いたガスタービン発電への投資が検討されている。総出力は約6000MWで、これはニントゥアン第一・第二原子力発電所の総発電量の代替策として十分可能なものである。
 2030年以降は、石炭や輸入液化天然ガスを用いた火力発電の適切な発展を継続しつつ、風力や太陽光のような再生可能エネルギー源の発展促進や、環境にやさしく省エネ技術を用いたグリーン経済を志向した経済の構造改革を行うことで省エネや効果的なエネルギー利用の実現推進を検討するとともに、近隣諸国との電力網の連携や電力売買協力の強化も検討されている。
 既に行われたインフラへの投資、人材養成、経費の処理に関して、ズン官房長官は、地元の経済・社会の発展に資するよう、政府が中心となって、関連インフラが最大限効果的に利用されるよう諸対策の実施を指導していくと述べた。
 ロシアおよび日本における原子力発電に関する人材養成は、両国政府の善意によって各学生が卒業するまで継続される。そうした人材は、平和目的の原子力エネルギーの応用分野、火力発電所、あるいは、ベトナム電力の火力発電所管理委員会などでも活躍できるよう養成されている。
 プロジェクトに関連する各省庁、各部門、各地方において既に実施された経費は、政府が中心となってとりまとめ、権限に基づき解決する。また、プロジェクトの投資準備段階で既に達成された成果の利用については、ベトナム政府がロシア、日本両国政府と協議、検討する。
 各協力パートナーとの関係に関し、ズン官房長官は、ニントゥアン原子力発電所建設プロジェクトの実施取り止めについては、ベトナム政府は、国会に取り止め方針の報告を行う段階で、ロシア、日本との協議を行ったと述べた。ロシアと日本は、ニントゥアン第一・第二原子力発電所の建設に関する投資協力において既に多くの成果を残しているプロジェクトの実施中止に対し、遺憾の意を表しつつも、ロシアと日本は基本的に、友好関係を体現し、ベトナムの決定に理解と尊重の意を表した。また、ロシア、日本両国政府は、原子力発電所建設に関する投資協力に代わるインフラ基盤の発展分野でベトナムとの協力、支援の強化を希望した。
 ベトナム政府は、プロジェクトの投資準備段階におけるロシア、日本両国政府の善意と支援、そして、ロシアのロスアトム、日本の国際原子力開発株式会社などプロジェクトに直接関わったパートナーの効果的な協力を高く評価するとともに、深い感謝の意を表した。ベトナム政府は、プロジェクトの投資準備段階において達成した成果の活用策について、各国の関係機関が協議し、取りまとめることで、ロシア、日本両国政府と一致した。ベトナムは、将来、ベトナムが原子力発電所を建設することになった際には、ロシアと日本を筆頭のパートナーとして優先すると確認した。
 ベトナム政府は、プロジェクトの実施取り止めはロシアとの全面的戦略的パートナーシップ関係、日本との広範な戦略的パートナーシップ関係に何ら影響を与えないことを確認した。
 ニントゥアン第一・第二原子力発電所建設の投資協力に代わるものとして、ベトナム政府は引き続き、インフラ基盤整備・経済・ビジネスの分野-ロシア、日本の各企業が強みを持ち、ベトナムの経済社会発展戦略に沿う分野-でのプロジェクトの実現に向けた協力について、ロシア、日本両国政府と協議していく。
 政府は引き続き、ニントゥアン省の経済・社会の発展に関心を寄せており、プロジェクトの中止を受け、ニントゥアン省で既に投資された施設を効果的に利用するための対策を検討する。

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( 翻訳者:仁比祥大、山田英輝 )
( 記事ID:3248 )