ハノイは世界で最も汚染されている都市のひとつ
2017年04月25日付 VietnamPlus 紙
ハノイの道路(出所:ベトナムプラス)
ハノイの道路(出所:ベトナムプラス)

 世界保健機関(WHO)は、ベトナムはアジア太平洋地域の国と比べて大気汚染の程度が特別高い国だということを連続的に警告している。
 ベトナムは1年の半数以上の日の大気の質が劣悪で、中でもハノイは世界で最も汚染されている都市の1つである。
 以上のことを国会事務局の副主任であるドー・マイン・フン氏は、「ベトナムの大気汚染:実情と解決策」という、国会事務局がドイツ連邦共和国のハンス・サイデル財団とともに4月25日にベトナムで開催したシンポジウムで明らかにした。
 シンポジウムは、社会経済の状況についての討論や、環境問題や気候変動の問題に関連する重要な政策の審議・可決が行われる中で、さらなる参考情報を国会議員に提供するために行われた。そしてこれはまた専門家や科学者、管理機関に科学的な情報を更に伝える方法であり、研究や国家管理活動に役立てるものである。
 大気環境汚染問題は、現在、ベトナムの都市環境や工業団地、工芸村で深刻な問題となっている。
 天然資源環境政策戦略研究所(天然資源環境省)は、大気汚染を生み出すもととなる2つの要因は自然と人間であるとしている。その中で人間が引き起こす要因として交通運輸や、工業生産、建設、住民の生活、農業や村の工芸、廃棄物処理が挙げられるという。
 大気汚染は開発途上国でも先進国でも人間の健康に影響を与える主な要因になっている。保健省の統計によると、この数年で、呼吸器の病気の罹患率が全国で最も高くなっており、その原因の1つが大気汚染であるという。
 大気汚染は、人間の健康や経済・環境に作用する一方で、グローバルな問題をも引き起こしている。オゾン層破壊、大気圏の温暖化、酸性降下物などである。
 大気環境の質についての一般的評価として、環境総局環境観測センター長の、グエン・ヴァン・トゥイー氏は、ハノイとホーチミンは、社会経済発展のための活動によって大きな負荷がかかったことにより、全国で最も大気が汚染されている都市だと伝えた。
 クアンニン省やタイグエン省、ドンナイ省など、工業発展の活動が昔から盛んな一部の省や都市もまた大気汚染されていた。これらの都市の大気環境の汚染の中で、粉じんによる汚染が依然として主な問題である。粉じんによる汚染は、規則的に変化し、特に都市部ではラッシュ時に[汚染度が]高くなる。工芸村の大気汚染は以前と比べて減っていないだけでなくむしろ増加傾向にある。
 大気汚染を減らす方法に言及し、天然資源環境政策戦略研究所の副所長であるグエン・チュン・タン氏は、次のように述べた。「大気汚染に関する法律や規定を見直して、タイムリーに調整・改正し、特に都市部や工業団地、工芸村での大気環境の管理に対する実践的なニーズに対応できるようにする必要がある。
 交通運輸、建設、工芸村、廃棄物処理など深刻な大気汚染の原因物質を排出する分野には、厳しい規制が必要であるのと同時に、大気汚染の原因物質排出抑制のための適切な政策システムの構築や、大気汚染を軽減するための技術の奨励も必要である」
 多数の意見が、コミュニティの健康被害の抑制や、気候変動への影響の軽減に貢献するための適切な政策の構築と研究が必要だとの見方である。このうち、特に、上記のような課題を克服するための詳細な規定を盛り込んだ大気汚染の検査に関する法律を一つ公布することについて緊急に研究する必要がある。
 同時に、各代表者は、法律を厳正に執行するメカニズムを構築し、各当事者の責任と義務、まず何より国家管理の責任を明確に規定する必要があるとの見方を示した。
 大気汚染による害に関し、人々と企業への情報の周知と認識の向上を強化する必要があると提案する意見が出された。このことを通して、大気環境の保護における人々と企業の認識と責任の意識が向上するという。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:武本侑馬 )
( 記事ID:3417 )