ホーチミン市は自家用車両の使用を制限する措置を模索
2017年04月20日付 VietnamPlus 紙


 4月20日開催のシンポジウム「ホーチミン市における自家用車両の利用需要をコントロールする-現状と解決策」で、ホーチミン市交通運輸局のブイ・スアン・クオン局長は、同局は交通運輸省の交通戦略発展研究所と協力し、自家用車両のコントロールと公共交通機関の運行に関するプロジェクトを2017年10月中に取りまとめ、ホーチミン市人民委員会に提出するとの考えを明らかにした。
 クオン局長はさらに、「市の関連当局はホーチミン市人民委員会の指導部に対し、オートバイの新車登録、自動車の中心部での駐車料金の設定、技術的な安全が確保されていないオートバイのチェック・回収・処理など、管理担当部門ごとにオートバイの流通を厳しく制限する政策を立案、建議するとともに、2030年までにオートバイの市中心部への乗り入れを規制するロードマップを公表する。さらに、市は公共交通機関の能力を高め、市の交通需要の60%に対応できるようにしていく」と述べた。
 ホーチミン市工科大学准教授のファム・スアン・マイ博士は、「オートバイは渋滞や交通事故を引き起こす主な原因であり、そのため、その使用を制限し、交通システムから早期に排除すべきである」と言う。マイ博士によると、ホーチミン市は世界でもオートバイの最も多い地域であり、その数は人口1000人に対して平均910台にのぼる。一方、ハノイは653台、タイのバンコクは265台、インドのデリーは175台、インドネシアのジャカルタは160台であった。
 現在、ホーチミン市では毎年平均40万から45万台のオートバイが増加している。この他、ホーチミン市に流入してくる人々のオートバイが約100万台もある。一方、現在のホーチミン市の道路面積は2600万平方メートルで、現在流通しているオートバイの75~80%が適正速度で走行できるようにするためには道路面積を9120万平方メートルまで拡張しなければならない。よって、現状では、交通渋滞は必然的に発生する。
 「オートバイはベトナムにおける交通手段の一つであると見るべきではない。日本はオートバイの生産国だが、国内の移動手段として使われてなく、アジアの後進国や発展途上国に売られている。」とマイ博士は自身の見解を述べた。
 一方、ホーチミン市橋梁・道路・港湾協会のハー・ゴック・チュオン副会長の見解によれば、自家用車両の制限の実現を目指すなら、ホーチミン市を含め全国的な自家用車両を制限するという明確な政策が必要であり、適切なロードマップの作成や公共交通の発展、そして何よりも住民の理解が必要となる。
 また、マイ博士の提言では、ホーチミン市は先進国の観点に倣うべきであり、オートバイは自家用交通手段ではないという認識のもと、その交通量が全体の40%以下になるよう規制を敷き、その後、徐々に市や国の交通システムから除外していくという。
 そのためには、オートバイの購入権を証明する書類による新車の登録管理を行ったり、オートバイに対する通行料、渋滞料、環境汚染料などの新たな規定を制定したりする。また、バスやBRT(バス高速輸送システム)など公共交通機関が適切に運行されている道路でのオートバイの通行を規制または禁止したり、オートバイの生産を削減、あるいは中止する。さらに、企業が従業員に対し、公共交通機関の交通費を助成するなどの支援も必要になる。
 その一方で、公共交通機関の整備に関し、ホーチミン市は、近隣の5省を含めた“ホーチミン市圏”を形成し、高速道路や路面電車などの現代的な交通システム網で連結する計画を早々にとりまとめる必要がある。特に、25路線からなる高速バスBRT、および、小さな路地から大通りに出るための小型バスなど、約2万1000台によるバス交通システム網の開発・発展が求められている。
 シンポジウムで、ホーチミン市交通運輸局運輸室のファム・ディン・ドゥック室長は、「将来的に、ホーチミン市は、公共交通機関の発展を計画し、バスの路線網を見直す。バス・インフラへの投資を行い、高速バスや(より輸送力の大きい)地下鉄の整備プロジェクトの実施を推進する。そして、公共交通機関の発展に向けた適切な道路利用のためのインフラ整備、公共交通機関のサービスの質に対する国の管理の能力および効率の向上、市民に対するバス利用への呼びかけ、公共交通機関の発展および自家用交通手段の管理・利用のシステム化などを進める」と明らかにした。
 ホーチミン市交通運輸局の報告によれば、2017年3月15日現在、市が管理している車両は約800万台で、その中には60万台以上の自動車(2016年比で11%増)が含まれている。しかし、流通しているものの管理されていない車両が他に約100万台ある。
 公共交通機関のネットワークに関し、ホーチミンン市には現在、142のバス路線と54の社員の通勤用の路線がある。市の中心部に向かう多くの道路ではラッシュアワー時には交通渋滞が頻繁に発生し、また、空港や港に向かう幹線道路では一部区間でラッシュアワー時の平均走行速度に影響が出ている。

参考記事「手頃な公共交通機関を整備すれば、人々は意識的にバイクを手放す」
http://www.vietnamplus.vn/cu-lam-tot-van-tai-cong-cong-nguoi-dan-se-tu-y-thuc-tu-bo-xe-may/437746.vnp

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( 翻訳者:高橋和佳子 )
( 記事ID:3419 )