(Perspective) フェイスブックとカラーが与えた教訓 (2017年6月1日 14)
2017年06月01日付 The Voice 紙

現在SNSサイトのフェイスブックにおいて騒がれている問題は「カラー」という言葉をヘイトスピーチであるとフェイスブックチームが定めたことだ。それに伴い、カラーという表現が憎悪を含む言葉であるかないかという点について意見が割れ、論争になっているのも見受ける。

上記の「カラー」という用語に関して、ミャンマー国内の社会状況や治安問題についての専門家や一部のNGOによる提案に基づいて禁止したとフェイスブックが述べた。どの団体であるとははっきりと発表しなかった。

実際のところ、ミャンマー語においてカラーという表現はおよそ700年にもわたって使用されており、初めて使用されて以来、侮辱するために使用されたという証拠となるような資料は多くない。

ミャンマー語の用語にもカラーという表現の他に、[訳者注―カラーという単語を含む用語である]ペーカラーヒン(豆カレー)、セーカラマ(漢方薬ゼリー)、タイェッティー・カラデー(マンゴーの漬物)、カラオーディー(鷹の爪)、ティッカラオウッ(キリン)、フゲッカラオウッ(ダチョウ)、カラデッ(木魚)、カラタイン(椅子)、カラダン川など、異なる用法や名称もある。コンバウン朝時代、ミャンマーの識者で文学者でもあった人物の名前もウー・カラーであった。現代ではカラーという言葉はインドからミャンマーへ移住して暮らしている人々のみを一般に指して言うが、相手を侮辱するヘイトスピーチであるかないかというのは、言葉を使う人の心情や意図次第であると思う。

ニュースやフェイスブック利用者の話によると、フェイスブックチームが問題視したために、ここ数日のあいだに「カラー」という単語を使用したインターネット利用者のアカウントで「いいね!」やコメントができなくなったり、投稿が取り消されたり、アカウントが一時的に停止されたりした。その際、国内のフェイスブック利用者からの反応は、「カラー」という用語とその関連語を他のSNSではっきりと書くというものだった。いかなる機関も責任を負って解決に取り組んでいない。責任を負うべき機関も政策もない。

グーグル、フェイスブックと諸外国政府が、 SNSを通してヘイトスピーチが広がったこと、粗暴な言葉使いや脅迫を行なっていることに加え、意図的に誤った情報を拡散していることに対し、効果的に対応して、抑制するようにと[ミャンマー政府に]圧力をかけていたときに、上記のような報告を受けたため、フェイスブックチームが即座に対処したようだ。そのため一方から見てみると、ヘイトスピーチや誤情報の拡散を防ごうと計画していた事業過程を、誤った思い込みに基づく情報によって妨害されているという思いだ。

利用者の反応によって、その後、同決定が誤りであることが判明したため、上記の禁止事項を再度修正すべく早速取り組んでおり、二度とこのようなことが起こらないように注意していくとフェイスブックのスポークスパーソンが話したことを、Mashableオンライン・ニュースが明らかにした。

 世界中にフェイスブックの利用者は20億人以上おり、約70種の言語を使用している。膨大な規模を取り扱わねばならないために、予期せぬ多くの間違いが発生する。とくに、粗暴な言葉使い、差別、性ビジネス、誤情報の拡散などが起きているので、効果的に対処すべく諸国家の政府からの圧力も受けている。これまで妨害を受けたり偏見をもたれたりしてこなかったミャンマーの諸問題が原因となって、再度、国内で論争含みの問題が起きる可能性もある。

こういった状況であるため、3,000万人ものSNS利用者がいるミャンマーでは、ヘイトスピーチや誤情報などを防ぐために、政府と専門家チームが策定する政策、サイバー倫理やインターネット協会(ISOC)のような組織が必要だという意見を述べておきたい。理由は、民族問題、宗教対立、国境地帯の情勢不安、政治的立場の不一致などが原因で、個人的な誹謗中傷にまで至るような事態を日々目にするためでもある。

「カラー」という言葉の使用を禁止した際、ミャンマー国内の社会状況や治安問題の専門家と一部のNGOによる提案に基づいて行なったとフェイスブックが述べた。しかし、ミャンマー人の考え方、ミャンマー人の精神、ミャンマー人の慣習的な言葉の用法を理解していない人々であったため、そのような報告が出されたのだと思う。さらに、それは誤りであるとの反応が起きた時にも、まるで利用者たちによるキャンペーンであるかのような反応だけがみられ、専門家、専門家団体、省庁、民間団体などは、対処法が得られないとしてなんの対処もしなかった。

今回の問題は国内のインターネット利用と基準の設定を担当する機関や政策がないために起こったというのは明らかだ。啓発事業をおこなったり、起こりうる問題を防止し、それに続く問題を解決したりするために機関や政策を設置することができなければ、今回のような問題が引き続き見られるだろうし、ミャンマーのSNSの世界も論争や憎悪の風潮でのみ埋め尽くされるだろう。

マウンモーズン

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( 翻訳者:金子愛 )
( 記事ID:3515 )