戦争の後遺症を克服する:越米関係の明るい点
2017年10月18日付 VietnamPlus 紙
ベトナム国防戦略研究所とアメリカのアジア太平洋安全保障研究センターとの協力覚書調印式
ベトナム国防戦略研究所とアメリカのアジア太平洋安全保障研究センターとの協力覚書調印式

 10月17日朝、アメリカの首都ワシントンにある米国防総省の本庁舎において、2017年「越米国防政策対話」が開催された。
 対話に参加したベトナム国防代表団の団長は、党中央委員、中央軍事委員会常任委員、国防省次官を兼任するグエン・チー・ヴィン上将である。
 アメリカ側で対話に参加した代表団を率いるのは、米国防総省・国防副次官補(南アジア・東南アジア担当)のジョセフ・H・フェルター博士である。対話の参加者にはまた、ファム・クアン・ヴィン駐米ベトナム大使も含まれている。
 ワシントンのベトナム通信社特派員によると、2017年「越米国防政策対話」は、アジア太平洋地域の安全保障への課題に関する情報を更新し、越米間の全面的パートナーシップの枠組み内で、二国間の国防関係を推進するための協力内容を議論した。
 2017年「越米国防政策対話」は、世界情勢や両国が共に関心を向ける地域についても話し合ったほか、2017年における協力の結果を評価した上で、2011年の二国間国防協力推進に関する覚書や、2015年の越米二国間国防関係についての共同ビジョン声明と合致するような2018年以降の協力の方向性を決定した。またベトナムのゴ・スアン・リック国防相による2017年8月の訪米に際して行われた両国国防相の合意を実現化し、越米間の全面的パートナーシップの推進に貢献した。
 対話において、グエン・チー・ヴィン上将は、ベトナムがハノイに平和維持センターを開設したばかりであることをアメリカ側に知らせ、軍医の分野における両国国防省の協力の可能性は非常に高く、特にベトナムが2級野戦病院を展開し国連平和維持軍へ参加する準備をしているという状況においてはなおさらであると評価した。
 グエン・チー・ヴィン上将が特に高く評価したのは、ベトナム戦争中行方不明になった両国の軍人の情報や遺骨を捜索する活動における二国間の協力であり、これは二国間国防の協力において一つの明るい点であるとみなした。現在に至るまで、人材と技術、およびこの活動の方法に関してベトナム側の能力には何の問題もなく、戦争中行方不明になったアメリカ兵の捜索活動(MIA)の厳しい要求にも完全に応えることができている。
 戦後に残された爆発物の処理活動について、グエン・チー・ヴィン上将は米国防総省に、この分野における両国間で締結された合意を引き続き支援し、各国際組織がこの活動に参加するよう宣伝・運動を続けることを提案した。
 グエン・チー・ヴィン上将は、アメリカ側の助けによって、ダナン空港におけるエージェントオレンジと呼ばれる枯葉剤(ダイオキシン)を除染するプロジェクトが予想外に完了したことを報告した。
 ベトナム側はダナンにおいて、丁度11月初めにプロジェクトの終了を発表する式典を開催予定であるが、その時アジア太平洋経済協力機構(APEC)のサミットウィークが開幕する。世界中の指導者が多数参加し、その中にはアメリカ大統領のドナルド・トランプ氏も含まれている。
 それに続いて、ベトナムはダナン空港におけるダイオキシン除染プロジェクトの成功経験を総括するため、国際シンポジウムも開催する予定であり、それには国際的な科学者とともに、両国の高官も参加する。
 グエン・チー・ヴィン上将は、アメリカ側が、より大きなプロジェクトであるビエンホア空港でのダイオキシン除染における公約を引き続き実現し、土地の解放と人民の安全保障に貢献してほしいと表明し、同時にこれは人道的性質を帯び、ベトナムの経済と社会の発展に寄与し、越米二国間関係を強化する活動であると強調した。
 アメリカは、海洋警察、軍医、平和維持、ダイオキシン除染の分野における協力についてのベトナムの申し出を承認し、全面的に支援すると、ジョセフ・H・フェルター博士は述べた。アメリカ側はベトナムに、2020年に東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国の役割を果たす準備をするため、引き続き二国間および多国間フォーラムへ参加することを提案した。
 対話に参加していた、米国防総省に属するMIA捜索機関の副次官補であるファーン・サンプター・ウィンブッシュ女史は、この分野におけるベトナム側の協力・援助活動を非常に高く評価した。同女史は、ベトナムのゴ・スアン・リック国防相による先の訪米に際し、同氏がアメリカ側へMIA活動に関する信頼性の高い書類を二部提出したこと、および両国の各合同捜索チームが実地で効果的に活動できるよう、時間や場所について有利な条件を整えたことに対して、心からの謝意を表明した。
 2017年「越米国防政策対話」が終了して、グエン・チー・ヴィン上将とジョセフ・H・フェルター博士は、ベトナム国防戦略研究所と、アメリカのハワイに本部を持つアジア太平洋安全保障研究センター(APCSS)との協力に関する覚書の調印式に立ち会った。
 この機会に、ベトナム国防省を代表して、グエン・チー・ヴィン上将は、MIAの捜索活動に寄与する2部の書類をメリカ側に引き渡した。
 ジョセフ・H・フェルター博士は、ベトナム側の善意あふれる行動に感謝の意を表すとともに、戦争中に犠牲となったベトナム人一兵士の遺品が遺族のもとに届くことを願って、それをグエン・チー・ヴィン上将に手渡した。

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( 翻訳者:岩切南 )
( 記事ID:3836 )