世界の繊維・縫製品市場では競争の激化が予想されている。中国だけではなく、ミャンマー、カンボジアなど他の多くの国も、広い地域で市場シェアをめぐり、ベトナムとの競争圧力を増大させている。

　　　懸念される価格低下

　９か月間で、ベトナム繊維・縫製品分野の輸出はほぼ230億ドルに達し、昨年の同じ時期と比べて9.8％増加し、年間輸出計画の75％以上を達成した。ベトナム繊維・アパレル協会は、2017年のベトナムの繊維・縫製品の輸出入は、310億ドルに達し、2016年に比べて10％増加する可能性があると予測している。
　しかし、専門家や企業も、ベトナムの繊維・縫製品の輸出市場、特に、米国、EU、日本などの主要市場において競争はますます熾烈になると予測している。
　ベトナムの繊維業界では著名な、フンイエン縫製公社取締役会長のグエン・スアン・ズオン氏は、「大企業にとって2018年の受注は大きな問題ではないが、［さらに］注目すべき事がある。それは、繊維・縫製品の単価が下がる傾向にあることだ」としている。
　同社の代表者によれば、多くの市場での価格の下落は、今後のベトナム繊維・縫製品に影響を与えるだろう、とのことだ。
　一方、従業員の数がとても多いベトナムの繊維・縫製品部門は、生産コストが高い、付加価値が低い、多くの企業の競争力がまだ現在のトレンドについていけないレベルであることなど、多くの課題にさらされている。
　ドゥオン氏は、輸出注文の単価は下がる可能性があるが、給料やその他のコストなどベトナムでの投入コストは増加した、と述べた。
　「もし企業が生き残りたいのであれば、唯一の方法は生産性の向上、管理方法の刷新などをすることだ」とズオン氏は語った。
　この観点に沿って、ホーチミン市縫製・刺繍・編物協会会長ファム・スアン・ホン氏はまた、来たるべきベトナムの繊維・縫製産業の課題、特に中国、ミャンマー、カンボジアなどこの地域の国々からのますます強力となる競争圧力について指摘した。
　実は、これらの国々は輸出市場のシェアについてだけでなく、国内市場においても突破口を開いているという。政策により保険や土地、税など［にかかる費用］はどれもベトナムより安いのだ。
　このため、上記の障壁を乗り越えより良く競争するために、この協会の代表者は、「各企業は労働者の熟練技能を十分に利用しこれを活かすと共にマネジメント体制を刷新しなければならない。これにより生産を最適化し、労働生産性を向上させることができる」と提案した。

　　　生産性を向上させることで競争する

　ベトナムの繊維・縫製産業の限界について指摘もしつつ、商工省次官のカオ・クオック・フン氏は、主な生産形式が外国からの注文に応じた加工であるため、付加価値率が高くないという。
　さらに、繊維・縫製品のサプライチェーンがまだ発展していないことが、ベトナムの繊維・縫製品産業の付加価値が世界の多くの国と比べて低い、という結果を招いている。
　まさにこのため、上記のことを克服するために、フン氏は、「政府や各省庁は、困難を段階的に解決し、この分野の企業にとって良い条件を整えている」と述べた。
　それによると、政府は裾野産業分野の発展を目指した政策システムを公布したという。その中に、繊維・縫製品部門の裾野産業製品も含まれていることから、ベトナムの繊維・縫製部門のサプライチェーンの発展に貢献できるという。
　企業側としては、グエン・スアン・ズオン氏によると、企業が生き残りたいならば、唯一の道はまさに労働生産性を向上させることだという。
　「上記目標実現のために提示された方策は、まさに技術・機械・設備、コーポレートガバナンスを改善することだ」とズオン氏は言う。
　2017年について分析し、ベトナム繊維・縫製グループ（Vinatex）のレ・ティエン・チュオン社長は「ベトナムの繊維・縫製企業にとって試練と困難に満ちた年だった」との見方を示した。
　しかし、試練の中でも企業が自ら競争力を向上させ、より生産性の高い技術に深く投資するための多くの機会が開かれた。
　チュオン氏は、「第４次産業革命はベトナムの繊維・縫製部門に新しい機会を作り出した。しかし、より大きな強みを作り出すためには、企業自身が資本や市場に関するリソースを含めた準備を行う必要がある。新しい生産・投資の過程で第４次産業革命を段階的に応用していくためである。」とした。

［関連記事：「ベトナムの繊維・縫製分野：労働生産性の向上を求める第４次産業革命の圧力」］
https://www.vietnamplus.vn/det-may-viet-ap-luc-cach-mang-40-doi-hoi-tang-nang-suat-lao-dong/473273.vnp

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（ 翻訳者:阿部克哉 ）
（ 記事ID:3995 )