メコンデルタにおける水源とエネルギー源の安全保障への課題
2017年12月14日付 VietnamPlus 紙
2016年に深刻な塩害を被ったキエンザン省アンビエン県フンイエン社の水田に灌漑する水路
2016年に深刻な塩害を被ったキエンザン省アンビエン県フンイエン社の水田に灌漑する水路

 予想よりも早く進みつつある気候変動と海水上昇が引き起こす多くの異常気象現象によって、200万近いの人々の水源の安全保障の確保と国家エネルギー安全保障の持続的発展において、メコンデルタは多くの課題に直面しなくてはならない。
 これは、グリーンイノベーション開発センターによって12月14日ハノイで開催された「メコンデルタにおける気候変動を背景とした水源とエネルギー源の持続的開発」フォーラムで、専門家たちが提示した認識である。
 ベトナム科学技術連合会の副議長であるファン・ヴァン・タン氏はフォーラムで、これまでのメコン河上流における水力発電ダムの建設が水流を変え、内陸の塩害を起こし、メコンデルタの経済社会の発展に悪影響を与えてきたことを強調した。
 さらに、内陸地域における急ピッチで激しい経済発展活動の反面として、環境汚染や生態系の深刻なアンバランスなど、メコンデルタにおいて多くの悪影響を引き起こしている。
 加えて、「メコン河沿いや海沿いの地域において2030年までに14の火力発電所を建設予定としている国家電力開発基本計画も、もし有効な解決法が無ければ、この地域の気候変動の問題に多大な悪影響を与えるだろう」とタン氏は述べている。
 こうした中、生態系についてのフリーの専門家であるグェン・フー・ティエン氏は、地下水の過度な開発が地下水量の減少と地盤沈下を引き起こすというメコンデルタの水源安全保障への脅威を強調した。
 ティエン氏によると、現在100万以上の井戸があり、メコンデルタ全域で、地下水は年間平均約26cm水位降下しており、年間1.6cm地盤沈下している。そしてもし水源開発のスピードがそのまま維持されるならば、2050年までの地盤沈下は1990年代と比較して0.88mになる。
 こうした実情をふまえティエン氏は、気候変動に適応するためのメコンデルタの持続的開発に関する政府の120/NQ-CP決議を高く評価した。
 それについてティエン氏は、自然に対する粗暴な干渉を避け、稲の3期作を減らし、生産量を増やす思想から農業経済的思想へと切り替え、火力発電所をこれ以上建設しないという自然に対してやさしい適切なアプローチを支持した。
 別の角度から、気候変動研究所の副所長であり準教授のレ・アイン・トゥアン博士は、現在メコンデルタが水源に関して6つの課題に直面しているという認識を示した。それは、気候変動と海水面上昇、上流における水力発電ダムの開発、人口増加と移民、過度の資源開発、水と土地の環境品質の悪化である。
 この課題を切り抜けるために、トゥアン氏は次のような政策を建議した。それは、各分野間の衝突を避けるために水、食料、エネルギー分野の適切な総合基本計画を用いること。水と食糧の基本計画を含む総合基本計画においてメコンデルタのエネルギー基本計画を調整すること。
 他にもトゥアン氏は、石炭火力発電の割合の削減や、再生エネルギーの発展の優先、環境基準の引き締め、そして環境への影響を少なくするための技術革新を建議した。

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( 翻訳者:河合摩南 )
( 記事ID:4127 )