ベトナム国会がサイバーセキュリティー法を可決
2018年06月12日付 VietnamPlus 紙
サイバーセキュリティー法の採決をするボタンを押す国会議員たち
サイバーセキュリティー法の採決をするボタンを押す国会議員たち

 6月12日午前、国会は、第5会期において423名の議員の賛成(86.86%の票数に相当)を以て、サイバーセキュリティ法案を可決した。
 表決結果によると、表決に参加した議員が466名(95.69%)であり、うち賛成が423名(86.86%)、反対が15名(3.08%)、棄権が28名(5.75%)であった。
 また、国会は、国家の重要なセキュリティ情報システムに関する第10条及びサイバー空間上の情報セキュリティ保護に関する第26条に対してそれぞれ表決を行なった。
 2つの条項に対するそれぞれの表決結果について、第10条は賛成が423名(86.86%)、反対が20名(4.11%)、棄権が15名(3.08%)であり、第26条は賛成が398名(81.72%)、不賛成が41名(8.42%)、棄権が24名(4.93%)であった。
 採択のための表決に先立ち、国会常務委員のヴォー・チョン・ヴィエット国防・治安委員長は、サイバーセキュリティ法案についての解説、検討、改訂報告を陳述した。
 ヴィエット委員長は、今日、サイバー空間において、社会の安全秩序を侵害する活動と組織、個人の合法的な権利・利益が複雑な様相を呈している状況に対応すべく、サイバーセキュリティ法は調整範囲を拡大すると述べた。同時に、これらの活動に対する防止・闘争を担う機関のため必要な法的根拠を補充する。
 「国家の治安と社会安全の間には関係性があり相互に作用し合う。ある程度必然的に影響し合うため、特に、現代のような発展したITやサイバー空間上では、(双方は)隔絶しにくく、明確に判断することが困難である」と、ヴィエット委員長は述べた。
 サイバー空間上の情報セキュリティを定めた各規定について、外国企業の経費を増加させ、情報へのアクセスに困難を来たし、ベトナムも加盟国となっている各国際約束に反するのではないかなど、その実現性に疑問を呈する向きもある。
 これらの規定に対する根拠を明確にするため、ヴィエット委員長は、WTOの各基本協定(GATT協定、GATS協定)およびCPTPP協定はいずれもセキュリティに関する例外条項があると述べた。そのため、セキュリティに関する例外条項を適用することは、人々の利益と国家の治安を守る上で真に必要不可欠なものである。
 これにより、ベトナムは、通信ネットやインターネットサービス、そしてベトナムのサイバー空間で増加している各種サービスを提供する国内外の各企業に対し、ベトナムにおけるサービスのユーザーに関する重要なデータを、ベトナムに保管しなければならないと要求する権利を有する。同時に、この各活動に参加する外国企業に対し、ベトナムに本社または代表事務所を設置するよう求める。これまでに、ベトナムの領域内にデータを保管することを義務づけることが定められたWTO加盟国は18か国以上(うち、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、フランスを含む)に上る。
 ヴィエット委員長は 「現在、グーグルおよびフェイスブックは、香港とシンガポールにあるデータセンターに、ベトナムの機関、組織、個人のデータを保管している。この法律の規定が発効されれば、これらの企業はベトナムにデータセンターを開設するために、ベトナムへクラウドコンピューティング(バーチャル・プライベート・サーバー)を移転しなければならないということが十分あり得る」と述べた。
 ヴィエット委員長は、データセンターがベトナムに設置される場合、企業の経費増加を招くが、これはベトナムのサイバーセキュリティのニーズを満たすための必須の規定であると主張した。他方、外国企業のビジネス活動と国内の各機関、組織、個人のサービス利用活動にとっても利点があり、接続中断の事故が発生したらより迅速に対処され、関係当局は上記の企業のビジネス活動をより円滑に管理され、また、サイバーセキュリティの侵害行為が発生したら違反情報・行為に対する対処がさらに効果的かつ実行しやすくなるだろう。
 サイバーセキュリティ法の規定及び実際の状況に基づき、政府は、この規定を適用しなければならない企業の範囲を具体的に規定する。そうすることで、基本的には、データの流れの流通を妨げることにならず、スタートアップ企業も含めて他の機関、組織、企業の通常の活動には影響を及ぼさない。
 ヴィエット委員長は、ベトナムにおけるサーバーの設置とデータの保管は本法律で初めて規定されることではないと付け加えた。政府の規定には、各組織・企業が総合サイト情報ページの開設、ソーシャルネットの作成、モバイルテレコムネットによる情報サービスの提供、ゲームサービスの提供を行う場合、「管轄国家機関の要請に従って情報の監査・チェック、情報の保管、提供および顧客のクレーム処理に対応するため、ベトナムにサーバーを少なくとも1台設置」しなければならないことが定められている。

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( 翻訳者:海野靖恵、グエン・ティ・ロアン、ホアン・ミン・チャン )
( 記事ID:4459 )