ベトナムでのエージェントオレンジの影響を克服するための解決策を議論
2018年12月14日付 VietnamPlus 紙
報告を発表するヘルムホルツ環境研究センター(ドイツ)のLorenz Adrian教授・博士
報告を発表するヘルムホルツ環境研究センター(ドイツ)のLorenz Adrian教授・博士

 12月14日、ハノイで、ベトナムでの戦後の地雷と有毒化学物質の影響を克服するための国家指導委員会常任機関事務局(701事務局)と国防省軍医学院は、人と環境に対するエージェントオレンジ/ダイオキシンの影響を改善することに関する国際ワークショップを開催した。
 ワークショップが強調したのは、これは環境、そして人々とその発展に貢献するイベントだということである。党中央委員、中央軍事委員会常任委員、国防次官で、701指導委員会常任機関のトップでもあるグエン・チー・ヴィン上将が、ベトナムでの戦争は40年以上前に終わったが、戦争で使用された有毒化学物質と地雷の影響は依然として人々の安全、健康、環境そして社会経済の発展に影響を与えていると述べた。
 ベトナムの有毒物質による汚染は、ダイオキシンだけでなく他の多くの有毒物質にもよるものだ。多くの国がベトナムで[有毒物質を]使用したため、深刻な影響を残している。グエン・チー・ヴィン上将によると、これは、ベトナムのミレニアム開発目標および環境保護と人々の健康の保護を実現するための課題の1つである。
 グエン・チー・ヴィン上将は「ベトナムの党と国家は、被害者の支援やケア、環境汚染の処理活動を含めた戦後の有毒化学物質や地雷の残存の影響の処理、克服において、効果的かつ実質的な政策や措置を数多く、これまでもそして現在も実施している」とした。
 グエン・チー・ヴィン上将は、ワークショップに参加する国内および世界の機関、組織の代表者、専門家に対し、ベトナムと世界の努力、ダイオキシンや有毒化学物質の影響の克服における科学技術の問題、人間の健康および生態環境へのダイオキシンや有毒化学物質の影響を克服する方法を定め促進するための方策を示し方向性を定めることに関し、トピックに沿って集中的に話し合うよう提案した。
 701事務局の局長である、タン・タイン・コン大佐は、「1961 ~1971年に、ベトナム南部で約8000万リットルの除草剤が263万ヘクタール以上に散布された。特に、エージェントオレンジは、使用された全除草剤の約61%を占め、ダイオキシン約366kgが含まれていた。200万ヘクタール以上の森林がさまざまなレベルで影響を受け、また南部の9000万㎥を超える木材、15万ヘクタールのマングローブ林、そして南部ベトナムの多くの豊かな森林生態系が即座に被害を被った。直接散布された地域に加えて、米軍が毒物を保管、調合、輸送したり、任務の前後で飛行機の洗浄を行ったりするために使用した軍事基地もまた有毒化学物質やダイオキシン類によって非常に汚染されている」などと情報を伝えた。
 これまで、ベトナム政府および国内外の組織は、エージェントオレンジ/ダイオキシンの影響を克服するために連携する努力をしてきた。有毒化学物質/ダイオキシンによる深刻な環境汚染と人間の健康へのリスクに直面し、ベトナム政府は、2014年の環境保護法や2030年までのビジョンを含めた2020年までの国家環境保護戦略、といった環境保護の分野での指導文書に、化学物質/ダイオキシンの影響を克服するための内容を盛り込むことを間に合わせた。
 ベトナム当局は多くの国際機関と協力して調査を行い、汚染レベル、範囲、量を評価し、汚染を克服している。ダイオキシン汚染の3つのホットスポットは、ダナン空港、ビエンホア空港、フーカット空港と確認されており、そのうちビエンホア空港は最大の汚染地域で、約15万㎥のダイオキシンに汚染された土壌が安全に隔離された。
 人々に対しては、実際の状況に応じた政策を確実にするために、革命に対する功績を持つ人々のための優遇措置に関する法令を実施することに加えて、関連省庁は、エージェントオレンジ/ダイオキシンの被害者と彼らの子供のための支援を次のような活動を通して多数実施してきた。例えば、優遇補助金の支給、診察の実施、病気・異常・奇形の鑑定、ケア、治療、リハビリ、住宅の新築・修理、贈り物、被害者のための奨学金などである。
 米国国際開発庁の代表は、「ベトナムでダイオキシン処理業務と障害者支援を実施しており、たくさんのベトナムの障害者支援事業が行われてきた。例えば、障害者の子供たちのための治療・サービスネットワーク能力の強化や障害者の声を上げる機会を作ること、医療ケアやリハビリ、「私は元気に大きくなる」プロジェクトや「私の手を取って握って」プロジェクト、などだ」と伝えた。
 ワークショップで、出席者は「エージェントオレンジ/ダイオキシンの生態環境への影響」「エージェントオレンジ/ダイオキシンの人体への影響」という2つのトピックに焦点を当てた内容で科学レポートを発表し、討議した。


関連記事:「欧州議会でエージェントオレンジの影響に関する会議」
https://www.vietnamplus.vn/toa-dam-ve-hau-qua-chat-doc-da-cam-tai-nghi-vien-chau-au/537423.vnp

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( 翻訳者:村上慎太朗 )
( 記事ID:4701 )