(社説)民主化政府(7-54-4-1)
2019年06月12日付 The Voice 紙

ミャンマー人の旅行先の一つであるのみならず、ミャンマー人学生の留学先でもある香港において論争になっている法律案の廃止をめぐり突然巻き起こった出来事は極めて注目に値するであろう。

逃亡犯条例を香港特別行政区立法会が承認する方向で進めており、同法を承認するとなれば、大陸中国政府統制下の裁判所ないしは司法制度の元に属する人々と香港の人々を同制度下に置くこととなり、公平な判決がなされなくなるのではないかという懸念から、香港の人々は断固として抗議を行ったのである。

民主主義を実践するのみならず、政治の自由をもそれなりに獲得してきた香港の司法に、中国政府が介入してくるようになることは求められていないとして、立法会を含む政府関係の建物各所を取り囲み、激しいデモを行ったのである。

1997年に香港が英国からの独立を獲得して以降最も規模の大きいデモであり、ITや情報技術が力を持つ時代であるからして、世界中の人々は、今回の香港のデモをまるで眼前でそれが繰り広げられているかのように見ることができ、また、統治者たちがデモに対し法に基づいて対応することがあるのかどうかということを知ることが出来たのだ。

ミャンマーにおいて民主制が実現し始めてから8年余りが経ち今日に至るまで生じている暴動やデモに関しては、内務省の統制下にある警察組織が鎮圧するにあたり、(訳者注:軍事政権時代から続く)現行法に則って対処しているに過ぎないと国営新聞を通して何度も発表されてきたという点は注意すべきである。

テインセイン大統領の時代のレッパダウン銅山問題、NLD(国民民主連盟)政権時代のロイコーの将軍銅像問題などをはじめとした問題への暴動やデモへの対応によってミャンマーの警察組織としての能力(いかに対処するかという遂行力)が浮き彫りになった。民主制の時代においては警察組織として人権などの様々な国際基準に適応しつつ、どの程度の規模までの対応が可能なのかという試金石になっている。

今日に至るまでにはっきりしているのは、ミャンマー全域における宗教問題、民族問題に関連した暴動やテロ、紛争、平和裏に行われるデモに対する関係当局の対応に批判の的となり続けてきたし、弱点であった。いや依然としてそうであると言えるだろう。

しかし、警察組織のように、法の支配の実現を志す関係当局組織として今までの批判を受けた出来事から教訓を得て、今後起こりうる諸問題に予め備えておくというのなら、香港のような状況に直面しても、権利の侵害を最小限にとどめることが出来るだろう。

いずれにせよ、文化的な社会の本質というのは、法の上には何人たりとも存在しないという法の支配の基本原理を十分に伴って実行していくことにあるのだから、民主化政権下におけるミャンマーでも、法を超越するような人物や政党が出現することがなきよう、協力して見守っていかねばならないということをここに述べておきたい。

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( 翻訳者:山本哲史 )
( 記事ID:4852 )