外国の労働市場開放:ベトナムにとって「黄金の」機会
2019年10月04日付 VietnamPlus 紙
韓国での就労のための韓国語試験に参加する労働者
韓国での就労のための韓国語試験に参加する労働者

 技能に関する要求が厳しくなればなるほど、労働者の収入は益々魅力的なものになる。そのため、ベトナムの労働者は、開放されつつある、より良い雇用のチャンスをつかむためにも様々な準備をする必要がある。
  
 毎年、全国で10万人以上が海外で就労し、数十億ドルの外貨をベトナム国内に送金している。労働輸出は平均で雇用全体の約10%に貢献している。しかし、この数字は、多くの労働市場がベトナム人労働者に「門戸を開放」しつつある中で、我々がその「黄金の機会」をつかむことができれば、さらに増加するであろう。
 これは労働輸出に関するメディア会議で出された情報であり、会議は10月4日にクアンニン省で海外労働管理局(労働傷病兵社会省)と労働社会雑誌によって開催された。

   高収入市場の「開放」

 労働傷病兵社会省のグエン・ティ・ハー次官によると、2006年以降これまでに、ベトナムは100万人以上の労働者を海外就労に送り出してきた。労働輸出はこれまでも現在も、雇用問題の解決に大きく貢献し、毎年、平均で労働者数全体の約10%に相当する雇用を生み出している。
 海外就労の労働の量や質が高まっているだけでなく、職種も拡大されている。その中には、看護師や介護士のような新たな職種、農業や水産養殖分野の労働、熟練能力や高い技術の必要な労働などがある。
 グエン・ティ・ハー次官によると、ベトナムの主な労働市場-特に東北アジア、中東、マレーシアなど-は引き続き強化、拡大されており、また、最近では、ヨーロッパのいくつかの市場で、ベトナム人労働者の受け入れについて積極的な動きが見られる。
 2019年前半、外国労働市場発展対策において、見通しの明るい二国間の協定や合意文書が調印された。その内、台湾(中国)市場では、契約が満了したベトナム人労働者が、契約を延長したり、新たな雇用主と契約できるような措置の整備が検討され、ベトナムに帰国せずして、延長や雇用主の変更ができるようになった。
 去る6月と7月、労働傷病兵社会省は労働輸出に関わる合意文書等の署名に向けた多くの活動を展開した。中でも典型的なものが、労働者が日本の技能証明を受けるためのプロジェクトに関する協力覚書である。文書の署名は、日本への技能労働者の派遣に関係する悪質な仲介業者や違法な活動を排除するためのものでもある。
 ブルネイやシンガポール、サウジアラビアといった、他のいくつかの市場もまた拡大されている。オーストラリアやアメリカ、カナダ、フィンランド、イタリアのような高所得の先進諸国もベトナムが目指す労働輸出先である。
 今後2019年末までの労働輸出傾向予測に関し、海外労働管理局の幹部は、台湾(中国)と日本は伝統的な労働輸出市場であり、最大規模のベトナム人労働者を受け入れており、これまでの海外就労労働者総数の90%以上を占めている、と述べた。中でも日本は、現在、最も潜在的な市場である。日本は賃金が高いだけでなく、科学技術や労働技能が高度に発展した市場である。技能に関する要求が厳しくなればなるほど、労働者の収入は益々魅力的なものになる。

   「鍵」はどこか?

 ここ最近、多くの高所得国がベトナムの労働者に対して「門戸を開放」しつつある。これは、より良い仕事や魅力的な収入を得るための「黄金の機会」である。しかし、ベトナムの労働者はそうした新たな市場の人材選びの要求に応えるための準備をしてきたのだろうか。あるいは、まだしていなかったのか。
 タンロン大学の教授であるグエン・カイン・トアン博士によると、現在、熟練技能をもつ労働者の輸出の比率は全体の20~30%にすぎない。主な海外就労は、収入の低い、普通の単純労働である。
 一般的な平均では、生活費を差し引いた後のベトナム人労働者の収入は、単純労働の収入の低い労働市場(マレーシア)では一か月当たり約300~400万ドン、平均的な収入のある市場(中東、東欧)では700~1200万ドン、高収入市場(日本、韓国、台湾)では1500~2000万ドン。
 例えば、外国で働く際、英語は「宝庫」を開ける「鍵」となるが、グエン・カイン・トアン教授は、その英語力がベトナム人労働者の弱点であると率直に指摘した。ベトナムの海外就労希望者のIELTSの平均点は5.78点で、平均が低いグルーブに属し、マレーシア(6.64点)や、フィリピン(6.53点)よりも低く、インドネシア(5.79点)とほぼ同じであった。
 また、ベトナム労働輸出協会のグエン・ゴック・クイン副会長によれば、ベトナムの労働者は、外国語の能力や労働に関する規律や規定を遵守するという意識が弱い。多くの雇用主はベトナムの労働者について、まじめに働くが規定を守らない、と評価している。
 クイン副会長は、「現在、海外就労前のベトナム人労働者に対し、企業が訓練しなければならない時間は他の国よりも長いが、その効果は著しい。例えば、日本市場では、出発前の労働者に対する訓練への要求は高いが、労働者が日本に行く頃には、規律の意識は高く、新たな職場環境への適応も早く、労働者が職場から逃走するという状況を阻止できるようになっている」と述べた。
 海外労働管理局(労働傷病兵社会省)のグエン・ザー・リエム副局長も、多くの企業が質のいい人材の採用に苦労している現実を認めている。ビジネス・パートナーが短い期間での採用を求めてきても、企業側は人材を見つけることができないという。
リエム副局長は、「選考に関する規定は、海外の労働市場の要望に合わせ、出発前に労働者の技能や外国語の向上を目指した補講を行えるよう、各企業が職業訓練機関や生涯教育施設と連携していけるような規定を追加する方向で修正されるだろう」と述べた。
 大半の市場は、労働に関する技能や規律の要求が高ければ高いほど、収入や労働の条件、環境もよくなる。それゆえ、いい市場により多くの労働者を送り出すためには、労働者の質を高めていかなければならない。
 グエン・カイン・トアン教授は、「現在、外国で働く労働者は25~30億ドルの外貨を国内に送金しており、もし労働者の質が高め、発展した市場に送り出すことができれば、この数字はさらに高くなるだろう」と強調した。

【参考記事】「年初7か月間で、約8万人の労働者が海外就労に出発」

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( 翻訳者:山本美帆、岩切南 )
( 記事ID:4966 )