枯葉剤被害者の支援:制度悪用防止の理由だけで対象者を除外するのか?
2019年10月25日付 VietnamPlus 紙
グエン・ズイ・ビン(タイビン省ドンフン県)は1970年代にクアンナム省とクアンガイ省の戦場で枯葉剤・ダイオキシンの影響を受けた。孫グエン・ジップ・アイン・トゥ(2006年生まれ)は脳性麻痺で未支給。
グエン・ズイ・ビン(タイビン省ドンフン県)は1970年代にクアンナム省とクアンガイ省の戦場で枯葉剤・ダイオキシンの影響を受けた。孫グエン・ジップ・アイン・トゥ(2006年生まれ)は脳性麻痺で未支給。

 有毒化学物質の被害を受けた家族を訪れれば、彼らがどのような政策を必要としているのか気づける。したがって、制度悪用防止のためだけで彼らのような対象者を排除するべきではないのだ。
 革命の功労者を優遇する法令(改正)案では、枯葉剤・ダイオキシン被害者のための政策に関していくつか変更がなされている。この改正内容は、対象を広げることと政策の縮小が両方含まれている。
 これは、10月25日、労働傷病兵社会省によって開かれた革命の功労者を優遇する法令(改正)案の内容の一部に対する意見聴取会議で示された情報である。

   有毒化学物質に関する政策についての変更

 法令案は、抗戦で有毒化学物質に曝露した人々の第三世代で有毒化学物質の影響が残る人に対する優遇政策を補充することを提案している。しかし、一部の意見として、社会補助制度に沿った政策の実施を続けるべきであり、新しい政策の補充など必要ではない、というものがある。
 10年間で、7690万リットルの化学物質がベトナムの山地や田畑に散布された。有毒化学物質の影響を受けた土地の総面積は263万ヘクタールで、ここにはおよそ500万人が生活していた。枯葉剤・ダイオキシン被害者の会による調査では、有毒化学物質の影響を受けた第三世代は、推定で27000例ほどあるとみられている。
 保健省の病気の診察と治療に関する専門機関によると、異常や奇形を引き起こす原因は有毒化学物質だけでなく、他にも多くの原因があるという。そして特に第三世代はそうだという。

   功労者優先政策に関する6つの変更は物議を醸している

 法令改正案への意見としては、法制局(保健省)の代表者は、現在、抗戦活動により有毒化学物質に曝露した人々の第三世代の、有毒化学物質による疾病・異常・奇形の項目を確定するための科学的な根拠も実績も十分にはないとの見方を示している。
 功労者局(労働傷病兵社会省)のダオ・ゴック・ロイ局長も、孫世代の異常や奇形の人数は多くはないが確定する根拠が明白ではない、と説明を加えた。調査を行ったところ、コミュニティ、特に有毒化学物質に汚染された地域で生活する住民の賛同を得ていないという。そのほか、現在、孫世代も社会補助制度を享受しているため、孫世代に対する功労者に対する政策の補充についてはまだ多くの賛同を得ておらず、更に意見を聴取する必要がある、という。
 抗戦活動により有毒化学物質に曝露した人々への政策の関連では、身体的損傷が21%から40%のケースに対して、これまでのように毎月補助金を支給する代わりに、1度補助金を支給することを草案では検討している。
 補助政策の縮小の説明として、ダオ・ゴック・ロイ氏は、各地方や審査・検査の報告によると、政策の濫用を抑制するのは難しいと伝えた。最近、主に有毒化学物質に曝露され身体的損傷が21%~40%の人に対する、世論の不満が起きていた。
 各地方の報告によると、21−40%の身体的損傷がある人の多数は、急性及び亜急性末梢神経障害・糖尿病・中度の精神病…等を患っている。しかしこれら対象者はそれでも働いて普通に生活しており、もしも治療で機能回復ができれば疾病は軽減されるだろう。また、有毒化学物質の影響を受けていない一般の人の中にも上記の病にかかることはよくあることである。

   ダイオキシンの被害者の第三世代のための制度が必要

 21%~40%の身体的損傷の対象者に対し、毎月の補助金の代わりに、一度の補助金を支給するという制度に関し、労働傷病兵社会省のグエン・ティエン・トゥン審査長官は、いくつかの村や社全体をあげてこぞって、有毒化学物質の被害者のための制度を享受しようとする「追い求め」現象があったことを指摘した。
 「もし我々が一度の補助金へと制度改革を行ったら、人々が補助金を受けるために偽の文書を作成することはもうなくなるだろう」とグエン・ティエン・トゥン氏は述べた。
 (公安省)組織人事局副局長のグエン・ズイ・スアット大佐は、21%~40%の身体的損傷がる対象者で補助金を受けている人はそれほど多くない(2万3000人あまり)と述べた。もしも恒常的に受けられていた補助金が一回の補助金へと変わったら、多くの要望や不満、訴えを引き起こすかもしれない。
 有毒化学物質の影響を受けてしまった第三世代の対象者(2万7000人あまり)でも、数が多いというわけではないが、グエン・ズイ・スアット大佐は、家族が有毒化学物質に曝露された場合は、家族皆が苦難の環境にあるため、援助で解決するならば政策で解決するべきであるという。
 同意見として、国防省政策局副局長のドアン・クアン・ホア大佐は、「誤りがあれば回収する。しかし今行っている援助をやめてしまうと彼らは耐えられないだろう」との見方を示した。そして、有毒化学物質の影響を受けた第3世代をきちんと法令に含めなければならないと提案した。
 更に、政策・組織委員会(ベトナム枯れ葉剤/ダイオキシン被害者の会中央)のグエン・バー・ボン副委員長は、法令改正案の草案作成組織は、有毒化学物質の影響を受けてしまった第三世代が功労者のための政策を享受できるようにするために研究、検討をするべきであると提案したほか、「制度の悪用防止対策のために有毒化学物質被害者を制度の対象者から外してはならない。有毒化学物質の影響を受けた家族を訪問してこそ、彼らがどのような政策を必要としているか分かるだろう」と強調した。
 「有毒化学物質の影響を受けた人々だけでなく、傷病兵、烈士にも多くの好ましくない点がある。重要なのは、好ましくない行為の防止対策のための管理方法と文書の明確で具体的な実施ガイドラインである」とグエン・バー・ボン氏は述べた。


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( 翻訳者:中本美希 )
( 記事ID:4999 )