ベトナム観光業、コロナとの戦いで世界から何を学べるか?
2021年06月17日付 VietnamPlus 紙
「ワクチンパスポート」はグリーン経済の回復を支えるカギとなるか?
「ワクチンパスポート」はグリーン経済の回復を支えるカギとなるか?

ベトナム観光業、コロナとの戦いで世界から何を学べるか?


アメリカや欧米各国では、政府による集団ワクチン接種と「ワクチンパスポート」の活用の急速な展開が功を奏して、徐々に観光業が再開し、経済が回復に向かっている。



新型コロナウイルス第4波の発生はまさに「大打撃」であり、多くのベトナム企業にはもはや生き残りの術は残っていない。夏の真っただ中だが、観光業界の直営事業部門だけでなく、旅行サービス、航空会社、飲食店、ホテル業界、船舶など多くの裾野分野もまだ「凍結」している。

一方、パンデミックが原因で2020年から2021年初頭にかけてアメリカと欧米各国は困難な状況にあったが、政府による集団ワクチン接種の急速な展開のおかげで、徐々に往来が再開されている。一部のヨーロッパのスタジアムはユーロ2020を観戦する観客で溢れていた。

では、ベトナムの観光業は新型コロナウイルスとの「戦い」で、世界から何を学ぶことができるだろうか。

観光が回復するための「鍵」…

世界観光機関(UNWTO)によると、新型コロナウイルスの大流行により、2021年の初めの数か月間、世界のグリーン経済は引き続き苦戦し、外国からの訪問者数が増加に転じる兆しは見えていない。現に、2020年の国際観光収入は実質64%減少しており、9000億米ドル以上の損失に相当する。

UNWTOの調査によると、国際観光需要は急激に落ち込み、回復の兆しは見られないが、中国やロシアなどの一部の主要市場では国内観光が活況を呈している。これらの市場では国内線の稼働でさえ、パンデミック以前の状況に戻っている。

「観光需要は非常に長期間停滞しているが、回復の兆しは徐々に戻ってきていることが分かる。新型コロナウイルスのワクチン接種は、今後の回復のカギとなるだろう。しかし、北半球における夏の時期に観光を回復させたいのならば、ワクチンを受けやすく、かつ価格をより手ごろにするための調整と連携を改善する必要がある」と、UNWTOのズラブ・ポロリカシュビリ事務局長はコメントした。

UNWTOの観光専門家評議会は最近、2021年5月から8月の期間における世界的な観光の見通しについての調査を行ったところ、その結果にわずかな改善が見られた。

評議会の観光専門家の60%は国際観光が2022年に回復するとの考えで、残りの40%は2021年内に回復すると考えている。ほぼ半数の専門家は、国際観光がパンデミック前(2019年のレベル)には戻ることはできないと考え、2024年かそれ以降だとしている。

一方で、回答者の37%のみが、観光は2023年までにパンデミック前のレベルに戻ると考えている。31%の専門家のよると、ヨーロッパは最も早くに観光を回復することが予想されている(2021年第3四半期)。67%の専門家は、中東が2021年第4四半期に観光業を回復すると確信している。

手がかりは「ワクチンパスポート」
 
実際、世界中の多くの国で新型コロナウイルスに対するワクチン接種と「ワクチンパスポート」の適用により、これらの地域を旅行する際の障壁が取り除かれ、観光の再開を含む社会経済発展の原動力となっている。そのおかげで、「無煙産業」は暗黒の時代を経て繁栄の兆しを見せ始めた。

現在、ヨーロッパ、イタリア、ギリシャ、スペイン、クロアチア、アイスランドは、米国からの観光客に門戸を開いている。世界観光機関は、夏の観光シーズンが来ると、他のヨーロッパ各国も外国からの訪問者に門戸を開くと予測している。

6月の初めから(7月1日からの欧州連合の共通計画より1か月早い)、ドイツ、ギリシャ、デンマーク、ブルガリア、チェコ、クロアチア、ポーランドが展開している、夏の観光シーズンに向けた準備のための「ワクチンパスポート」は、感染症対策のために人々が外出や長期間の旅行を制限されていた長い期間の後であり、「爆発」することが予想されている。タイ、日本、中国などのアジア各国も実験を開始している。

「ワクチンパスポート」は新たな課題であり、実施手順については依然として多くの懸念があるが、現時点では、ほとんどの専門家や観光業界で働く人々が、ベトナムがまず国内観光において実験してみることを望んでいる。この「パスポート」により、予防接種を受けた人、特に「安全な」地域からの訪問者は、隔離措置や検査などを免除または軽減される。

国内市場への適用に成功した場合、ベトナムは安全な市場から厳選して、ワクチンパスポートを持った外国からの訪問客を歓迎するとの選択肢を検討することができる。専門家によると、国際線到着の最初の目的地はフーコック島である可能性があり、成功し安全であれば、他の観光地にも拡大するだろう。

疫病を安全に管理するために、ベトナム観光の国際ウェルカムツアーは、ゴルフツアー、ビーチリゾートツアー、マウンテンリゾートなどの形で試行することができる。その開放的な性質により、人々同士の接触が少なく、感染のリスクを最小限に抑えることができる。

このような段階的な実験により、ベトナムの観光業は早期に観光業を回復する機会を得るか、少なくともタイや日本など域内の国々と比較して遅れをとることはないだろう。

これより前の6月11日、党政治局は新型コロナウイルス対策の強化と社会経済発展のための、いくつかの重要な任務についての結論を出した。その中で、党政治局は次のように指示した。「外国からの訪問客がフーコック島、キエンザン省など、疫病を管理できる一部の観光中心地を訪問するにあたり、ワクチンパスポートを試験的に使用することについて研究する」。

この方針により、観光業の従事者が共に「嵐を乗り越え」、国のグリーン経済の回復を加速させるためのより多くのスキームとチャンスが生まれることが期待されている。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:坂入菫 )
( 記事ID:6073 )