深刻な米不足と食料価格高騰に直面するチン地域
2022年02月16日付 その他 - チン・ワールド 紙


チン地域

「現在蓄えている米がなくなると、次に買えそうな場所がない。 バスも動いておらず、とても心配です」 。チン州マトゥピー郡では、商用道路も戦闘のため運行が不可能で、米不足が深刻である。当該地区の地元民が、本メディアに語った。
 チン州南部のマトゥピー市は、主要商品や食料品を、主にマンダレー管区とマグウェ管区パコックなどから運んでいる。近年、チン州南部と交易上結びつきの深いマグエ管区との州境でも、地元の防衛部隊と軍側の戦闘が激化し、ミンダッーマトゥピー間の道路でも戦闘が激化したため、米やその他食料品の輸送車両の往来が不可能となり、物価が激しく高騰、生活必需品であある米も在庫がつきかけている状況である。
「主に都市部で食料が高騰している。村落からあえて町に売りに来る勇気もない状態である。あと一ヶ月もこの状況だと食料用の米は完全に尽きる。今でも一部備蓄している人間から、倍ほどの値段を払って、少しずつ買っているような状況である」と地元民が述べた。
チン州南部のミンダッ、マトゥピー、カンパレッなどに商品を運ぶトラックは何ヶ月も運行が不可能となっているし、マトゥピー市内では、ガソリンもほぼ3か月売り切れている状況である。
サガイン管区・マグウェ管区とチン州を結ぶ道路では、軍評議会側と地元防衛部隊との戦闘が激化しているうえ、戦闘が一端生じると何日も続くため、州内の物価が高騰している。チン州はもともと米や食料、工業製品、衣料を平野部から輸送し販売してきたため、物価はもとより他地域より高い。
ハカ市の地元民によれば「油、米、塩、レンズ豆などの基本的な食料品価格の上昇は明確だ。その他の菓子類も高騰している。物価も上昇、貴金属の価格も上がり、油の値段はほぼ2倍である。以前は1ペイター(約1.6キロ)当たり3000チャットだったが、現在は6000に達している」
サガイン管区カレー市から、チン州北部のハカ、タンタラン、ファラン(ファラム)、ティディン(ティディム)に続く幹線道路も、12月から1月にかけての激しい戦闘により、物資の輸送が相当期間止まっていた。
ハカ市の食料品店店主によれば、「私たちは、食料品をカレー市から注文している。通常だと、せいぜい3日で届くが、今は1、 2週間は掛かる。さらに、在庫切れのものもある」とのことである。さらに続けて、「私たちは商人であり、売買を止めるわけにはいかない。 現在の政治情勢は予見できないところがあり、こうして物価が上昇し続けると大変なことになる。今は仕事もない状況が続いている。極めて困難な状況だ」と語った。

チン州北部のティディン郡内のサガイン管区とインド国境をつなぐ交易路も戦闘のため車両運行が不通となっており、トゥンザン郡をまわって運ぶため、運賃も高額につく。
リコーダー(ファラン郡インド国境沿い地域)の地元民によれば、「今では一人運賃も10万チャットぐらいに値上がりしている。以前は1万5千、せいぜい2万チャットだったが、現在は4倍になった。荷物も5千から1万チャットぐらい取られるような状況である」とのことだ。以前は、カレー市―ティーデインーリコーダーという経路を取ると、乗車運賃は1人あたり15,000チャット強だったが、現在は上記の通り道路閉鎖のためトゥンザン郡側の迂回路を取るため、運賃も7万から10万チャットに上がり、時間も2時間から3時間よけいにかかるよういなっている。
チン州内のほぼ全郡内で、地元防衛軍と軍評議会の軍とのあいだで戦闘が始まって以来、ネット回線と電話回線は遮断された。マトゥピーのある地元民は、「電話線が切られ、市内で銃声が多々聞かれた。さらに、私のところは家族も多く、米は買ってはあった。しかし、家族が多いこともあり、足りるとは思えない。こうして、道路が閉鎖されることは非常に心配である」と語った。
食料の高騰のほか、市内でも全く安全は保障されず、一部の都市では地元民はより安全な場所、親類のところなどに退避することもあるが、その間に、自宅が強盗に襲われるといったことも見られる。
カンパレッ市の地元民によれば、「当初は武装集団だと思っていた。見たことのない顔の人間が多数集団でやってきた」とのことである。そうした強盗団には女性も混じっており、町のそばにCDF(チン防衛部隊)がいない夜などに、市内に入り込み、家を押し破って盗んでいったとのことである。
タンタラン市では市内の住民はほぼ居住しておらず、近辺の村やインドの国境沿いに逃げており、タンタラン郡内の村落部に逃れた人々は非常な困難に出くわしていると、避難した人間の一人が語った。
「村が辺境地域にある場合、交通の便の悪さも問題となる。ビルマ側では食料品が極めて高額になっている。たとえば、タンタラン市で暮らしていたときに1000チャットで得られたものは、現在2000チャットは出さないと手に入らない状況で、非常に困っている」と語った。
さらに、タンタラン郡内の村落部に避難した人々にとって、薬も診療所も、医者、看護婦ももちろん手に入らない。そのため、インド側のミゾラム州まで出て治療を受けねばならないという話も避難民により語られた。
チン州内では定期的に戦闘が生じ、そのため避難した人間はチン州人口の20%を超えているとの報告が出された。チン人権団体によれば、こうした避難の結果、基本的な医療が得られず、30人以上の高齢者が亡くなった。また、チン族民主主義連盟(SNLD)の2021年度報告によれば、軍評議会によるクーデター以来、168人以上のチン人が軍事政権によって殺害されている。
(ドン・ボスコ記事執筆)

チン・ワールド 2022年2月16日

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( 翻訳者:ビルマ語メディア翻訳班(TK) )
( 記事ID:6277 )