ベトナム、1億人に達する:チャンスと解決しなければならない課題
2023年04月13日付 VietnamPlus 紙
【写真①】中央産婦人科病院で誕生した赤ちゃん
【写真①】中央産婦人科病院で誕生した赤ちゃん

ベトナム、1億人に達する:チャンスと解決しなければならない課題


人口が1億人の節目に到達すると、地域内でベトナムが影響力を高める大きなチャンスとなるが、それと同時に少なくない課題も伴う。



ベトナムの人口は4月の時点で、1億人に達するだろう。この節目によってベトナムは世界で15番目に人口の多い国となり、また1億人規模の人口をもつ東南アジア3カ国の1つとなる。

専門家は、人口が1億人の節目に到達すると、地域内でベトナムが影響力を高める大きなチャンスとなるが、それと同時に人口資質が未だ多くの目標に到達していない中、少なくない課題も伴うと考えている。

1億の希望

国連人口基金(UNFPA) ベトナム事務局は、世界は急速に変化しており、ベトナムも後れをとるべきではないと評価している。1億人の人口は、ベトナムが広大な国内市場を持ち、元気で教育水準や技能が高い労働力によってより多くの外国直接投資を惹きつける可能性を持っていること、国家の創造的で革新的な思考と強い原動力を意味する。

したがってベトナムは、2023年における1億人を単なる数字ではなく、現在および今後の世代のために強力なベトナム国家を建設するというビジョンとして認識する必要がある。なぜなら1億人のベトナム人が「1億の希望、1億の夢、1億の方法」を象徴しているためである。

統計によるとベトナムは現在、若い人口の割合が国の歴史の中で最も高い。総人口の21%は10歳から24歳までの若者である。ベトナムの人口ボーナス期は2039年まで続き、労働生産性の高い若い人口層が出現し、人口構造の利点を活かして国家の社会経済の成長をさらに促進するだろう。

人口・社会問題研究所(国民経済大学)の元所長であり、人口・家族・子供研究所の学術評議会議長であるグエン・ディン・ク―教授は、1億人目の国民を迎えるという出来事は、国家にとって重要で印象的な節目となると述べた。

グエン・ディン・ク―教授は、人口が1億人であっても、経済が発展せず人々の知的水準が低い場合は進歩は非常に難しいが、もし1億人が発展した経済と高い知的水準という環境にあるならば、それは発展のための大きなチャンスであると分析している。ベトナムは大市場で人口が多く、多くの労働者(5000万人以上の労働者)がいるため、多部門、多分野の経済を発展させ、産業とサービス業双方の発展を促進させられる条件がある。

「人口の多さと豊富な労働力は、外国人投資家にとって魅力の1つである。しかし課題という面で1億の国民は、特に1人あたりの平均土地面積が小さい上に気候変動がある中で、食料とエネルギーの安全保障という問題をもたらす。1億の国民に一定水準の教育、健康の管理、環境保護を確保することは決して簡単な問題ではない」とグエン・ディン・ク―教授は明確に指摘している。

UNFPAも死亡率と出生率がどちらも低下した場合、ベトナムはほどなく人口転換の過程が完了するという課題を指摘した。今日のベトナム人が、より健康で長生きしていることは重要な成果である。しかしここ数十年の出生率の減少と出生制限により、ベトナムの人口は急速に高齢化する。

人間を解決策とすべき

UNFPAの計算によると、ベトナムは2036年までに65歳以上の人口が1550万人に達し、総人口の14%以上を占める高齢化国家になると予測されている。その他、ベトナム社会では依然として一般的である息子を持つことを好む心理性と共に、出生率の低下や子供の数の制限、既存の技術により、出生前の性別選択が広く行われており、毎年約47000人の女子の赤ちゃんが不足していると推定されている。2034年までにベトナムでは15歳から49歳までの男性が150万人余り、この数は2059年までに250万人にまで上がると予測されている。

UNFPAは人口政策において、人々は問題なのではなく解決策であることを強調する必要があると明確に述べている。問題は人の数が多いか少ないかにあるのではなく、あらゆる人により平等な形での機会へのアクセスを保障することである。

そのためUNFPAは、性や出産の健康に関する決定を下す権利やジェンダーの平等を含む、すべての権利をあらゆる人が行使できるよう支援するため、ベトナムは適切な歩みを進める必要があると提言している。ベトナムが参加した1994年に開催された国際人口開発国際会議(ICPD)の保護機関として、UNFPAはベトナムがICPDの原則を十分に遵守する必要があり、それに従って個人や夫婦は、子供の数、出産間隔、出産時期について責任をもって自由に決定すべきであると勧告した。

そうあるためには、すべての関連部門が、あらゆる女性、母親、夫婦が質の高い性と出産の健康に関する保健サービスや子供を支援する社会政策にアクセスできるよう保証する必要があり、また若い夫婦への住宅支援の検討も行い得る。

UNFPAは、新時代の労働市場のニーズに対応し、国内での革新的で創造的な精神を促進するために、ベトナムが引き続き医療、教育、雇用機会に関する政策やプログラムを通じて、青少年に投資するよう勧告した。

世界の他の中所得国と同様に、国内には不平等と格差が依然として存在し、妊産婦死亡率と対応できていない家族計画の必要性は、少数民族、出稼ぎ労働者、青少年のグループで依然として高いままである。したがってUNFPAは、ベトナムは性と出産の健康を含む保健関連サービスに関する政策を強化する必要があると考えている。


【写真①】中央産婦人科病院で誕生した赤ちゃん
【写真②】国境地域の村々の医療幹部は、集落や家庭に出向いて、人口医療プログラムについて人々に広めている

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( 翻訳者:多賀菜々美 )
( 記事ID:6653 )