在日のベトナム人の子供たちに言葉と文化を教えることの重要性
2023年06月03日付 VietnamPlus 紙
【写真①】日本・福岡でのシンポジウムの様子
【写真①】日本・福岡でのシンポジウムの様子

在日のベトナム人の子供たちに言葉と文化を教えることの重要性


ベトナム語とベトナム文化を第二世代、第三世代のベトナム人の子供たちに教えることは、多くのまぎれもないメリットをもたらし、民族の自尊心やアイデンティティを高め、結びつきの強固な家族関係を構築するだろう。



6月3日、在福岡ベトナム総領事館において、総領事館と在福岡ベトナム人会は、「日本・九州でベトナム人の子供たちにベトナム語とベトナム文化を教えることの重要性」に関するシンポジウムを成功裏に開催した。シンポジウムには120名以上の代表らが対面とオンラインにより参加した。

シンポジウムのベトナムの拠点には、マイ・ファン・ズン氏(在住ベトナム人国家委員会副委員長)、ディン・ホアン・リン氏(在住ベトナム人国家委員会情報文化局長)、グエン・ラン・チュン准教授・博士(ベトナム言語学会会長、在外ベトナム人連絡会副会長・事務局長)、レー・ホアイ・トゥー女史(ベトナム教育出版社-教育技術センター担当副所長)が出席した。

日本側のシンポジウム主催者は、ヴー・チー・マイ女史(在福岡ベトナム総領事)、グエン・ズイ・アイン氏(在福岡ベトナム人会会長)で、この他、ベトナム語の研究や教育に関わるベトナム人および日本人の准教授、博士、専門家、そして、在日ベトナム人団体の代表、ベトナム語講師育成に関わる在外ベトナム人の代表、ベトナム語教室に参加する子供を持つ在外ベトナム人の代表らが参加した。

開会の挨拶で、ヴー・チー・マイ在福岡ベトナム総領事は、このシンポジウムは「2023~2030年における在外ベトナム人コミュニティ内でのベトナム語を尊重する日」プロジェクトを展開・実施する総領事館の一連のイベントのスタートとなる重要な活動であると確認した。プロジェクトは、政府首相によって承認され、「海外でベトナム語の使者を探す」コンテストや、ベトナム語の維持・普及運動において積極的な貢献をした個人や組織・団体に感謝する活動、ベトナム語の本棚造りなどへの参加といった実践的な活動が計画されている。

これは、在外ベトナム人コミュニティのイメージ作りや、ベトナムのイメージと文化を守りPRしていくという総領事館の重点的事業の一つでもある。

ベトナム語とベトナム文化を第二世代、第三世代のベトナム人の子供たちに教えることは、多くのまぎれもないメリットをもたらし、民族の自尊心やアイデンティティ、社会に対する認識や理解を高め、結びつきの強固な家族関係を構築するだろう。

第二世代や第三世代の各家庭でベトナム語の使用を推奨することは、強力に発展するコミュニティを作り、ベトナムと日本にとって重要な人材を育成する助けとなる。

シンポジウム開催への祝辞で、マイ・ファン・ズン在外ベトナム人国家委員会副委員長は、在日ベトナム人コミュニティは、世界中のベトナム人コミュニティと同様、常に若い世代に対する自らの責任を体現し、ベトナム語の普及・維持運動を強固にし、発展させるための実践的な活動を組織する様々なアイディアをもっている、と述べた。

東京のベトナム語学校、大阪のLíu lo tiếng Việt(ベトナム語おしゃべりクラス)、さいたまベトナム語教室、神戸のホアマイ教室といったベトナム語学校、教室、センターなどの創設は、ベトナム語を教え学ぶ様々な形態を促進し、ベトナム文化・ベトナム語の空間の維持、創造にとってより良い環境を作り上げるのに貢献した。

以上のようなベトナム語教育事業における活発で活気のある活動に加え、シンポジウムは、コミュニティ生活におけるベトナム語の役割を確認するため、在外ベトナム人コミュニティにおけるベトナム語を尊重する日に応じた様々な活動の重要なポイントを強調した。

マイ・ファン・ズン氏は、日本の九州在住のベトナム人の子供たちに対するベトナム語とベトナム文化の指導法に関するコースの開催という構想を特に賞賛し、これは祖国から遠く離れた地で暮らすベトナム人の子供たちに対するとても貴重な贈り物であり、彼らがベトナムの伝統的な文化・言語に囲まれて育てられているということを確認するとともに、このような深い意義のある構想が北東アジア地域だけでなく、世界中で広く、引き続き展開されるよう希望した。

シンポジウムでは専門家や講演者が様々な問題を提示した。近藤美佳博士(大阪大学外国語学部、ベトナム語専門)は、「ベトナムにルーツがある子供たちに対する言語と文化の維持、特に日本の学校教育におけるベトナム語・ベトナム文化の学習機会を確保する方法」について発表した。ホアン・アイン・ティ准教授・博士(大阪大学)は、「母語であるベトナム語を理解しない子供と母語であるベトナム語を理解している子供の2ケースを対象とした教室モデルの共有」について発表した。フア・ゴック・タン修士(ダイナム大学)は、「上記2ケースを対象としたベトナム語とベトナム文化の教育プログラムの立案と実践」に関する台湾(中国)の経験を紹介した。レー・ホアイ・トゥー女史(ベトナム教育出版社-教育技術センター担当副所長)は、「ベトナム語教科書“Chào tiếng Việt” (こんにちは、ベトナム語)シリーズによる在外ベトナム人の子供たちへのベトナム語教育へのアプローチ方法のいくつかの新しい点と国営ベトナムテレビ4チャンネル(VTV4)での“Chào tiếng Việt” という番組の紹介」について発表した。グエン・ラン・チュン准教授・博士は、「ベトナム語教育教科書とベトナム語教育方法のガイダンス」について発表した。

シンポジウムは活発な雰囲気の中で行われ、在外ベトナム人による多くの質問はベトナム語の指導法と学習法に関する問題で、在外ベトナム人国家委員会の幹部や、グエン・ラン・チュン准教授・博士、各専門家たちが回答した。

シンポジウムの枠組みの中で、在福岡ベトナム人会は、ベトナム語とベトナム文化を尊重、維持し、子供たちと第二世代、第三世代にベトナム語を教え学ぶプログラムと並行して保護者達のためにベトナム語を教える方法を立案し実践することを目指す「ベトナム語委員会」を正式に設立した。


【写真①】日本・福岡でのシンポジウムの様子
【写真②】シンポジウムのベトナムの拠点に参加した各代表
【写真③】シンポジウムに参加したヴー・チー・マイ在福岡ベトナム総領事(左)とグエン・ズイ・アイン在福岡ベトナム人会会長(右)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:石塚鈴音 )
( 記事ID:6756 )