軍事クーデターにより、頓挫した高速列車計画
2023年10月22日付 その他-ミャンマーナウ紙 紙

年末にエアコン付きのヤンゴンーマンダレー高速列車、ヤンゴン環状線に、旅行者が短時間で快適に乗車して移動できるようにするという計画があった。

クーデター発生数ヶ月前の2020年8月中に、日本の新潟港経由でヤンゴン港へ輸送する用意をしている新型車両の内の一つ(写真ーJICA Myanmar)

軍事クーデターが起こらなければ、今年の年末にヤンゴンーマンダレー列車旅行をわずか8時間の所要時間で、エアコン付きの車両で快適に乗車することができるということであった。ヤンゴン環状線もより速くなり、エアコン付きで快適に乗車できるはずであった。

その計画は軍事クーデターにより頓挫してしまった。

日本政府の政府開発援助(ODA)の計画によって、民政期に購入を合意した最先端の列車は軍のクーデターによりヤンゴンへの到着が遅れていることが調査により分かった。

国民民主連盟(NLD)政権が時代遅れの鉄道網を改修するため、車両全てが運転できるディーゼルと電気の二種類を用いた電気式機動車(DEMU)を購入する2つの計画のため、2018年、2020年に日本の会社と契約を結んだ。

NLD政権が2023年末の運行を計画していたヤンゴンーマンダレー間とヤンゴン市内の列車の内部の、コンピューターによるデザイン(写真ー三菱商事)

1つ目の計画は、日本の総合商社丸紅、車両を生産する新潟トランシスとミャンマー国鉄との間で2018年に契約したアメリカドル6400万ドル相当の車両24両を購入することである。

2つ目の計画は、日本の三菱商事からの車両246両の購入計画であり、クーデター発生数ヶ月前の2020年12月に合意していた。三菱から購入する予定であった車両の内、66両はヤンゴン環状線のためであり、残り180両はヤンゴンーマンダレー往復列車であった。全ての車両の価格は日本円で690億円である。
軍事クーデター発生の約5ヶ月前の2020年9月に、日本から輸送した車両6両が第一陣としてヤンゴン港へ到着した。合意によれば、丸紅と新潟トランシスから購入した残りの車両18両も2020年4月末までにミャンマーに到着するはずであった。

しかし、クーデター前に到着した車両を除き、再びいかなる車両も日本側は送ってこなかったことを市民不服従運動(CDM)に参加している鉄道職員の1人がMyanmar Nowに語った。

「私が知っている限りでは、どの車両も到着していない。彼ら(軍評議会は)すでに到着していた列車さえ今になって初めて購入したかのようにしている。とんでもない、2、3年前に買ってあったのだ。本来なら24両が次々と到着していなければならなかった」と彼は言った。

NLD政権期間内に購入した列車を、クーデター後に日本からミャンマー側へ引き続き輸送しているか否かに関しては丸紅と三菱、軍評議会は回答せずに沈黙している。

クーデターのため日本の車両が到着せず、老朽化した車両をミャンマーの旅客者は引き続き使用しなくてはならない。(写真―軍評議会情報省)

軍のトップであるミンアウンフライン国軍司令官は、昨年5月にヤンゴン、インセインの機関車工場に行き、日本から到着したDEMUの新車両を視察したと軍評議会の報道部が述べた。この新車両がいつ到着したのかは明確には分からない。車両輸送の最新状況に関して、三菱にMyanmar Nowがメールで問い合わせたところ、内密にしなくてはならない合意事項であるという理由付けで回答を拒絶した。

「内密にしなくてはならない契約を含む任務となっているため、質問には回答できません。そしてミャンマー国鉄の承認なしでこのように情報を明らかにすることはできません」とその返信に説明されていた。

ミャンマー国鉄エンジニア長のウー・ミンソーにMyanmar Nowが問い合わせたものの、発言権がないと言って質問に答えることを拒絶した。同様に丸紅もMyanmar Nowの問い合わせに反応がなかった。

2017年にヤンゴン環状線の改修事業現場で見られたミャンマーと日本の専門家(写真ーJICA Myanmar)

日本のミャンマー鉄道計画は軍評議会の犯罪を支援するという恐れがあるため、フェデラル民主主義に移行する期間まで開発協力を中止するようJustice For Myanmarが日本政府に今年5月に要求した。

クーデターを起こした軍評議会は、日本が援助している民間用車両を武装した兵士を運送するといった軍事目的で使用することもあった。

日本政府がラカイン州で使用するために2017年と2019年に寄付した民間用船舶3隻中2隻を軍評議会が2022年9月に兵士を運ぶ際に用いた。

アラカン軍(AA)を攻撃するための民間用船舶を用いたその行為によって、日本政府も軍評議会に抗議した。

批判や抗議に直面したあとクーデターを起こしたために、日本政府はミャンマー側に供与すると合意をした基幹鉄道のためのODAを撤退させたと日本の通信社である朝日新聞社が2023年5月に記した。
しかし、借款による車両の販売、鉄道の改修のうちどの計画を日本が撤退するかということはまだはっきり分かっていない。

ODAの借款による鉄道改修計画は、クーデター後も続いていると軍評議会傘下のミャンマー国鉄の総長トゥラウーアウンミョーミンが、昨年の9月に発表した。

25億8400万米ドル相当のその鉄道改修計画に対する日本による借款は21億1500万以上、ミャンマー側の出資金は4億6800万以上となる。

線路の改修計画も今年2023年末に完成することを目指していた。
さらなる改修が必要な線路上で、老朽化した列車に乗客らが飛び跳ね、よろめくほどの激しい揺れの中乗らなければならない状況とは、きわめてかけ離れた計画だとCDM鉄道職員が口にした。

「30分に1台運行するための準備、石や橋などは全て掘削し終わり、ヤンゴン-マンダレー間のタウングーあたりまでかなり完成した。バゴーまで試験運転済みだ。コーヒーカップを乗せて運行さえした。スムーズだった。」と安全面の観点から匿名希望の先述の鉄道職員はMyanmar Nowへ語った。

軍事クーデターにより、線路や列車だけでなく、鉄道部門も崩壊してしまった。クーデターに対して非暴力的に抵抗を行った省庁関連の職員の中で、鉄道職員の勢力が最も大きく、数にして8,000人以上が参加したとCDM鉄道職員が述べた。

軍評議会はヤンゴン-マンダレー鉄道改修計画の遅延は、クーデターとその後の問題ではなく、鉄道と建造物への攻撃を受けたことによるものだと理由を説明した。

10月17日、軍評議会の声明では、クーデター勃発時から2023年10月16日まで、ミャンマー全国の鉄道網における線路や駅の敷地内における地雷爆発や地雷発見が126件、鉄道の橋が地雷爆発により破壊される行為45件、駅や職員宿舎の放火による焼失12件、が確認されているという。
国民防衛隊(PDF)の犯行だと、軍評議会は非難した。

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( 翻訳者:Y.A HR.M HN.M )
( 記事ID:6769 )