Ismet Berkanコラム「また民営化は失敗するのか?」(Radikal紙)
2005年04月30日付 Radikal 紙

トルコでは20年もの間、民営化が話題となってきた。しかし民営化においてトルコがどんな道を歩んできたかは周知の通りである。反対に、我々が民営化を検討していた間に共産主義諸国では民営化が進み、完了してしまったところすらある。トルコの非・民営化プロセスの象徴として最も重要なのはトゥルクテレコムだろう。我々は長い間この会社を民営化しようとしてきた。政治的衝突もなく、違憲判決が出たわけでもなく、法律が作られたわけでもないが、今だにトゥルクテレコムは売られていない。もし問題がなければ今年の終わりまでにはこの会社の持ち主は変わる見込みである。しかしその「問題」が起きてしまったのだ。


トゥルクテレコムの有力な求婚者であるスペインの通信社テレフォニカ社は先週、競売から手を引いたと発表した。その理由はトゥルクテレコムの関連会社である携帯電話会社アヴェア社に関する不確実要素だった。トゥルクテレコムはこのアヴェア社の株式の40%を所有している。つまりトゥルクテレコムを買ったものがアヴェア社の40%も所有することになる。テレファニカ社はこの40%をどうすればいいのか、と言っているのだ。アヴェア社の残りの60%のうち、40%はテレコム・イタリア社が、20%はイシュ銀行が持っている。もしスペインの会社であるテレフォニカ社がトゥルクテレコムを買うと、関連のアヴェア社ではライバルのイタリアの通信社と共同することになってしまう。この状態をテレフォニカ社が避けたのは明らかだった。40%の株を売ることができるのかを計りかねたのだ。テレフォニカ社の競売不参加を受けて昨日また別の展開があった。テレコム・イタリア社のゼネラルマネージャーが「トゥルクテレコムを我々が入札できなかったらアヴェア社からも手を引く」と発表したのだ。アヴェア社でライバルと共同するような状態になるのは嫌だということだ。トゥルクテレコムの民営化はまたしても困難につきあたっているように見える。その困難を生んでいるのが携帯電話会社である。
  実際のところ、私に言わせればトゥルクテレコムははじめから、とても売ることなどできないくらい大きな組織である。もはや売っても莫大な利益が期待できるものでもない。10年前には200から300億ドルの価値があったが現在では70から80億ドルまで下がった。ならばトゥルクテレコムを最も良いサービスを提供できるような形に分割して売却するのが一番の方法だろう。10社くらいに分けて競売にかけられるべきだったのだ。以前にも書いたが、国営の専売企業を民間の独占企業にするのは絶対に良くない。政府は競争の条件が成立し、消費者が最大の利益を手にできるような対策をとっておくべきだったのだ。しかし、手に入る利益の金額を吊り上げ人々をあざむくためにトゥルクテレコムは分割されなかった。そして我々は今新たな間違いに向かって進んでいるように感じられる。実は問題はアヴェア社だけではない。ケーブルテレビ網からインターネットサービス会社まで複雑な問題が山積みである。トゥルクテレコムが売れなかったらその価値も、国際的な関心も薄れていく。このことを政府は分かっているのだろうか?残念ながらこの問題に関して私はほとんど希望を抱いていない。







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( 翻訳者:加賀谷ゆみ )
( 記事ID:21 )