Cuneyt Ulsever コラム:公正発展党(AKP)分析 -2-
2007年05月23日付 Hurriyet 紙

昨日の記事で私は、AKPが2004年にEUへの道からそれたのち、特に2004年の地方選挙後にレーニンの「毛細血管理論」によって構築した組織化のモデルをトルコで最もよく実行しているミッリーギョルシュに引き渡し、この日を境にAKPの基盤の大部分が彼らの手に渡ったことを明らかにした。

ミッリーギョルシュはトルコで「街区政治(地域密着型政治)」を最もよく広めた組織として、直接のプロパガンダの代わりに「社会政策」を前面に掲げ、頭より先に心に訴えかける。

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先週(2007年5月15日)、ヴァタン・キタップ(ヴァタン紙の付録)で(同紙コラムニストの)ルーシェン・チャクルは、ケマリストへの批判を展開し、宗教社会学を研究していることからケマリストによって時折「イスラーム主義者」であると批判されているが、国際的な学術界では大きな敬意を払われている社会学者として知られるシェリフ・マルディンと行ったとても重要な対談の中身を公開した。対談には次のようなくだりがある。

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問い:これほど長きにわたる研究生活で、あなたの中に未解決の問題は残りましたか?

マルディン:もちろん。例えば非常に短期的なものとして私が発展させたいくつかの解答があり、それらにはあまり問題はない。しかし長期的ないくつかの事柄、例えばトルコにおけるイスラームの政治的基盤を研究した時に答えを出せなかったとても多くの問題と向き合っている。例えば「基盤」とは何なのか?私は政治的イスラームは大きく変動しうるものだと考えている。多くの人々が『政治的イスラームは、政権を完全に掌握したとき、かなり重い条件を課す体制を築く可能性もある』と言っており、私も完全には間違いだと思っていない。だからイスラームはトルコの重要な構造的要素である。しかしイスラーム勢力が政権に就くことは、我々が好ましいと思わない結果を導くだろうと考えている」。

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シェリフ・マルディンは、直接AKPのことを指しているわけではないとはっきり述べた対談で、ルーシェン・チャクルのAKP政権が自分を信頼しているか否かという問いに対しては次のように答えた:

「彼らは私を信頼しているが、残った私の疑問を説明するために、君の問いとは関係ない部分から話を始めよう。トルコには「街区の圧力」というものがある。青年トルコ人の最も恐れたものの1つがこれであった。「街区の圧力」とは知られていない、社会科学によって説明することが非常に難しい1つの雰囲気である。この雰囲気がAKPとは関係なくトルコに広まったと信じている。したがってAKP以外の党でも、この雰囲気の広がりに適した条件が整えば、そのときAKPもまたこの雰囲気に屈服せざるを得なくなるだろう」。

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私のAKPに関する考えも、私が「街区政治」と名付けた、シェリフ・マルディンの言う「街区の圧力」に集約されている。
近年、イスラーム主義の政治(ハマス、ヒズブッラー、ムスリム同胞団)が最も成功した点が、社会政策(保健、教育、食料援助など)によって「街区の圧力」を掌握し、(組織の)上を下から操ることである。
ミッリーギョルシュも2004-2007年の間にゆっくりとではあるが着実にAKPの基盤組織を「街区政治」によって手に入れた。もはや、いかなる勢力もAKPの毛細血管をミッリーギョルシュから取り戻すことはできない。

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AKPの上層部が、憲法や法律を改正して国を「シャリーア体制」にしようとしているという主張は、私見ではとても間違った見方である。私の考えではAKP首脳にそのような意図はない!
しかし、本来不愉快に感じられなければならないことは、AKPが徐々に党と国の両方を、ミッリーギョルシュのイスラーム観によって形成され、明文化されていない規則によって導かれている「街区の圧力」に引き渡したことである。

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公正発展党(AKP)分析 -3-

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:10976 )