ガソリンスタンド前で夜の行列:ガソリン配給制の開始時期、いまだ不透明
2007年06月20日付 E'temad-e Melli 紙

 昨日明け方、革命前夜の記憶をまざまざと思い出させるような長蛇の列が、ガソリンスタンド前を埋め尽くした。人々はガソリン配給制の実施が夜半のうちにも開始されるのではないかとの不安から、月ごとの配給の不安もなく安らかな気持ちでガソリンを満タンにするのもこれが最後とばかりに、ガソリンスタンドに殺到したのであった。

 ガソリンスタンド横にできた夜の行列は、月曜日の最後の数時間に始まり、次の日の明け方2時になっても依然として続いていた。配給制の開始を告げるニュースは伝えられないまま、時計の針が真夜中の時間を過ぎ、明け方3時になろうかというときになっても、夜の行列が乱れることはなかった。

 昨日明け方、行列に残っていた運転手たちは車から降りて、あるいは歩道で、あるいは自分の車の横で、目的地に到達するのを待っていた。ある者は輪になって集まり、国の現状について分析を行い、またある者は配給制開始について質問してくる歩行者たちを冗談半分で追い払ったりしていた。

 昨日はガソリンスタンドがもっとも混み合った一日であったが、しかしガソリンスタンドに人々が殺到したのは、これが始めてではない。ガソリン販売店の夜のシフトを担当する店員たちから平穏が失われてから、もう何日にもなるのだ。

 なぜガソリンスタンドは混み合っているのか?

 この2ヶ月間、ガソリン配給制の現状について報じられなかった日は、指の数よりもすくない。配給制の開始時期は、法律によればホルダード月1日〔5月22日〕ということになっていた。しかし、さまざまな政府機関から相次いで相矛盾した発表がなされた後、まず全面的な一時中止、それからホルダード月15日〔6月5日〕までの一時中止、そして最後にいつまで中止されるかは未定という具合に、ガソリン配給制をめぐる政策は二転三転した。

 石油相、石油精製流通公社代表、大統領特別プロジェクト代理、〈予算法補足第13項実行に関する大統領特別代理〉、そして内相といった関係者は各々、ときに一緒に、ガソリン配給制について〔矛盾した〕見解を表明しているのだ。

 オルディーベヘシュト月30日(日)〔5月20日〕の夜に行われたガソリン新価格導入に関する発表も、ガソリン配給制に関して苦い経験を残している。最後に、ガソリン配給制はティール月1日〔6月22日〕から開始されるのではないかとの憶測報道も流れたが、これも国会議員数名、内相、そしてその他数名の政府関係者の発言をもとに報じられたものだった。

 さらに月曜日の午後、石油相は記者らを前に、これから会議に向かうところであり、そこでガソリンについての方針が統一化される予定だと語った。このことがきっかけとなって、人々は月曜日の夜、いつ終わるとも知れぬ長蛇の列をガソリンスタンドに作って、ラジオに耳を傾けることになったのだが、しかしこの会議の結論が報じられることはなかった。そして最終的に、昨日朝、石油省次官にして石油精製・石油製品流通公社代表、そしてガソリン・スマートカード・プロジェクト実行責任者であるネエマトザーデ氏―彼はこの三ヶ月間ガソリン配給制について一次情報を明かしてこなかった人物だ―は、ISNAに対して、月曜日に会議など全く開かれなかったと語ったのであった。

 「人々は恐れおののいてますよ」。販売店協会のハージ・レザーイー会長は、こう述べる。彼はエッテマーデ・メッリー紙とのインタビューの中で、ガソリンスタンドがかつてないほど混み合っている原因について、次のように述べている。「ホルダード月〔5月下旬から6月下旬〕が終わりに近づくにつれ、配給制・ガソリン補給の制限が開始されることに対して、人々は不安を募らせてます。そのため、多くの運転手が毎晩ガソリンを補給しにきては、それを〔自宅に〕備蓄することが当たり前のようになっています」。

 ガソリンを自宅に備蓄することが原因で起きた火事が3件報告されており、石油製品流通公社の企画担当次官も人々に対して、ガソリンを備蓄することの危険性を警告している。イラン国営通信(IRNA)やファールス通信も、人々がガソリンの備蓄を始めていると報じており、ハージ・レザーイー会長の指摘を証明する格好となっている。

 ガソリン配給制の開始時期が前もって発表されることはない!?

 国会議員らはさまざまな意見や提案、推測、憶測を述べているが、それとは別に、本記事執筆時までに配給制開始時期に関して発言した政府関係者が、一人だけいる。石油相は月曜日の夜、メフル通信とのインタビューの中で、配給制でのガソリン配給量は火曜日の午後にも決まるだろうと再度発表している。

 その他の公式の報道でも、ガソリン配給制については全く報じられていないが、ある匿名希望の情報筋はインターネット・ニュースサイト「イランの時代(アスレ・イラン)」とのインタビューの中で、次のように語っている。「これまで、配給制の開始時期について発表があると、問題の日までの数日間、多くの人々がガソリンの備蓄に走る様子を、われわれは目にしてきた。このような行動は危険で、事故が起きかねない。そのため、同じようなことが起きないよう、恐らく配給制実施の正確な日にちは、前もって発表されないのではないか」。

 国会のエネルギー委員会の副委員長も、昨日午後、SHANA通信とのインタビューの中で、「国会の同意により、配給制に関する法律の施行はモルダード月1日〔7月23日〕まで延期された」と語っている。ナーセル・スーダーニー副委員長によると、エネルギー委員会の委員らは、精製・流通担当石油省次官や〈予算法補足第13項実行に関する大統領特別代理〉と会議を開き、その中で配給量の決定ならびに同法律の施行は、1ヶ月間先延ばしにされ、そこで再度施行されることで合意がなされたという。

 同副委員長は配給制に関する政策決定時期について、「配給制で配給されるガソリンの量については、今日発表される予定であった。しかし合意により、この問題も1ヶ月後に委ねられることになった」と述べている。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:11204 )