インド、《平和パイプライン》構想をめぐる協議への出席をキャンセル
2007年09月25日付 E'temad-e Melli 紙

【エッテマーデ・メッリー】《平和パイプライン》構想をめぐる第7回目の協議がテヘランにおいて始まった。この協議は、インドがパキスタンとの間に存在する二国間の重要問題が未解決であることを理由に、会議への出席をキャンセルする中開催された。インドは、《平和パイプライン》構想をめぐる協議のイラン側とパキスタン側の代表であるホッジャトッラー・ガニーミーファルド氏とファッロフ・ガッユーム氏に宛てた書簡の中で、「インド政府とパキスタン政府はまず一部の重要な問題を二国間で解決し、それから三カ国間で解決すべきである」と表明している。

 India Expressの報道によれば、インドのサンダレシャン石油省次官により書かれた同書簡には、次のようにあるという。「パキスタン領土を通ってガスを輸送することにかかるトランジット料金のような、インド・パキスタンの二国間の問題は、最初の段階で解決されるべき事柄である。この問題に加え、インドとパキスタンは、イラン側が要求している『料金見直し』条項について、両国間で回答を用意するべきである。三カ国で協議を行う前に、二国間で会議を行うべきだと我々は考えている」。

 このようなインド側の行動は、5年ごとの輸出天然ガス料金の見直しを求めるイラン側の要求が元となっており、パキスタンもイランの要求に反対しているとのことである。その一方で、これらの問題の解決をインドが〔パキスタン側に対して〕呼び掛けているにも関わらず、パキスタン政府は、インドが三カ国協議に出席しないとしても同国は単独で自らの問題を解決すると公言している。

 〔インドが三カ国協議に〕反対する一方、パキスタン側はインド側の主張に耳を傾けることなく第7回目の協議に出席しており、そればかりかイラン・パキスタン二国間で行われたイスラーマーバードでの前回の協議では、30項目から成る契約の冒頭部分に関し合意がなされてさえいる。

 とはいうものの、二国間協議でのイランとパキスタンの合意は、《平和パイプライン》構想の実現過程に影響を与えそうにない。というのも、未だインド・パキスタン両国には契約をめぐる問題が根強く残っており、インドは三カ国協議の前にこれらの対立を解決すべきであるとの姿勢を崩していないからである。

(中略)

 他方、一部の関係筋はまた、インド〔註:原文では「パキスタン」とあったが、文脈からインドの誤記であると判断した〕が協議継続への参加を拒んでいる別の理由として、アメリカが協議の中止を同国政府に迫っているという事情もあると指摘する。

 このような見方は、同国政府関係者により度々否定されているが、ビルマ=インド間天然ガス・パイプライン問題のフォローアップのために、インド石油相がビルマを、それも《平和パイプライン》構想をめぐる交渉が行われている最中に訪問していることは注目に値する。というのも、インドは天然ガス資源を確実かつ喫緊に必要としているにも関わらず、イランの大型天然ガスプロジェクトへの参画に関心を示さず、むしろインド政府当局者がビルマのパイプライン修復のためにビルマを訪問しているからである。

 まるで、インド政府がイランでの交渉をキャンセルするために用いた口実とは別に、同国が《平和パイプライン》構想に反対する本当の理由が隠されているように思えてならない。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:12015 )