Derya Sezak コラム:トルコにおける地震対策の現実
2008年05月16日付 Milliyet 紙

中国での地震における死者が5万人を越える可能性があるという驚くべきニュースによって、私たちは[今後]起こるとされるイスタンブル地震での結果について考え込まずにはいられなくなっている。

テレビ各局は、[ボアズィチ大学の]カンディルリ地震観測所長のギュライ・アルタイ教授による「訂正」的性格を持つ記者会見を報じた。[イスタンブル近郊での地震については]非常事態にあるわけではないこと[を明言し]、またそれと同時に、人々に警告を発する必要性を感じたがゆえであった:
「イスタンブルについて今後30年以内に65パーセント程度の確率でマグニチュード7を超える地震が想定されていることは、何度となく指摘されてきました。
私は本日、この私どもが観測したデータに基づいて、私たちは常日頃から地震に対して備える必要がある、と改めて申し上げたく思います。私どもは、地震が起こるだろうとか、あるいは地震が起こらないだろうとか、そういった類の会見をしているわけではありません。過去140年間に及ぶ[歴史をもつ]カンディルリ地震観測所は、常々、複数のデータに基づいて様々な評価を行ってきましたので。」
マルマラ地方でのマグニチュード7を越える地震のリスクが、いまだそのままであることを強調したアルタイは、次のように述べた:
「地震に対する備えというのはこの上なく重要なことです。リスクは常にあり、このことについては、複数の専門家によるデータによっても私どもは確認しています。つまり、私たちが備えれば備えた分だけ、危機感を持つことができればその分だけ、地震によって作り出されるであろう深刻な諸状況に自分たちが陥らなくて済む、ということになるはずです。」
マルマラ地震から9年が過ぎたが、専門家の間ではイスタンブルを襲うであろうマグニチュード7以上の地震の発生リスクについて見解が一致している。想定された期限30年のうち、ほぼ3分の1が過ぎた。カルタルからベイリキデュズまで、イスタンブルのマルマラ海に面した両岸には高層ビル群が伸びていくのに、一方、地震対策については、いまだ僅かばかりの進歩も示されないようなら、地震について[なされる]諸警告には何の意味もない!カンディルリ地震観測所長のアルタイ教授やその他の専門家たちの「状況は深刻だが、しかし、希望がないわけではない」といった類の幾度もの会見が、何ひとつ理解されてはいないではないか!

政権はといえば、憲法裁判所での解党訴訟による「余震」に忙殺されているので、地震に対する切迫感はない。地方行政に存在する「利益追求主義」も、住宅の耐震化の好機であることを分かっていない。
人口の増加と並行して住環境の劣悪化が進んでいる。エルドアンが「子供は3人」言説において[自身の言説の]基準を引き上げて子供を5人としたことについて、人々は「首相の発言は[実は]底で繋がっているのだ。第3次世界大戦は起こらないであろうことを踏まえると、[子供5人というは]イスタンブル地震に対して備えているのだろうか?」と問わずにはおれない。完全に「地震が予知できる」可能性はない。
いまは亡きアイクト・バルカは、マルマラ地震の発生以前に警告していたが、気に留めた人はいなかった。今日でも人々の頭というものは複雑で、データというものは完璧ではない。混濁状態なのだ。[そして]各組織の間には連携がない。

中国での地震は、トルコを自らの現実に向きあわせてしかるべきだ。

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参考:Ismet Berkan コラム:地震を予測はするけれど-ゼイティンブルヌのビル倒壊に思う-

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( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:13838 )