国会議員ら、NPTからの脱退を示唆
2008年07月02日付 E'temad-e Melli 紙

【エフサーン・メフラバーニー】第8期国会は同国会としては初めて、核問題をめぐる声明を発表した。国会が今回初めて示した核問題への積極姿勢は、一部の国会議員によるNPTからの脱退という脅しを伴ったものであった。

 アリー・ラーリージャーニー国会議長が核問題における国会の役割をより強く示そうと試みる中、イニシアティヴを握ったのは他の議員らであった。201名の国会議員の署名を得た同声明文は、イランの核の権利を強調しつつ、次のように述べている。「アメリカと同国に追随する西側諸国は、いかなる国際法上の論理にも依拠することなく、政治的な目的にもとづき、イラン国民の重要な権利を侵害しようとしている。他方で、彼らは石油・ガスの莫大な地下資源もいつかは底をつき、〔原子力以外に〕他の選択肢はないことを知っている」。

 国会議員らは、核技術〔の獲得〕はすでに政治的主義主張を越えた一つの国家意思になっていると述べつつ、この国家意思ならびに同分野における国家安全保障最高評議会の政策を強く支持する旨表明した。彼らはその上で、イラン・イスラーム共和国にとっての譲れぬ一線が考慮されるならば、〔イランから〕5+1グループの国々に対して〔用意されている〕話し合いの機会は適切なものとなるであろうし、彼らは現下の問題の解決に向けてこの機会を利用するべきであると強調した。

 国会議員らはさらに、5+1グループ諸国に対して、決議の採択や制裁といった措置は何ら結果をもたらさないばかりか、偉大なイラン国民の代表である自身らが国民の権利を守るべく、追加議定書の実施に関して下したのと同様の決定を再度採択することになろうと指摘した。

NPT脱退という選択肢

 国会議員らが声明の中で示してきた様々な決意の一つに、NPTからの脱退がある。このような決意は今回、国会の国家安全保障外交政策委員会の副委員長により提起された。

 エスマーイール・コウサリー副委員長は、国会議員による今回の声明発表の理由について触れ、「国会議員も政府同様に、国民の核の権利の追求を主張していることを世界は知るべきだ」と述べた。

 同副委員長は、決議や制裁が行われれば、我々国民の代表は追加議定書の実施に関して下したのと同様の決定を再度採択することになるであろう旨の声明文最終項の文言に触れ、その場合の国会による予想される決定について、次のように語った。「もし問題が話し合いのレベルで進むならば、何も起きないだろう。しかしもし彼らがそれ〔=話し合い〕を越えるような行為に及び、制裁に関する議論をしようならば、我々はNPTを脱退することになるであろう。もし彼らが理不尽な要求をしようならば、我々は黙ってはおらず、このことに関して独自の決定を採択することになるであろう」。

 同副委員長は、イランに対する脅しについて、「具体的には経済制裁や〔軍事的な〕攻撃を意味すると考えられる。攻撃という脅迫は現実的なものとは思えないが、あらゆる場面について必要な備えを行うべきであることは疑いない」と述べた。

 コウサリー議員と同じくテヘラン選出のアリーアスガル・ザーレイー議員もまた、国会議員による声明発表の必要性に関し、5+1グループ・イラン側双方が示した包括提案について指摘しつつ、次のように語った。「ヨーロッパ諸国と5+1グループは、一方では話し合いを続けつつ、他方ではイランに〔ウラン濃縮〕停止という自らの要求を押し付けようと厳しい圧力を加えている」。

 同議員はその上で、「国会議員らによる声明は実際、我々は自らの核の権利を絶対的に擁護し、行政当局者らを支持しつつ、敵の要求をつき返す必要があればいつでもそれを実行するというメッセージである」と付言した。

脅しをより真剣に受け止めるべき

 他方、ナハーヴァンド選出の国会議員でテヘラン大学教授でもあるメフディー・サナーイーはイランの核問題の状況について、今回の包括提案は前回のそれと比べ複数の相違点があり、イスラーム共和国もより慎重に今回の包括案を検討していると述べた上で、次のように付け加えた。「イスラーム共和国は、自らの権利を放棄するようなことはしないという現実の一方で、国際社会とより関係を深めていくべきことを認めており、関係者らの口調ももっと話し合いが行われるべきである〔という認識に立っている〕ことを示している」。

 非政府研究機関「イラス」〔ロシア・中央アジア・カフカーズ研究所〕の代表でもある同議員は、核エネルギーの分野で獲得してきた成果を守ることは重要だと述べた上で、「我々は〔イランに対する〕脅しをより真剣に受け止めるべきだ。世界で取られているあらゆる決定が理性や論理に沿ったもの、権利と正義に則ったものであるとは限らないということを考慮する必要がある」。

 イーラーム選出の国会議員で大学教授でもあるダーリューシュ・ガンバリーもまた、核問題の過激化は話し合いを望まない集団を利することになるとした上で、「ヨーロッパの取る政策が、問題の行き詰りを生んでいる」と話した。

 一方で国家安全保障外交委員会のヘシュマトッラー・ファラーハトピーシェ委員は、NPT脱退案に反対する考えを示している。同委員は、NPTからの脱退は数年間にわたるヨーロッパとの交渉を台無しにするものであるとして、次のように述べている。「我々はNPTに違反する行為はしておらず、NPT脱退はある意味で自殺行為である。核問題には緊張緩和が必要であると私は考えている。過去の国会においても脱退が提起されたことがあるが、どの議員も賛成票を投じなかった」。同議員はその上で、NPT脱退は国家安全保障最高評議会、及び最高指導者が決定権限を有する問題だと指摘した。

(後略)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
関連記事(外務報道官「ウラン濃縮停止はこれまで通り拒否する」)

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:14229 )