農産物輸入に120億ドル?
2008年07月07日付 E'temad-e Melli 紙

【カームラーン・マレクプール】農産物の輸入のための25億ドル、そして旱魃被害への対策のための費用20億ドルを石油収入で賄うことが議会で承認された。しかし実際、これは国の水不足問題解決にとって一時的な解決案に過ぎない。

 同政府案は、第7議会ではより低額の予算案として提出されたにもかかわらず、可決されるには至らなかった。第8議会もインフレの原因となるとの理由から、3週間前の時点では、審議を尽くすべきとして同案に賛成票を投じなかった。しかしこの3週間の間に状況は一変し、高額な予算を伴う同案が早々に可決されることが決定的となった。

 議会が早々と同案を可決する方向へと見解を一転させた理由のひとつとして、ここ数日間における政府関係者らの見解の表明がその背景にある。国会議員らが政府案についてより検討の必要があるとする票決を行ってから1週間後のホルダード月最終週〔西暦で6月中旬〕、大統領は農業関連団体の代表者6000人の前に姿を現した。

 マフムード・アフマディーネジャード大統領はその日の演説において、旱魃問題の解決のためには議会と政府の協力が不可欠であると語った上で、「同案が採択されない場合、農業従事者が抱える問題の解決のために内閣を引き連れて村々を訪問し、必要とあらば、自らシャベルを手に農作業に汗を流すことも考えねばならない」と述べた。実際同大統領はこの発言を通じて、旱魃問題の解決のためには同案の可決以外に方策はなく、議員らはこの問題に関し政府と同調すべきだとのメッセージを議員らに伝えたのである。

 商業相もまた、〔農産物〕輸入のために50億ドル近くの資金を外貨準備から取り崩す旨の政府案を支持しつつ、同案を旱魃の緊急治療と名づけている。マスウード・ミールカーゼミー大臣はこれに関連し、「〔政府案が可決されない場合には〕将来多額の経済収入を失うことになり、その結果は今後数世代にわたり続くであろう」と語った。同大臣はこうして、可及的速やかに農産物輸入のために外貨準備を取り崩すべきだと結論付けたのである。

120億ドルという前代未聞の金額

 今回可決された25億ドルという金額は、今年の農産物輸入に充てられるただ一つの予算を表すものではない。同予算は実際のところ、これまで認められてきた予算に追加されるもの〔の一部に過ぎないの〕である。農産物の生産量が減少していること、そして600万トンの小麦の輸入がすでに許可されたことを考慮すれば、国の需要を計算した場合、今年度の農産物の輸入は前代未聞の120億ドルという記録的な金額に達することが予想されている。

 ここ3年間、農産物の輸入額は増加し続けている。1386年(2007-2008年)末には同輸入額は62億ドルに達し、その結果国の農業貿易の収支は22億ドルの赤字を計上した。因みに統計によれば、1384年(2005-2006年)の農業部門の総輸入額は37億ドルであった。

 今年度、〔農産物の〕輸入の増加傾向が続いている要因として、農業ジハード省が旱魃に関する必要な予測を怠ってきたことが挙げられる——これは、同省が抱える根本的問題の一つである。イランが乾燥し、水の少ない国であることは農業経済関係者の誰もが認める事実である。にも関わらず、ここ数年間の政策立案において政府は同問題に対し十分な注意を払ってこなかった。国の半数の州が深刻な水不足問題に直面する中、農地灌漑システム改善に関する方針が最近になって組まれ、承認されようとしているところである。

 興味深いことに、オルディーベヘシュト月初め(4月下旬)の時点になっても、農業ジハード省の一部関係者らは今年の水不足を通常の問題として捉えていた。例えば、農業ジハード省国際関係・国会担当次官は、「水の消費により最大の利益が得られるべきだ。そのような目的から、より大規模な温室栽培の開発が、以前より課題として位置づけられてきた」などと述べている。

 ペイマーン・ファルサフィー次官は続けて、「多くの農産物の生産は十分なレベルに達しており、自給率が99%を超えていることを鑑みれば、今年の旱魃は深刻な問題を生み出さないと予想される」とも語っている。

 その一方で、予想される今年の旱魃に関して、何ヶ月も前から複数の警告が農業ジハード相に向けて提起されてきたのである。

農業ジハード省の怠慢

 農業ジハード省は過去三年間〔=アフマディーネジャード政権発足以降〕、〔同省の政策に関連する〕数々の批判や提案に注意を払ってこなかった。1年半前、54名の農業を専門とする教授らによって第9政権の政策に対する批判をまとめた声明がアフマディーネジャード大統領宛に提出され、様々な反応を呼び起こしたが、その際にも、第7期国会農業委員会の一部委員は同声明に関する包括的な検討を約束したものの、実際には実行に移されないままに終わったという経緯がある。

 他方、モハンマド・レザー・エスキャンダリー農業相はそのような声明を「政治的行為」にすぎないと一蹴し、大学教授らとの討論を約束すると発表しつつ、国の食糧安全保障が脅かされているとの声明文の主たる指摘点に対しては、「われわれには3億人分の食糧が確保されている」などと豪語していた。

 その一方で、これらの教授らが発表した声明の一部には、次のような記述がある。「〔‥‥〕現在の状況が続けば、最終的にファールス州、ホラーサーン州、ケルマーン州、アーゼルバイジャン州、ハマダーン州、マルキャズィー州、ガズヴィーン州、ザンジャーン州、ゴム州、セムナーン州、テヘラン州といった複数の州が新たに砂漠化してしまうであろう。確信を持って言えることは、政策の改善を明日実行するのでは遅いということである」。

〔後略〕

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:14272 )