シャハーブ3ミサイルの発射実験、成功
2008年07月10日付 Jam-e Jam 紙


【政治部】新世代型長距離ミサイル「シャハーブ3」の発射実験が昨日、第3回《偉大なる預言者》軍事演習にて成功裏に行われた。この成功により、イラン国境から2000キロメートルの範囲内にいる敵の標的は事実上、我が国のミサイル・システムの射程内に収められることとなった。

 今回革命防衛隊による海上・ミサイル演習で実験された改良型ミサイルは、射程距離2000キロメートル、重量1トンであり、これまでの同種のミサイルより高い命中率で標的を狙うことができる。シャハーブ3新世代型ミサイルには、イランの研究者の手によりクラスター弾頭が装填されている。クラスター弾頭を装填することで、シャハーブ・ミサイルは大量の爆弾を標的に投下することが可能となり、同ミサイルは事実上、敵の軍事標的に対する爆撃を担うことになる。このような能力は、敵の軍事基地や部隊の集合場所、及び様々な間隔で配備された艦船を標的とする攻撃に使用することができる。シャハーブ・ミサイルの弾頭内に装填された大量の爆弾を、一瞬の間に広範囲に投下することが可能だからだ。

 もう一点特記すべきは、シャハーブ・ミサイル独自の管制システムの存在である。一部の人々はイランが同ミサイルを他国から入手したと主張しているが、同管制電子システムは疑う余地なくイランの研究者らにより製作されたことが、今回証明された格好だ。イランはこのシステムにより、ある意味で〔標的に対する〕非常に正確な認識能力と高い命中率を獲得した。ミサイルが標的に命中する確実性が高まったことに加え、ミサイルが所期の進路から外れた場合にも方向修正が可能となり、命中率は格段に高まったといえる。

(中略)

 革命防衛隊による第2回・第3回《偉大なる預言者》軍事演習で披露されたものとして、もう一つ注目されるのは、様々な能力・レベルのミサイルが複数同時に発射されたことである。イランの国防専門家らの努力と正確な計画により、イランは世界でもまれに見る能力を有するようになったのである。

 注意しなければならないのは、これらのミサイルはそれぞれ、発射準備に一定の時間が必要であり、同時発射をするためには正確な計画と綿密に計算された上での実施が必要であるということだ。イランが成功したのは、一秒間で様々な種類のミサイルを複数発発射させることであり、これはすべての人の賞賛の的となることなのである。

 シャハーブ3新世代型ミサイル以外にも、シャハーブ、ファトフ、ゼルザールといったクラスの各種中距離及び長距離地対地ミサイルの発射実験が行われた。軍事専門家らは、昼夜にわたり悪天候の中行われたミサイル発射実験は、これらのミサイルが有する独自の性能を示すものであると語っている。

引き金を引く準備はできている

 ミサイル実験に合わせる形で、革命防衛隊空軍のホセイン・サラーミー総司令官は革命防衛隊が保有する数々のミサイル・システムは完全に実戦態勢にあり、国防上の配備も完了していると強調した上で、「敵に警告する。我々の指はつねに引き金にかかり、我々のミサイルは常に発射準備の態勢に置かれることになろう」と語った。彼はシオニスト略奪体制が仕掛けている心理作戦に応答する形で、「我々の能力とシオニスト体制の能力を比較することは、イラン国民のプライドが許さない行為であると強く信じる。なぜならば我々の対抗力はシオニスト体制の能力をはるかに上回っているからだ」と述べた。

 革命防衛隊海軍のサッファーリー総司令官も、ペルシア湾及びホルモズ海峡の特別な戦略的重要性を強調しつつ、「ペルシア湾及びホルモズ海峡での直接的・包括的任務遂行を目的に、革命防衛隊海軍司令部の主要部署はすでに海岸地帯に設置されている」と語った。ナッジャール国防軍需相もまた、「イランのミサイルは好戦的かつ敵対的な命知らずの侵略者のみを標的とするであろう」と強調した。

イスラエルへの警告

 ペルシア湾におけるイランのミサイル実験と同時に、世界のメディアは今回の演習をイスラエルに対する警告、すなわち最近のイスラエルの軍事演習に対する反応であると分析した。BBCは「イランの新型ミサイルはイスラエルのさらに向こうにいる敵国までをも標的に収め得るものだ」と報じた。またBBC、CNN、アルジャジーラ、アルアラビーヤ、アルアーラム、そしてAFPやロイター通信も緊急速報の中でイランのミサイル実験に関する報道を流した。

ホワイトハウスの反応

 《偉大なる預言者》演習において9発の中距離及び長距離ミサイルの発射実験が行われたのを受け、ホワイトハウスはイランに対する懸念を表明するとともに、さらなるミサイル実験の自粛を求めた。ホワイトハウスのゴードン・ジョンドロー報道官は、「イラン人は核兵器の運搬を可能にする自動ミサイルの開発を停止すべきである」と述べた。

ペルシア湾岸からアメリカの空母、撤退

 ペルシア湾での革命防衛隊による海上・ミサイル演習が行われたのと時を同じくして、アメリカの空母USSエイブラハム・リンカーンが同国最後の航空母艦としてペルシア湾から撤退した。この撤退により、ペルシア湾に派遣された米航空母艦の数はゼロとなった。別の空母をペルシア湾に派遣する計画については、いまだ明らかにされていない。

ミサイル発射によりドルが下落

 イランによって数発の中距離及び長距離ミサイルが発射されたとの報道を受け、ユーロ、円、及びスイス・フランに対するドルの価値が下落した。ファールス通信はブルームバーグの報道を引用して、イラン南部で行われた演習において中距離及び長距離ミサイル9発を発射したとイランが発表した後、ドルの価値はユーロ、円、及びスイス・フランに対して下落したと報じた。なお、ドルの価値はここ数日間上昇を続けていた。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:14277 )