ナーテグヌーリー師、「時のイマーム」に関する誤った認識を戒める
2008年09月21日付 E'temad-e Melli 紙

【エッテマーデ・メッリー】革命最高指導者査察事務所長は、「時のイマーム」〔お隠れ状態にある第12代イマームで救世主マフディーとして再臨すると信じられている〕の生涯やそのお隠れに関して逸脱した認識が社会に横行し、純潔たる〔12人の〕イマームらについて誤解がはびこり、救世主マフディーに関する偽りの主張が飛び交っている現状を厳しく咎めた。

 ISNAの報道によると、ホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーン〔アーヤトッラーよりもワンランク下の宗教指導者に対する尊称〕のアリーアクバル・ナーテグヌーリー師は聖ラマダーン月19日にイマーム・ホメイニー聖廟で行われたラマダーン月の徹夜礼拝の行事において、《ガドルの夜》に言及しつつ、「まさにこの時期に、信徒の長イマーム・アリーは正義を希求し、真理を主張し、圧制者・暴君・逸脱者・偏狭頑迷な信者らと闘った末に、凶刃に斃れたのである」と述べた。

 同師は続けて、故イマーム〔・ホメイニー〕とその子孫ら、そしてすべてのイスラームの殉教者らに敬意を示しつつ、次のように語った。「〔‥‥〕我々はみな子供の頃から、われわれには無謬たる12人のイマームがいることを教わってきた。また最後のイマーム、すなわち時のイマームはわれわれの目には見えないところにお隠れになり、神がその時がきたと判断するときまで姿を現さず、再臨後は正義の確立のために悪と闘うと教わってきた。そして今は、お隠れイマームの再臨を待たねばならないということも教わってきた。ところが、イマームの生は非常に幅広い意味合いを有するにも関わらず、残念ながら我々はこの程度の知識で満足してしまった」。

 公益判別評議会の委員でもある同師は、イランはシーア派の拠点であると述べた上で、イランを「時のイマームの国」としつつ、次のように語った。「偉大なる第12代イマームの生については多くの疑問や迷いが提起されている。残念ながら我々はそれらの疑問にきちんと対処せず、あるいは回答を渋り、迷いを解消することに積極的ではなかった。シーア派の拠点となっている社会にしては、偉大なる第12代イマームの生に関する知識や情報が不足している感は否めない。こういった迷いや偉大なるイマームの生に関する無知が、一部のペテン師詐欺師好色家らに、社会の無知につけ込み、社会の一部を逸脱へと誘うスキを与えている。こうして虚偽を唱える者たちが現れては、支離滅裂な迷信が蔓延ることとになるのだ」。

 ナーテグヌーリー師はまた、時のイマーム再臨の前兆に関する伝承ついて述べた上で、それらの伝承を引用しつつ次のように強調した。「時のイマームがいつ現れるか知っているなどと言う者は、嘘をついている。時のイマームと接触があり、何日に、あるいは何年に現れるか知っていると主張する者はたわごとを言っているのだ。出現の前兆の一つとして考えられるのは地上が悪で満たされた時であるが、その悪がいつ生じるかについては明らかではない」。

 革命最高指導者査察事務所長は続けて、「一部の者が時のイマームと会い、接触したと虚偽の発言をしているのが散見される。自分はイマームと会って接触した、イマームは自分にメッセージを送ったと主張するものは、皆ほら吹きである」と述べた。

 ナーテグヌーリー師は、上述のような虚偽の主張がなされるようになったのはイマームの「大お隠れ」以来のことだと述べつつ、これまで虚偽の主張を行った歴史中の人物数名の名前を挙げた。その上で同師は、「兄弟・姉妹らよ!最善の道は無謬たるイマームらの道である。そして無謬なるイマームたちの後継者はウラマーなのである」と付け加えた。

※訳注:第12代イマームのお隠れには、地上の代理人と接触を保っていた「小お隠れ」の段階と、地上との接触を完全に断った「大お隠れ」の段階の二つがある。現代はこの「大お隠れ」状態が続いているとみなされる。また、「これまで虚偽の主張を行った歴史中の人物」とは具体的には、19世紀半ばに隠れイマームと交信していると主張し、さらには自らがイマーム・マフディーだと名乗ったバーブ教の始祖アリー・モハンマドや、それを受け継いだバハーイー教の始祖ミールザー・ホセイン・アリー・ヌーリーといった人々を指すものと思われる。いずれもイスラームにとって異端宗教とされる。

(中略)

 公益判別評議会の委員である同師はまた、社会ではイマームらについての知識が乏しい状況が続いていることを嘆きつつ、「よく話題に上るイマーム・アリーに関してさえ、〔彼に関するきちんとした知識は〕あまり知られていない。われわれは写真や肖像画を作成し、諸刃の剣を持たせて、これをイマ―ム・アリーの象徴だなどとしているが、何を根拠にそうしているのだろうか?」と疑問を呈した。

 同師は続けて、イスラームのウラマー〔=知者・学者〕こそ社会の案内人であると強調しつつ、「宗教学者らはこれらの行き過ぎた行動を阻止せねばならない」と述べた上で、次のように付け加えた。「最近ある州を訪ねた時のこと。そこのある地区に《第二のジャムキャラーン》を作ったという話を人々から聞いた。その話によると、そこに住むある人物がみた夢の中で、そこに建物を建設するよう命じられたとのことであった。私は彼らにその建築物を撤去するよう求めた。というのも、夢というものは〔神意を表す〕証しなどではないのであり、〔夢のお告げに従って神頼みのための聖地を造成するといった〕このような行為は人々の信仰に害が及ぼすからだ」。

※訳注:「ジャムキャラーン」とは、聖都ゴム近郊にある小さなモスクで、言い伝えによれば、かつて第12代イマームがこのモスクに突然現れ、礼拝を指導し、その後忽然と井戸から姿を消したとされる。このモスクは近年になって多くの参詣者が願い事を祈るために全国から訪れる「人気宗教スポット」になっていると言われており、ナーテグヌーリーの発言は、神頼みや夢のお告げといった「風習」がイランで強まりつつあることを警告するものであると言える。なお、イスラーム世界では古来より、夢を神意の現れであるとする考え方がある。

(中略)

 ナーテグヌーリー師は、「われわれの仕事には完璧でないこともある」と述べつつ、「時のイマームの名のもとで仕事が終わると、人々はよく『時のイマームが現れて、同じようなことをすれば、間違いなくもっとよい仕事ができただろうに』などと言う。私は、このような態度は非常に危険かつ有害だと考えている。〔‥‥〕問題が生じた場合に、自ら仕事の責任を負う代わりに、人々は時のイマームの視点から問題を見ようとするからだ」と指摘した。

(後略)

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:14787 )