レザーイー、ガーリーバーフ両元司令官、大統領選への出馬に向け準備着々(1)
2009年03月01日付 E'temad-e Melli 紙


【政治部】選挙戦をめぐる動きが、ガーリーバーフ・テヘラン市長〔元治安維持軍総司令官〕を軸として活発化している。複数の情報筋も、モハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ市長の第10期大統領選への出馬が確実になったことを確認している。

 その一方で、モフセン・レザーイー公益判別評議会書記〔元革命防衛隊総司令官〕が自身の選挙へ向けた動きを加速させていることを伝える報道もある。数ヶ月前から「連合政府」の実現を追求してきた同書記は、現在この構想を実地に移しているというのだ。原理派戦線内部での党派形成の動きが、新たな局面を迎えている。

 マフムード・アフマディーネジャード大統領の他に、ガーリーバーフ市長、そして恐らくはモフセン・レザーイー書記がともに選挙に出馬することになるだろう。原理派戦線内部の政治的構成も、このことに大きな影響を受けている。

 大統領選出馬に対するガーリーバーフの逡巡

 ガーリーバーフ選挙事務所が4年ぶりに活動を再開、ガーリーバーフ自身も一部の有力者や政治集団との話し合いを重ねている。かつて軍服に身を包み、大統領への野心を胸に抱きつつ、出馬した84年ティール月〔2005年6月〕の選挙でその野心を砕かれた現テヘラン市長が、再び大統領選出馬へ向けた態勢作りを進めていることをうかがわせる。

 このような中、原理主義者たちはなおも、候補者の一本化へ向けて多方面で試行錯誤を重ねている。原理派に属する一部のグループは、現大統領の国政運営上の欠点をにらみつつ、先入観なしに、アフマディーネジャード以外の人物を第10期大統領選に擁立することも視野に入れる構えを見せている。イランの現在の状況下で「改革主義的原理主義者」としてガーリーバーフが選挙戦に出馬することに対しては、〔一部の原理主義者からも〕歓迎の声が上がるはずだ。

 原理派の一部有力者や国会議員らがモハンマド・バーゲル・ガーリーバーフと重要な会合を複数回行ったことを、情報筋は最近伝えている。これらの会合の中で、ガーリーバーフに対して第10期大統領選への出馬が打診されたという。

 伝えられたところによると、これらの会合を受け、ガーリーバーフ・テヘラン市長は次期大統領選への出馬を真剣に検討しているところだとされる。ガーリーバーフが出馬することになれば、第10期大統領選挙をめぐる争いは新たな局面に入ることになるだろう。

 この新たな状況を前に、最終的な候補者に関して自由に意志決定ができる環境が原理派に生まれるだろう。つまり、原理派はアフマディーネジャード支持以外に選択肢のない状況から脱することができるのだ。

 その一方で、ガーリーバーフの出馬は、イランの政治勢力の中でも中道・穏健・独立的な傾向の勢力 —— 非効率的で緊張と喧騒に満ちた政権運営に飽き飽きした勢力、より有能で合理主義的、政治的喧騒を越えて国がもつすべてのポテンシャルを活用し、国民が抱える根本的問題の解決に邁進できる指導者を求める勢力 —— にとって、期待をふくらませるものでもある。

 これまでのところ、原理派からアフマディーネジャード現大統領が次期大統領選に出馬することは確実だが、その他の人物からはこれといった決意は聞かれていない。しかしガーリーバーフの出馬が確実になったことで、原理派内部の抗争にも困難な状況が生まれている。

 最近ガーリーバーフ・テヘラン市長に出馬を促している人々の考えでは、イラン国民は〔現大統領の〕政権運営における無能力さに飽き飽きしており、不満の増大は国、体制、そして国家全体を愛するすべての人々にとって警告音となって鳴り響いている。彼らはガーリーバーフに宛てた書簡の中で、次のように強調している。「落ち着いた雰囲気の中で有能な行政手腕を発揮し、言い訳をしたり、緊張や喧騒を惹起することなく市民の要求に応えること、これこそが現テヘラン市長の持つ魅力の一つである。テヘラン市長ならば、次期政権でイラン国民の良き支援者となれるはずだ」。

 一部の政治・学術関係者がガーリーバーフに宛てたこの書簡ではまた、合理性を重視し、国がもつすべてのポテンシャルを活用することで、現状を好ましい方向へと変革することの必要性が力説されているという。

 このような中、数ヶ月前からモハンマド・バーゲル・ガーリーバーフの選挙事務所の準備が国内各地で進められているとの噂が流れていた。またここ数週間、メディアの側面からガーリーバーフを支援することを目的としたインターネット・サイトが、多数立ち上げられている。これらのサイトは、一部ガーリーバーフとは別の党派に近いことを連想させるようなタイトルで立ち上げられており、彼とは主義主張を異にする人々からも票を獲得することが目論まれている。また、〔2008年6月にアフマディーネジャード大統領を誹謗するような内容の特集記事を組んだことで発行停止処分となった〕『テヘラン・エムルーズ』紙も〔発行を再開し〕、ガーリーバーフ・テヘラン市長を支持する活字メディアの列に加わっている。

 他方、一部報道によると、モハンマド・バーゲル・ガーリーバーフは体制高官らと行った会合の中で、セイエド・モハンマド・ハータミーが次期大統領選に出馬する場合には、個人的に深い対立関係にあると一部で指摘されているマフムード・アフマディーネジャードが、選挙で勝利を収める可能性をなるべく低く抑えるためにも、自らは決して選挙戦に出馬しないと述べたという。しかし、〔最近になって〕ガーリーバーフはアフマディーネジャード票ではなく、ハータミー票を奪い取るつもりだと述べたとされ、このことからも〔ハータミーが立候補を表明したにもかかわらず〕、ガーリーバーフが出馬を最終的に決定する段階に近づいていると考えられているのだ。

 ガーリーバーフに近い一部勢力は、ガーリーバーフとアフマディーネジャードは最近もった会合の中で、激しい口論・論争を行ったことを伝えている。それによると、ガーリーバーフはこの会合の中で、テヘランにモノレールを建設し、地下鉄〔拡張工事〕への投資は停止すべきだとするアフマディーネジャードの強いこだわりに対し、厳しい口調で「政治的問題のために、専門的原則をないがしろにするつもりはない。あなたは素人めいた提案をする代わりに、自らの責務をきちんと果たすべきだ」と、大統領に向けて言い放ったという。

 ガーリーバーフはまた、「取引をするためにこの会合に来たのではない。政府からいまだ支給のない国民のお金と予算を受け取りに来たのだ」とも述べたとされる。
つづく


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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15946 )